疑問や諸問題を解き明かし、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線でハウツ―をご紹介するものです★
居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から「マンションの資産価値論」を展開しております。
5日おき(5、10、15・・・)の更新です。
人間には欲があるので、どうしても「あれもこれも」と考えがちです。マンションに対しても、気になること、気に入らないことを言い出すと中々決心がつかなくなります。
今日は、このような購入者心理を念頭におきながらマンション選びに当たって妥協すべきポイントと妥協してはいけない条件について考えてみることにしました。
●心配なこと・気になることの数々
前に建つビルが邪魔して眺望が悪い。距離は30mくらいあるので日当たりは問題ないが価値はあるのか、バルコニーの前にある家や施設が建て替えられて高い建物が建ったら?道路拡張で交通量が増えたらどうなる、駅までの道が暗い、歩道が狭く危ない気がする、スーパーが1軒あるだけで商店が少ない、各駅停車だけの駅ってどうなの?急行停車駅なので朝の混雑は半端ではない。
駅から徒歩12分のマンション、少し遠いがリセールにどのくらい影響があるか?駅前のマンション。便利だが騒々しい、どうしたものか?
天井が低い箇所がある、西向きなので夏の西日は暑いのではないか?角部屋だが窓が大きいので家具が置けない。スラブ厚が20㎝しかない大丈夫か、リセールにどのくらい影響するだろうか?間取りがもうひとつだが、リセール価値は?
修繕積立金の上がり方にびっくり、払って行けるか?修繕積立金の高い中古は売りにくいのではないか?
中古は仲介手数料もかかるし、住宅ローン控除の金額も少ないうえに修繕積立金も大きいから、新築を買った方が得なのではないか?新築より高い中古、気に入ったがどうしたものか?
ディスポーザーがない小型マンション。リセールにどの程度影響するか?直張りマンションだがリセールの影響はどのくらいか?
間取りを少し変更したい箇所があるが、引き渡し後にご自身でリフォームしてくれと断られた。どうしたものか?布団の収納ができない、そこだけが問題。
●譲ってはならないのが立地条件
本物件は駅から徒歩5分と近いことが長所ですが、ややインパクト不足です。公園に面するわけでも、高台にあるわけでもなく、駅前というほど近いわけでもないからです。このようなケースは数多くあります。5分以内というだけで割り切っても大丈夫なものでしょうか?その答えは、「地域によります」。この質問に、筆者は、以下のような回答をしてきました。
「これ以上を望むのは欲張り過ぎとも言えるもので、線路沿いでないことからも立地としては悪くないと思います」
「この地域は駅5分以内が普通です。駅1分の物件も珍しくありません。したがって、駅5分だから価値があると思い込むのは危険です。駅5分以内のマンション同士の比較をすることになるので、それ以外の要素が大事ですね。前が公園とかリバービューとか。それも同じなら、建物比較です」
●前面の建物が鉄筋でも危ないケースがある。ここは軽視できない
最近、特定地域において過去に見られなかった新築マンションの集中傾向が目に付きます。調べると個人商店や零細企業の所有する中小ビルがマンション用地として続々と提供されているらしく、その理由は後継ぎがいないので廃業することにした、ついては自宅兼事務所だった狭小土地を売却することにした、2015年に相続税が強化されたことも売却の決心を促したということらしいのです。商業地の場合、敷地が狭くても容積率が大きいので、高く大きな建物が建てられます。マンション業者は、そんな土地を狙って取得します。検討中のマンションの前に建つ鉄筋の賃貸マンションやオフィスビルの存在に注目しましょう。
●資産価値(リセール価格)を左右するのは内装や設備ではない。こだわり過ぎてはいけない
ご相談の中に「内装や設備の不満」がよく見られます。そのとき筆者は聞き流すかのような態度を取ることがあります。理由は、購入の是非の前では大きな問題ではないと考えるからです。
実は無視をしているわけではないのです。小さなことでも、きちんとお答えして行くのが筆者のモットーだからです。
「なぜ無視するかのような」と書いたかですが、重要な部分に重きを置いて、つまりボリュームも多く割いて説明しているからにほかなりません。
設備もインテリアも気に入ったものに住みたいという購入者心理は理解できますが、様々な理由で「もうひとつ」という新築マンションは少なくないのです。その結果、優先すべきは立地条件や建物全体の価値であって、専有部の少しの劣等には目をつぶるべきです。
