マン点流!不都合な真実を解説(中古マンション事情)

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新築マンションが高騰して、手が届かなくなった人たちが中古マンション市場に流れている。現在の中古マンション市場はどうなっているのか?

都内を中心に、中古マンション事情を可視化してみた。

【もくじ】
中古を売りたい人が増え、なかなか売れない!?
どの価格帯の中古マンションの取引が活発化しているのか?
中古マンションならば選び放題なのか?

 

中古を売りたい人が増え、なかなか売れない!?

中古マンションの成約単価は、新築マンションの発売価格に引っ張られるように、上昇傾向にある。特に、都心3区(千代田、中央、港)の成約単価の上昇が著しい(次図)。

各地区の成約単価は、次の順に高い。
  • 都心3区>城西>城南>城北>城東
各地区の成約単価の推移
首都圏中古マンション市場動向(3月)|都内の成約単価70万円突破」より

各地区の在庫件数は、大きく波を打っているが、都心3区以外は増加傾向にあることが分かる。特に城東地区や城南地区では顕著(次図)。

在庫件数の推移
「同上」より

なぜ都心3区以外では在庫件数が増加しているのか?
城東地区を例に、在庫件数だけでなく、新規登録数、成約件数、成約単価もひとつのグラフに描いてみた(次図)。

成約単価は、第2次安倍内閣が発足(12年12月)したあたりから上昇。在庫件数は、15年4月にボトムを記録したあと急増。同時期には新規登録件数も増加している。

同一物件を複数の仲介業者が登録していたり、同一物件を同一年度内に新規登録⇒削除⇒新規登録を繰り返したりしている可能性を勘案したとしても、成約件数のほうは急増しているわけではない

これらの状況から次のことが言えるのではないか。
  • 成約単価が高いうちにマンションを売却しようとする人が増加した結果、なかなか売れずに在庫件数が増加している
すなわち、売りたい人が増え、なかなか売れないという状況だ。

城東地区を例
城東地区の中古マンション市場動向|売りたい人が多く、なかなか売れない!?」より

どの価格帯の中古マンションの取引が活発化しているのか?

新築マンションの発売価格が高騰して手が届かなくなった人たちが中古マンション市場に流れている。都内では中古マンション市場のうち、どの価格帯の取引が活発化しているのか?

東日本不動産流通機構が毎月発表している、「月例マーケットウオッチ・サマリーレポート」に掲載されているデータを可視化したのが次図。

中古マンションでよく取引されている「ボリュームゾーン」は、「1千万円台」・「2千万円台」・「3千万円台」

ただ、最近取引が活発化しているのは「4千万円台」以上の価格帯。特に、「4千万円台」と「5~6千万円台」の成約件数は15年7月あたりから増加傾向にあり、「ボリュームゾーン」に迫っている

成約状況(価格帯別)
都内で中古マンション取引が活発化している価格帯は?」より

中古マンションならば選び放題なのか?

中古マンションは新築マンションと比べて選び放題なのか? あなたの手が届く価格帯に、あなたが必要としている間取りは豊富にあるのか?

23区でSUUMOに登録されている中古マンションは、21,021戸(5月8日現在)。一方、17年度に23区で発売された新築マンションの戸数は、16,393戸(不動産経済研究所の発表データによる)。中古マンションの流通戸数のほうが5千戸くらい多い。

中古と新築の、価格帯別の戸数の違いを可視化すると次図のようになる。

中古マンションは、低価格帯の戸数が多く、3千万円台がピーク(5,174戸)。新築マンションのほうは、高価格帯の戸数が多く、「7千万円以上1億円未満」がピーク(4,041戸)となっている。

戸数(価格帯別)
中古マンションならば選び放題なのか?」より

たしかに、中古マンションは、新築マンションよりも安い価格帯の戸数が多い。でも総戸数でみると中古が5千戸多い程度の違いでしかない。中古がより取り見取りというほど多いわけではない。

では、中古と新築ではどの間取りタイプが多いのか?

中古と新築の、間取りタイプの戸数の違いを可視化すると次図のようになる。

間取りタイプ別の供給戸数につき、中古と新築に大きな違いはないが、あえていうと次のとおりだ。
  • 中古マンションは、2LDKタイプと3LDKタイプの戸数が多い。新築マンションのほうは、3LDKタイプの戸数が圧倒的に多い。
戸数(間取りタイプ別)
「同上」より

以上のように、中古マンションは低価格帯の流通量は多いものの、新築マンションと比べて選び放題というほど多いわけではない

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一級建築士/マンションアナリスト/長寿ブロガー(19年超)

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