第154回 悪乗りする中古マンションの売主と価格交渉

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このブログは居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から「マンションの資産価値論を展開しております。

5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

 

相場が早く落ち着かないかと期待をしつつ、毎月のデータを継続チェックしている筆者ですが、そのたびに落胆させられ、3年以上も経過しました。

 

一喜一憂する(前年同月比でマイナスもときどきある)のですが、年間を通じて見ると結局は前年比で、新築は8.4%、中古も4.5%の上昇(首都圏全体2017年)となりました。過去5年間、毎年値上がりを続けているのです。

 

毎月の発表を新聞でチェックしている人もあるのでしょうし、噂を耳にする人もあるのかもしれません。そのトレンドにあるなら、我が家も高く売れるだろうと期待し、仲介業者に対し高値売却を要望します。

 

ご存知の読者も多いと思いますが、仲介業者は売り依頼を獲得したい一心で、査定価格の他に「チャレンジ価格」なる高値を提示します。つまり、「過去の取引相場では5000万円だが、売り出し価格は5500万円でやってみましょう」などと、売主に提案するのです。

 

通常は、買主さんから指値が入るので5%くらいは乗せておくのですが、近頃は10%くらいは驚くほどのことでなく、「15%くらい高いチャレンジ価格」の例も散見されます。

 

ところが、その高値で成約になってしまうことがあります。高くても、その物件に一目惚れして買ってしまう買い手さんがあるのです。そして、高値売買が当該マンションの実績としてい、REINS(業者だけのネットワーク)に登録されてしまいます。このため、次の段階の査定額は従前より上がってしまうという悪循環(売り手から見れば好循環)をもたらしているのです。

 

仲介業者は、依頼(媒介契約)を取りたいので、チャレンジ価格を提示して売主を喜ばせる一方、伏線として「査定価格」も提示しておけば、売れないときは下げてもらえるわけです。本来、安く売り出す方が買い手を探しやすいので、仲介業者は売主に価格を下げるように誘導したがるのものですが、最初からそれを狙うと依頼(媒介契約)が取れません。

そこで、査定価格とチャレンジ価格という「二重価格提示法」を編み出し、これが業界に定着したのです。顧客獲得作戦が行き過ぎからの産物というべきでしょう。

 

実際は高過ぎて売れず、一度ならず二度、三度と値下げしてやっと買い手が決まることが多いのですが、運よく高値で買い手が決まって売主を喜ばせるということがあるのも事実です。

15%も高値で売り出したような場合、値引きを5%もすれば買い手は大喜びし、売り手は査定より10%高く売れてほくそ笑むというのが実態としてあるのです。

 

筆者は、このような売主を「相場上昇トレンドに悪乗りしている売主」と評しています。仲介業者にも責任があるとはいえ、売主さんの強気が相場の上昇に拍車をかけていると思わずにはいられないのです。

 

株式市場も同じですが、「買うから上がる。上がるから買う」という循環が上昇相場を作り上げるものです。これが加速するとバブルになるのです。現状の上昇カーブが年率5%アップ程度なら、不動産バブルを懸念することはないかもしれませんが、優良物件・人気物件になると、高値取引が成立しやすく、結果的に局所(ミニ)バブルのような現象を招いているのは確かです。

 

相場より10~15%高い売り出し事例に、筆者は少なくとも10日に1回くらいは遭遇します。マンションの「評価レポート」の作成を日課にしているので、どこかの中古相場を調査しますが、そのとき対象マンションの過去1年の成約事例を当たると、たちまち突出した売値になっていることに気付きます。

 

中古相場は、仲介業者なら誰でも簡単に調査することができますから、「高くないですか?最近の成約事例を出してください」と依頼すればいいのです。方角、階数、角部屋か否かといった住戸格差を考慮しながら納得できる価格かどうかを判断すればいいわけです。

 

売主は少しでも高く売りたいと考え、買い手は少しでも安く買いたいと考えるわけで、利害は対立します。相場がどうであれ、安く買いたい買い手は、黙って言い値を呑むことは避けたいはずです。

しかし、過去の成約事例を指標にして「高い・安い」を論じることに意味はありません。あくまで参考価格に過ぎないのです。理論で迫ろうと試みても、「嫌なら買ってもらわなくて結構」と言われるのが落ちです。しかも、売主に直接掛け合う場面はないはずです。

 

では、どうすればいいでしょうか。売主に対しては、仲介業者を通じて意思を伝えることになるので、参考価格に比べて高くないとしても、「〇〇万円まで下げてくれたら買います」と言えばよいのですし、物件によっては言い値で買うという決断もあり得るのです。業者と相談しながら、自分の意思を伝えましょう。

 

どのようなマンションなのか、人気の程度はどうか、見学者が多いのか少ないのか、売り出してから何か月経過している物件かなどによって判断は変わるはずですが、少なくとも「売り出し価格が強気過ぎないか」は調べることが必須です。

 

新築マンションで竣工前の段階では値引きはないのが普通なので、高いと感じてもどうにもなりませんが、中古は交渉次第で価格は変わるのですから、頑張ってみたいところです。

 

尚、仲介業者に聞けば相場が分かると言いましたが、業者に聞けないとか聞きづらいということがあるかもしれません。そのようなときは、筆者の「マンション評価サービス」をご利用ください。物件価値を調査し、適正価格をお知らせします。

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

 

 

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