★マンション購入で後悔したくない方へ★このブログは、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線でハウツ―をご紹介するものです★★特に資産価値を気にする方は是非ご高覧ください☆★
原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
お寄せ下さるご相談メールの中から筆者が感じることは少なくありません。行間からにじみ出て来るもの、ズバリ悩みを打ち明けて来られるもの、いずれにせよ、ご相談者の悩みは幅が広いなあと感じる毎日を過ごしています。
そんな中、最も深刻な課題として考えさせられることは「迷走してしまう」「迷路から抜け出せなくなっている」ことです。
今日は、地に足をつけてマンション探しをする方法についてお話ししたいと思います。
●迷走の原因
迷走している人の共通点をたどってみると、いくつかの共通点が見えて来ます。最も多いのは、「悪しき情報に翻弄される」人です。インターネットの利用が拡大し、タダで有力な情報・価値ある知識が簡単に得られるようになりました。その反面、愚にもつかない情報や悪意に満ちた情報、フェイクニュースまでが飛び交うようになってしまいました。
このため、「情報洪水に巻き込まれかねない事態になっています。言い方を換えると、玉石混淆の情報が乱れ飛ぶ世界の中で私たちは生きているのです。
マンションを検討するときも、昔では考えられなかった怪情報が飛び交い、様々な意見が流布し、針小棒大に語られるがために買い手の頭の中はかえって混乱をきたすことになっています。
もうひとつの共通点は、青い鳥症候群に陥る人が多いという点です。
これはいつの時代でもあることで、人間の性(さが)のようなものですが、インターネット時代の今日は情報が簡単に集まるので、枝葉末節の問題まで取り上げたネガティブな情報が増え、それらを集めれば集めるほど「理想を求めようとする状態」に陥ってしまう人が多いように感じます。
●不動産は夫婦の縁と同じ
この先、中古マンションの値下がりが始まるとして、それが確実なら慌てて購入することもないわけですが、本当はどうなのでしょうか?実は、先週見た中古マンションが気に入ったのですが、価格が高く、予算ギリギリなので迷っています。不動産屋さんに値引き交渉をお願いしたのですが、売主さんが強気らしく、引いても端数の80万円だけだというのです。このような類のご相談メールが毎日のように届きます。
筆者はご相談のあった方には「慌てないで」と言っています。つまり、これはという物件に巡り会うまで「じっくり探すべし」という基本方針をお伝えしています。
ただし、誤解のないようにお断りしておきたい点を付け加えています。「チャンスかどうかは後になって分かるものであること」、「不動産は夫婦の縁と似ている」ということです。後者について補足しましょう。
現代における夫婦の縁とは、「家の格式とか身分などの条件」によって結ばれるわけではなく、もっと深い何かによって結ばれるものです。深い何かとは、簡単に言えば「縁」と思うのです。
マンションでも同じで、「高いとは思うけど、自分たちにとってふさわしい物件だと思う」や「前々から気になっていたマンションだけど、売り物がめったに出ないので、これを逃すと次はない気がする」、「予算より500万円オーバーです。あと少し頑張るとしても300万円が限界。そこまで下げてくれたら買うが、300万円も下がらないなら縁がなかったと思って諦めよう」などといった決め手を見いだせれば、その物件を買ってよいのではないかと筆者は考えます。
夫婦の絆は損得で結ばれるものでもありません。マンションも、優先順位は「生活の向上」や「家族の幸福」などが先で、次が「資産価値」なのです。
筆者が常々述べるのは「資産価値」についてですが、「生活の向上」や「家族の幸福」などの本来の目的を後回しにしていいと主張しているわけではありません。個人個人、選択条件も基準も異なるからこそ、他人の筆者が口をさしはさむことではないと考えているだけです。
経済的損失を被ることになるかもしれないという心配が残ったとしても、金銭の多寡に置き換えることができない精神的価値が高ければ満足度は高いはずです。大事な点はここにあります。
見学したとき、この場所、このマンションに住みたいと感じた、その気分を大事にすることも大事です。
自分と家族にとって「ほしいと思うなら、経済的な損得計算は二の次」と敢えて申しましょう。もっとも、「でもやっぱり大損はしたくない」のも人間心理です。そんなときは、筆者の提供する「将来価格の予測サービス」をご利用なさるとよろしいのです。きっと得心できるお答えをお届けできるはずです。
●理想を追うと買えない
筆者がブログで述べている資産価値、その観点から挙げる条件を全部満たすマンションはほぼ存在しないと言えるでしょう。「ないものねだり」、「理想主義」という批判を受けるようなものです。従って、どれかを優先し、どれかを無視または下位の選択条件にすることが必須です。
