★マンション購入で後悔したくない方へ★このブログは、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線でハウツ―をご紹介するものです★
居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論」を展開しております。
5日おき(5、10、15・・・)の更新です。
「余分な共用施設がなくていい」・・・こんなフレーズをときどき目にします。こう語る人には、共用施設は使わないと考えていることが窺えます。
反対に、「ホームパーティが開ける家が夢でしたが、現実は厳しいと知って、共用施設を利用できる大規模タワーマンションを買いました。親兄弟を呼んで年1回はパーティを開いています」・・・という声もあります。
共用施設の豊富なマンションに住んだ経験から「要らない」と言っているわけでもないように思います。「要らない」という割合は、どのくらいあるのでしょうか?
最近、とあるマンション(大規模タワー)を価値評価してほしいと依頼されて調べてみたら、意外なことにラウンジとキッズルームしかないことに気付き、他人事ながら失望感を味わいました。
読者のみなさんは、タワーに限らず大規模とされるマンションに付帯する様々な共用施設の存在をご存知と思います。
具体的には、エントランスラウンジ、キッズルームのほか、ゲストルームやフィットネスルーム、スタディルーム、パーティールームなどが挙げられます。中には、プールまで設けているマンションもあります。
これら室内施設以外に、野天のプライベートガーデン、プラザ、遊歩道、ジョギングロード、サイクルロードといったものが設けられているマンションも少なくありません。
共用施設は物珍しさからもあって、利用に当たっては当初、順番待ちを余儀なくされたりします。ところが、時間の経過とともに利用者が減り、無用の長物と化した施設もあると聞きます。
マンションの共用施設はどこまで必要なのか。維持管理の費用もかかることだし、資産価値の観点から見て、果たしてどこまで貢献するのだろうか?今日は「共用施設」の意義にについて考えてみました。
●パークタワーグランスカイの場合
山手線の大崎駅から徒歩6分の距離に「パークタワーグランスカイ」という大規模なタワーマンションがあります。44階建て総戸数736戸のマンションです。建物が完成したのは2010年6月でした。充実した共用施設が魅力的なマンションです。類似のマンションは他にも多数ありますが、本稿では「パークタワーグランスカイ」を大規模マンションの代表として取り上げます。
「1階にはエントランスラウンジ、2階には、ホテルラウンジのような木質感漂う落ち着いた空間のライブラリーラウンジ、水盤の煌めきがリゾートホテルのような安らぎが感じられるウォーターラウンジ、親水広場の緑や目黒川の桜を眺められるリビングのようなパークサイドラウンジと、それぞれの表情を持つ3つのラウンジと合計4つのラウンジがあり、その日の気分によって、異なるコンセプトのラウンジをチョイスできる」とサイトには説明が付きます。
続いて、エントランスラウンジの奥にはコンシェルジュカウンターがあり、快適な暮らしをサポートする様々なサービスを提供してくれます。2階には、フィットネスジム、25階には、書斎やスタディールームとして利用できるエグゼクティブルーム、26階には、シアター機能を備えた和サロンがあります。
31階には、ジャパニーズスイートとノーブルスイートという2つのゲストルームがあり、都心の夜景を眺められ、大切なお客様をおもてなしできます。
また、都心の眺望や夜景を一望できるジュエルビューサロンがあります。屋上には、スカイテラスがあり、デイベッドやハンモック、芝生を敷き詰めたコーナーもあるので、風や陽射しを感じながら眺望や夜景、星空を愉しむことができます。
スカイテラスの一画にバスタブを備えたスカイジャグジーがあり、地上152mの都心の眺望や夜景を愉しみながら、リラックスしたひと時をお過ごしいただけます・・・以上のようなセールスコメントがWEB上に見られます。
●共用施設は使わないという声も
「魅力的な」と述べましたが、そう思わない人も多いのは事実です。以下のようなお便りを何度もいただいたことがあります。「共用施設は要らないと思っていました。物件のスケールや共用施設の充実とありますが、それこそが私にとって不要なものだからです。大規模な物件の場合、マンション外に出るのに時間がかかり不便でおっくうになる。自分の部屋を出てエントランスを抜けるまで数分かかるなんて、時間の無駄。 また、ほとんど使わない共用施設の分を維持費に上乗せされるのは嫌だ。だから余計なものはいらない」
これは、将に共用施設不要論です。
要らないと思っていたが、考えを改めたという声もありました。
街の角にあるコンパクトで小奇麗な、緑と共に佇んでいるようなマンションに心を奪われてしまうと仰る人でしたが、「将来価値を考える場合、多数の人達の視点が必要という当たり前のことに気づかされました。ひとりよがりでは失敗する可能性もある、という点に目が覚めました」というお便りです。
●共用施設が多いために修繕費が高いという忌避感
毎日、どこかのマンションを調査・分析している筆者ですが、管理費・修繕積立金も必ずチェックしているので 1㎡当たりの単価幅が大きいことを実感します。共用施設が多いほど、管理費も修繕積立金も高いのは確かです。本来はスケールメリットによって割安になるはずですが、施設の数と広さがメリットを消してしまうのです。
修繕積立金は年数によって変わるので比較がしにくいので、管理費だけを紹介すると、300戸を超える大型マンションに限って言えば、@150円/㎡から@300円/㎡くらいまでの幅があります。安いマンションは、特別な共用施設が全くないと言って過言ではありません。
修繕積立金も、同様の幅ができてしまうのは当然です。
共用施設なんか要らないという人は、無駄なものに金を払いたくないという考えがあるのかもしれません。
あまり良いたとえではありませんが、スマートホンと比べてみます。
筆者は3年前に携帯電話をスマホに換えましたが、換えた理由はパソコンに入るメールを同期してスマホでも見ることができると知ったからです。そうでなければ、ガラホで足りてしまう方です。たくさんの機能を使いこなせないということかもしれませんが、電話とショートメールができれば十分と考えています。
しかし、スマホにしたことで、スケジュール表も使うようになりましたし、辞書もよく使います。大好きなスポーツの試合経過や結果を外出先で見たいときもスマホなら多岐に渡って、かつライブに近い状況で見ることも可能になって、よく電車の中で見ることがあります。
便利なものは金もかかるのは当然です。マンションも同じです。共用施設の豊富なマンションに住めば、きっとその便利さや快適さに気づき、毎月の負担も気にならないということになるのではないでしょうか?