無論、あくまで「リセール価値」からのことです。本来、リセール時期が来るまで満足度が高い家であることも大事なので、無視はできませんが、こだわり過ぎは禁物です。
リセール時期がかなり先になるなら、次の買い手はリフォームを前提に置いてる可能性が高いので、多少のことは問題になりません。
とはいえ、後付けできない設備は最初からあった方がいいでしょう。
●リセールより大事なこと、それは手前の暮らしだ
という反論もあるでしょう。結局、どの辺りが満足できるレベルなのかに問題はあるわけです。これは個人差が大きいと言わざるを得ません。賃貸マンションに住んでいる人でも、分譲賃貸か、一般の賃貸マンションか、木造住宅・アパートかによっても違います。
たくさんの新築マンションのモデルルームを見学してきたか、数が少ないかなどでも違うことでしょう。
ともあれ、「より満足度が高いマンション」を買いたいのはどなたにも共通の課題です。しかし、設備と内装にこだわると結局は遠回りになってチャンスを逃す確率が上がるのです。
●あれもこれもと理想を追うと購入チャンスを逃がす
上記の話は、パーフェクトを求めると買えるものも買えませんという教訓でもあるのですが、何やら営業マンのような話になって来ました。しかし、これは真理です。どうか、割り切って一部の問題には目をつぶりましょう。これは筆者の提案です。
●知らぬと損ということも
ただ、満足度の高い買い物をしたつもりでも、実は非常にローレベルなマンションだったと後で知るようなことは避けなければなりません。「駅から徒歩9分だし、環境も悪くない」これは値打ちだ、そう思って買ったマンションが筆者の「将来価格の予測レポート」ではリセール価値が非常に低いと出て落胆した人も多いはずです。
「大手のマンションだし、駅にも近く、デザインもいいので買う寸前だったが、気になることもあって」評価レポートを依頼して来られたある人は、浮かれていた自分が恥ずかしいという感想を寄せてくれました。その物件は、相場より1000万円も高かったからです。相場の上昇に悪乗りして高く売り抜けを図ろうとした中古マンションの例です。
実は、新築マンションにはこの種の例が多いのです。感想では「高いかなと思っていましたが、それほど高いとは、絶句でした」という例も少なくないのです。
●混乱に陥れるインターネット(情報過多)時代ゆえに情報整理術がカギかも
ないもねだりということは分かっていますが、順番を付けるのが難しいという声も聞きます。自分の中で優先順位を定めることが大事なのですが、これが結構難しいようです。「こんなマンションを買ってはダメ」的なブログ記事があるからでしょうか?としたら、筆者にも責任の一端があるのかもしれないと、ときどき反省をさせられます。書き方には厳に注意しなければと思います。
ともあれ、頭でっかちになって理想と現実のはざまでもがくことは避けなければなりません。カギは情報整理術です。
一世一代の大きな買い物をするのだから失敗したくないと、書物を何冊も買って読み、インターネット上の様々な情報を仕入れて勉強している人は、マンション購入者の中の大多数のはずです。
しかし、実はそこに落とし穴があるのです。
多くの専門知識を身にまとい、業界用語にまで通じている人がいます。市場の状況も下手な芸業マンも形無しなほどに知っています。10件も20件も、最新の物件情報に関して細部にわたり把握していたりするのです。
マンションに関する知識と情報に通暁しているのに(と、本人が思っているのに)、いつまでもゴールに達しないで、そのうち機会を失ってしまう人は少なくありません。
(自分もそうかもと感じる方には、筆者が提供する「未公開資料シリーズ」のNO.37「勉強のし過ぎで買えなくなる罠」と「その脱出法」=無料がお勧め)
このような人の失敗原因のひとつは、「知識と情報の洪水をかき分ける能力」か「情報整理が上手でない性分」にあるのだと思います。
言い換えると、頭でっかち状態になっていて、「私は何でも知っている」を力に換えられない性分なのかもしれません。
数年前から「断捨離(だんしゃり)」がちょっとしたブームになっています。 断捨離とは、不要なモノなどの数を減らし、生活や人生に調和をもたらそう とする生活術や処世術のことだと聞きます。
マンション選びの場合に置き換えれば、たくさんの知識と情報を取捨整理することが後悔しない選択の基礎的な条件ということなのでしょう。
世の中には、教養は豊かだが、それを人生にうまく活かせていない人がいると聞きます。それと同じなのでしょう。何でも知っている割には、いつまでもマンション選びができないでいる人かもしれません。
・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。
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