ところが、マンション探しの旅に出た人の中には、「青い鳥症候群」に陥ってしまうという現実があります。
青い鳥症候群とは、理想と現実とのギャップに不満を感じるあまり、理想を求めて次々に新しいものを手に入れようとするような動きを指す言葉と思いますが、マンション探しに限定すると、沢山の物件見学を行ない、沢山の知識と情報を詰め込み、それが仇となって迷走してしまう人のことです。
研究をすることは良いことですが、理想像を捨てきれず、何年経っても購入に至らない人が現実に少なくないと感じています。
仕事の合間にマイホーム探し、実は簡単ではないのかもしれません。効率よく、ひどく遠回りせずに購入に至るコツは、条件に優先順位をつけること、枝葉末節を思い切って切り落とすこと、妥協すべき条件と妥協できない条件を峻別することです。
優先すべき条件は「立地」です。駅から近いこと、都心に近いこと、都心にダイレクトアクセスの鉄道利用であることなどです。
●理想マンションはこうして出来上がる
モデルルームというやつは、大抵、そのマンションの中で、一番見栄えのするタイプを選んで造られているものです。それを見たら、こんな部屋に住みたいなと、購買意欲をそそられます。それが展示の狙いであるわけです。しかし、予算も合わないし、現実的な部屋もあったが、まだ決めるつもりはなく、今日は勉強のために見学させてもらっただけ。これが、最初の見学。だが、ワイドでお洒落、一流ホテルのバスルームみたいな豪華な洗面室が強烈な印象として残る。妻はうっとり。
次のモデルルームは、ややコンパクトで、自分でも買えそうなモデルルームだった。だが、その分、1軒目のモデルルームのような豪華さがなく、少し失望。
3軒目。やはり、手が出ないタイプのモデルルームだ。洗面所も満足。今度は、憧れのオープン・アイランド型のキッチンである。友人を招いてちょっとしたパーティーを開けるなと感じる。夫婦ともに、強く心に刻まれる。
4軒目。初めてタワーマンションを見る。建物本体にモデルルームが新設され、眺望体験会なるものに参加。景色がいいことに感激。その印象が強い。買うなら、ここは20階から上だなと思う。しかし、価格が予算をはるかに超えるので諦める。
5軒目。バルコニー面がワイドで、かつ、その奥行きも長い。部屋側に食い込んだ部分は3メートルもあるという。テーブルと4脚の椅子が据えてあり、休日はここでブランチとしゃれたいと思わせた。DENと呼ぶ小部屋がある。夢だった書斎になる。このままのスタイルで欲しいと夫は思う。
こうして、夫婦ともにそれぞれの理想の住まい像が頭の中で出来上がって行きます。あれもこれもと、欲張っても無理。どれか捨てないと買えない。理屈では分かっていたかもしれないが、無意識に「ないものねだり」をしてしまうのです。
どれを見ても、買える部屋に満足感はない。決めかけた物件もあったが、結局夫婦の意見が一致せず見送った。それからも一つ見送り、二つ見送りしているうちに1年過ぎた。1年の間に、随分勉強もした。目も肥えた。だが、いまだに購入する部屋が決まらない。夫婦は、相変わらず狭いマンションで不満な暮らしを続けている―――このような人は案外多いのです。
●見過ぎは禁物
何事もほどほどにという教訓でしょうか。「あちら立てればこちらが立たず、帯に短かしタスキに長し、一長一短がある」――これが、マンション(住宅)というものです。雑誌の記事を見ていると、よく「待った甲斐がありました。3年探し続けて理想のマンションに出会いました」などという喜びの声が載っているときがあります。本当にそうなのでしょうか。単に錯覚しているだけなのではないか。筆者には、そうとしか思えないのです。理想のマンションなど、存在しえないのだから。ただ、屁理屈を言えば、人によって理想の基準が違うから、他人が嫌だという部分があっても、当人にとっては理想なのかもしれません。タデ食う虫も好き好きといいますから。
問題なのは、あり得ないもの、あるいは予算から見て不可能と思われるような高望みをしてしまう人です。それこそ、隣の芝生が青く見えてしまう人間の習性からか、青い鳥を探して長い旅をしてしまうことに、ある種の不幸を感じます。
人間には、感情と理性があり、理性通りに行動できないことが少なくありません。分かっちゃいるが・・・というやつです。
理想のマンション像が買い手の頭の中に、できてしまうのは何故でしょうか。モデルルームの見学を数多くこなして目利きになったつもりが、逆の「青い鳥症候群」に陥る原因なのですが、言い換えると、現実離れしたモデルルーム展示に目を奪われ、それぞれのいいとこ取りした理想像が完成することに気付かないのではないでしょうか。