そもそも一戸建てにはないランニングコストがマンションには必要ですが、最近は一戸建てを売却してマンションに住み替えるシニア層が増えていることでも分かるように、ランニングコストがあってもマンションがいいと考える人の存在を示しています。
共用施設がたっぷりのマンションを賞賛し、共用施設がないマンションを誹謗するわけではありませんが、マンション選びは共用施設が多いか少ないかを優先条件にするものではないと考えます。条件に合う立地、その他の条件も気に入ったが共用施設が多いからという理由だけで止めてしまうのは勿体ないと思うのです。
住んでみたら分かると思いますが、あると便利と思う施設やスペースが設定されており、無用の長物になったという話は減っているからです。デベロッパーも管理会社も経験を重ねて来たので、余分なものが何かを知っているのです。
●管理費と修繕積立金のコストパフォーマンスは?
筆者のように使いこなさない者でも、スマホの料金は一定程度かかります。もっと安くしたかったら、ガラホに戻るほかありません。マンションでもエレベーターは使わないから安くしてほしいと願う1階住民でも割安にはしてくれませんから、たまたま選んだマンションに共用施設が豊富にあったら、使わないのは損と思って使えばいいのです。
ともあれ、ランニングコストは共用施設の充実したマンションと何もないマンションでは毎月150円、70㎡なら10,000も高い場合が多いことになります。修繕積立金も何年かの平均を取ると5000円以上高いかもしれません。合わせて15,000円です。年間では18万円、10年なら180万円の差となるかもしれません。
しかし、仮に10年後に売却するとして、何もないマンションより180万円高く売れるなら損はありません。
同じような規模のマンションが同じような立地条件にあるわけではないので適当な比較データはありません。しかし、仮に二つが並んでいたとするなら、共用施設が豊富で立派なマンションの方が、高値で売れるのは間違いないのです。
●管理費・修繕積立金の高いマンションは敬遠される時代が来る?
現状では共用施設は付加価値と見なされ、高く売れるという実態があります。しかし、将来はどうでしょうか? 管理費には理解が進むとしても、修繕費の高いマンションは、売れない。売れないマンションは価値が下がる。修繕費を下げれば適切な修繕ができない。化粧のし直しも制限される。化粧しないマンションは見映えが悪いので、価格は下がる。
このような事態に陥ることはないのでしょうか?答えはNOです。共用施設の豊富な物件であっても、立地条件によっては負担を重いと感じる需要層が中心という場合がありますが、価値あるマンションにはランニングコストの負担が気にならない所得層が集まるからです。
少し飛躍しますが、長期的には人口の減少がマンション需要の減少をもたらします。その傾向の中で大事なことは「より価値あるマンション」を選択することにあります。共用施設の豊富なマンションが価値のないマンションと見なされ敬遠されるようになるとは思えないのです。
●小型マンションが好きという人へのメッセージ
今日の記事は、「共用施設の充実した大規模マンションが良い」と述べているに等しいのですが、お便りの中には「街の角にあるコンパクトで小奇麗な、緑と共に佇んでいるようなマンションの方に心を奪われてしまうのです」という人もあります。価値観は人それぞれなので、どれが正しいなどというものは存在しないのかもしれません。しかし、リセールバリューの観点では明らかに「大規模マンション・超高層マンション」が小型マンション・中低層マンションより有利とデータが証明しています。
その意味では大規模・超高層を選んでおいた方がよいのです。しかしながら、大規模もタワーマンションも好きになれないという人がいます。好きな家に住んで心地よい暮らしを送ることに幸福感や満足感を覚えるなら、その選択を誰も批判はできません。
筆者も、以前の住まいは5階建て30戸未満のマンションでしたが、そこに17年も住んでいたのです。その前は14階建て120戸の中規模マンションでしたから、小規模マンションに家族の満足度は高かったと信じています。
小型マンションが好きな人もリセールバリューの観点を無視しているわけではないでしょうから、大規模・タワーマンションほどの価値評価はないとしても、可能であれば「より価値ある小規模物件」を選びたいはずです。
小型マンションの場合でも、立地条件に優れる価値ある物件はいくらでもあります。
・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。
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