理想的な広さのベッドルーム、広いバスルーム、贅沢なユーティリティルーム、20畳もある広いリビングルーム、夢だったミセスDEN(専用の私室というほどの意味)、フルオープンのキッチン、専用バルコニーの付いたキッチン、休日のブランチとしゃれたいスクエアで広いバルコニー、大きな納戸、古い箪笥は捨ててもいいと思えるほどの大きなウォークインクローゼットなど、数を見て歩けば、それぞれの特長が記憶に残るものです。
だが、リビングルームを広くすれば、寝室は狭くなり、両方望めば、全体の面積が広いものになる。広い部屋は、その分だけ価格が高くなります。
ところが、その広さでも予算を上げずに買えるマンションが他にあったことを思い出す。では、そのマンションを何故選ばなかったのかといえば、そちらは、西向きが嫌だったからだという。
広さも満足、向きも南向きというマンションに出会ったが決めなかったという。理由は、収納が足りないからだという。そのマンションは、キッチンから直接バルコニーとユーティリティに繋がっていて、家事動線がとてもいい。これが、それまでにない理想のマンションだと強い印象を持つに至った。せめて収納スペースがあと少し広かったら良かったのに、残念とこぼす。
これを繰り返して行くと、いいとこ取りの理想像が目に焼き付いてしまう。
このような罠にはまってしまう人は意外に多いのです。本人は気付かないから不幸なことです。
●貴方が知りたいことは、きっとこんなこと
買い手がマンションの基礎的な知識や情報を得ようとするのは、視点を変えて考えてみると「不安」の解消にあると言えます。その不安は、大きく分けると3つあります。1.商品に対する不安
2.売主に対する不安
3.将来に対する不安――の3種です。
それぞれをもう少し詳しく見ていきましょう。
1.商品に対する不安「このマンションは大丈夫か?」
□手抜き工事はしていないだろうか?
□図面だけで購入してしまって大丈夫だろうか?
□上階の音に悩まされることはないだろうか?
□お隣さんはどんな人だろうか?
□将来、多額の修繕費に悩まされることはないか?
□この物件で決めてしまって本当にいいのか、他にもっと良いものがあるのでは?
□管理費の値上げの心配はないか?
□西向きでも本当に問題ないのか?
□ベイエリアの超高層マンション、本当に地震は大丈夫なの?
2.売主に対する不安「この会社は大丈夫か?」
□気に入ったマンションがあるのだが、無名業者が売主。どこをチェックしたらいいか?
□アフターケアは大丈夫だろうか?(何かあった時に、きちんと対応してくれる会社だろうか)
□廃業・倒産して消えてしまうことはないだろうか?
□引渡しまできちんと面倒を見てくれるのだろうか?
3.将来に対する不安「今はいいけど先々は大丈夫か?」
□将来、金利が上がっても本当に大丈夫か?
□今は払って行けるが、将来どうなるか分からないしなあ!
□病気や失業したら?
□転勤になった時どうする?
□買替えたい時、うまく転売できるだろうか?
□20年、30年先、マンションの価値はどう変わるのか?
このような不安を解消するために、貴方は何を頼りにしますか?インターネット情報ですか? 本や雑誌の知識と情報ですか? 友人・知人の話ですか?親・兄弟の助言ですか?
手っ取り早いのは、実は販売担当者ではありませんか?
疑問を一つ一つ自分で解決・学習するのは、かなり大変です。営業マンに質問して学習するのが早いかもしれません。
●方法その1 営業マンの活用術
俄か仕込みの情報や知識しかない買い手にとって、朝から晩まで毎日マンションに何らかの形で接触し、情報と知識を吸収し続けている営業マンは、逆立ちしても敵わない相手です。近年、営業マン顔負けの知識や情報武装した買い手が増えたなどと言われることがありますが、所詮は一夜漬けみたいなものです。
勉強することは悪いことではないですが、手っ取り早いのが営業マンをブレーンとして使うことですし、その方が賢明です。何でも聞けばいいのです。
即答できないことは調べてくれますし、調べ方もよく知っていますから、手早く答えを見つけてくれます。自分で調べるより早いのです。
見学したマンションに関することだけではなく、マンション全般について、例えば基本的なことまで「ちゃっかり」と聞けばいいのです。
担当営業マンは、お客になってくれるかもしれないので懸命に期待に応えようとするはずです。
しかし、その販売担当者が実は悩ましい存在なのです。
上記の不安や疑問にすべて明快に答えられる営業マンは、実はあまり多くないからです。大手の三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住友不動産、野村不動産、東急不動産、こうした企業の担当営業マンなら皆よく勉強していて、専門家としての知識や情報に長けており、あなたの疑問や不安に対し、正しく的確な答えを出してくれるのでしょうか?
一方、名もない小さな企業は教育も行き届いておらず、信頼に値しない営業マンばかりと想像されますか?
正解は全く違うところにあります。
ともあれ、営業マンのレベルは様々です。既述のような不安・疑問に的確に答えてくれる営業マンに当たるとは限りません。
では、どうしたらいいのでしょうか?
◆販売担当者をテストして、ダメなら期待しない
そこで、簡単なテストをお勧めします。テストして合格点に達しないときは、担当者を替えてくれとも言えないので、そのマンションでは多くを期待しなければいいのです。商品知識だけでも澱みなく説明できる営業マンなら良しとしましょう。
さて、テストの方法ですが、狙いは「信頼できるかどうかのチェック」です。誠実さと熱心さ、説明の明快度などを試すのです。
設問(1)営業マンが答えにくい質問をわざとする
例えば、駅前の騒音が気になるマンションで「電車の走る音はうるさいでしょうね」と投げかけます。そのとき、「窓を開けると確かに静かとは言えません。ただ、サッシの等級が30デシベル低下する遮音性能のT-3ですので、窓を閉めて頂ければ殆んど気にならないかと思います。電車は夜、走行していませんし、問題は少ないかと」―ーこのように答えたら合格ですが、「T-3級のサッシを採用していますから音の問題は大丈夫です」程度の答えなら不合格です。もうひとつ例を。「西向きだから暑いでしょうね?」と聞いたとき、「西日が暑いと感じるのは真夏のことかと思いますが、このマンションはLow-Eガラスのサッシを採用しておりまして、その断熱効果はメーカーの資料によれば、かくかくしかじかですので、全く問題ないかと思います。カーテンを閉めていれば、西向きだからといってクーラーを特別に強くかけなけなければならないということはありません。逆に、冬は夕方の太陽が奥まで差し込み温かくて良いかと思いますよ」―ーこれが模範解答。
ダメなのは「向きを気にしたらマンションは買えませんよ」などです。
設問(2)自分が知っていることを質問する
例えば、事前に勉強しておいた「耐震構造と免震構造は、何が違うのですか?」や「親から贈与を受ける予定なのですが、贈与税はいくらまでなら非課税になるのですか?」、「駐車場の機械は何年くらいもつのですか?」といった質問をしてみましょう。曖昧な答えであったり、いい加減な説明であったりすれば不合格。仮に答えに窮するようでも、「今は分からないので、後ほど調べてご説明します」と言うようなら誠実さを買えるでしょう。
◆論外の営業マン
以下は、もはや何をかいわんやの類です。参考までに。「ここの担当になって日が浅いから、よく知りません」―プロなら準備不足で仕事に出るな。失礼の極み。
「詳しい性能は省きますが、良い材料を使っているので大丈夫です」―プロなんだから詳しく説明しろよ。
「この辺では一番安い物件です」―どうしてそう言えるの?
「どうしても知りたいということでしたら、後日になりますが調べて連絡します」―面倒くさそうな態度。
「隣の空き地は何か建つとしても心配ありませんよ。日照権がありますから」―根拠なしのいい加減な説明。
「わかるかなあ?このマンション、ちょっと他とは違うんだよなあ」―こんなタメぐちを聞くような営業マンがたまにいます。
●方法その2 情報を取捨選択する「整理術」
情報氾濫時代と言われて、もう何十年も経ちますが、インターネットの普及で拍車がかかりましたね。マンションに関する情報も集めることが簡単になりました。情報は取捨選択して賢く使うことが大事と言われていますが、捨てる方が実は難しいのかもしれません。自分なりの方法で情報を整理することが大事です。
マンション選びでお勧めの方法は、比較表にすることです。比較項目は、大別すると①立地条件(駅距離・環境・買い物など)、②規模(戸数・高さ)、③構造(基礎・耐震性・耐久性・遮音性・省エネ性など)、④検討住戸(面積・間取り・向き・階数)、⑤価格(グロスと単価)、⑥ブランド(売主・施工・管理)、⑦入居時期などですが、この中から優先順位を決めて並べるなど、自分で工夫して作るといいですね。
●方法その3 取捨選択の考え方=百点満点のマンションはない
人間は欲深にできていますから、「より良いものを、より安く」と望みます。
しかし、それがエスカレートすると「青い鳥症候群」に陥る危険があります。そこで、どこかで割り切る必要があります。
「百点をつけられるような理想的なマンションはそもそも存在しない、必ず気に入らない点や懸念点が一つ二つはある」このように思いましょう。
「あちらが立てばこちらが立たず」となることを承知の上で検討にかかるのが賢明な態度というものです。
問題は優先順位です。後順位のものは捨てましょう。短所・デメリットは、長所・メリットが補ってお釣りが出るかどうかで判断しましょう。お釣りが出るほど長所・メリットのインパクトがあればヨシ、そうでもないなら見送るといった考え方をお勧めします。