このブログは居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から「マンションの資産価値論」を展開しております。
5日おき(5、10、15・・・)の更新です。
NO.161をもう一度ご購読いただきたいと思いますが、今日の記事はその161回の続きです。
新築マンションにせよ、中古にせよm探し方が課題になっている人も少なくないように感じます。新築は比較的簡単かもしれませんが、中古は結構厄介です。そこで、タイトルのテーマで述べたいと考えました。
厄介というのは、161回で述べたように、新築のように資料が揃っていないこと、知識不足な営業マンが多いこと、その割にはスピーデイな結論を求められること、先着順なので「売れ違い御免」になりやすいことなどが理由です。
●中古マンション探しは自助努力で
先ず言いたいことは、業者を頼りにしてはダメということです。仲介業者に条件を伝えておけば、あてはまりそうな物件が出たら自動配信してくれるとでも思っているのかもしれませんが、期待するほどの成果は得られません。AI(人工知能)流行りのせいか、さも「あなたにピタリの物件情報を常時10万件の登録物件の中からAIが選び速やかにお届けします」などといった広告も散見されますが、見事に媒介(媒酌)が成功したという話は聞きません。数だけは期待した通りに送って来るということは言えそうですが、内覧に行ってみると問題がいくつもあって決めきれないのです。
業者に言わせると、メールで情報提供するだけで案内が取れれば楽なものらしいですが、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる式に送るのでしょう。HPにずらりと物件を掲載し、反応を待つのも同じです。
特定物件の「出たら教えて」の登録も同じです。要は、貴方だけに情報を送って来るわけではないので、常に競争にさらされています。「一斉に情報を公開し、早い者勝ちですよ」というわけです。
待っていたら条件に合う物件が飛び込んで来るのでしょうか? 広告という形の情報は、ある意味でいつも転がっているのですが、どれもよそゆきの姿をしているものです。欠点・弱点は許される範囲で隠しています。深く知るには、現地へ行って素のままを見る必要があります。
結局、条件にピタリの物件を見つけるには、自分で動いて探すしかありません。
●たくさんの業者に声かけするという戦略は正しいか
いろいろな業者に登録しておくと、多数の情報がひっきりなしに届くことになるかもしれません。また、意中の物件がある人は「出たら教えて」登録が無駄になることはないかもしれません。ところが、中々出て来ないのも一方の事実です。何故なら、人気がある物件は売り惜しみする人が多いからです。事情があって売ることになる例もありますが、3年ぶりの売り出しというケースも少なくないのです。
大型マンションでは、結構な数の売り物が出て来ますが、条件の合わないものばかりで、特定の間取りに限ると1年に1回あるかなしかといった確率です。
意中の物件が2つなり3つある人はどうでしょうか?確率は高くなりますが、期待は裏切られることが多いようです。
結局は嫁探しと同じで、他人頼みでは生涯の伴侶は見つかりません。方法はただひとつ、自分からポータルサイトを頻繁に覗いてチェックするしかないのです。
夫婦の縁と同じで、中古マンション探しは誇張して言えば、星の数ほどある異性の中からたった一人の相手を探し出すのですから、僥倖(偶然のたまもの)なのです。毎日サイトをチェックしていても見つからない、ようやく一目惚れした物件をみつけてもタッチの差で他の買い手にさらわれることもあるのです。
もう一度言いましょう。こういう物件が欲しいと表面的な希望条件を伝えても、ストライクボールを消してくれる業者は存在しないのです。何より、業者は複数です。貴方の知らないところで同時に検討している買い手が常にいるのです。
●中古マンションの見方を勉強するために(1)
まずは何処か見学に行きましょう。買わない前提なので、そこに心苦しさを感じる人は筆者にご相談下さい。しかるべき業者をご紹介します。勉強のためと割り切って2度内覧してみましょう。
仕事の合間を縫って物件探しをするのは、簡単のようで存外手間と時間がかかるものです。内覧に行くにも、その後の検討についても迅速な行動が求められます。
よく勉強している方でも、うっかり見落としてしまったリ、隠れた問題点に気付かなかったりすることがあるものです。まして、中古マンションの見学経験が浅い人は、見落とししてしまうことがあるものです。
また、何が問題かも分からないので漠然とした不安も起こり、スムーズな結論が導けないものです。そこで、事前に見学の際のチェックポイントなどを把握してから内覧します。
座学の後にトレーニングをするというイメージで何件か見学をすることが必須です。言い換えると、ぼんやり何となく見学に行くのではなく、課題を持って行く、学習のポイントを抑えてから行くことが大事です。
●中古マンションの見方を勉強するために(2)
筆者が提供する「物件の評価サービス」を利用するのもお勧めです。初回は無料(ただし、一定の条件があります)なので、お気軽に利用なさって下さい。抽象論を語った書籍や筆者が提供する資料、あるいはインターネットの情報は無数にありますが、具体の物件に落とし込んだ情報(ご依頼物件に沿った解説・評価レポート)は、このサービスだけです。
これを取得してから見学に行くのがお勧めです。見学前に対象物件が売れてしまう可能性があるので、遅くとも3日以内にレポートをお届けしています。きっと役に立つことでしょう。
素早く結論を出すための予備知識、例えばチェックすべき事項は何か、調べてもらうべき事項、見学の際のチェック項目などを常に携えておくことが必須です。そのための学習を効率よく進めて初等学級を卒業しましょう。
課題を持たずに見学しても意味がないと思いましょう。
一生に2度あるかないかの大きな買い物を短時間で決断しなければならないのが現実なのです。
●選択の優先条件や重要な条件が見えてきます
座学と実学は違うのです。理論と実践も違います。理屈では分かっているつもりでも、「つい」というのが人間のさが(性)です。理性では分かっているのに、己の感情が意図しない方向へ誘導してしまうこともあります。何度も失敗を重ねて痛い目に遭っていればブレーキも掛けやすいものですが、マンション購入で何度も失敗するというわけにもいかないので、事前の学習を通じて自分の慧眼を育てるほかありません。
見て勉強して、また勉強し、次にスポーツの世界と同じように、実戦形式の練習をし、さらに練習試合を重ねて、勝つコツを身に着けて行くのです。
●知識・経験を積むとWebサイトの見方もプロ級に?
多忙な人ほど、効率よくゴールに達するようにしなければなりません。たくさんの物件情報の中から不要な物件を排除し、条件の範囲で気に入りそうな物件を見つけても現地に行って落胆することが多いので、その確率を減らして購入まで最短距離で到達するためには、欠点・弱点を見抜くスキルが必須です。慣れれば、裏に隠れた情報の探し方も分かるようになるでしょう。
その手前の段階にある人、若しくは多忙ゆえに情報分析をやっていられない人は、積極的に筆者の提供するサービスのどれかをご利用になるのが早いかもしれません。
ご存知の読者も多いと思いますが、筆者のサービスメニューはときどき増えています。長く続けている定番のサービスでも中身は進化しています。しかも、今も低料金です(無料も限定的に継続中)。
インターネット時代には、無料で何でも有益な情報が手に入ると思っている人が多いようです。その感覚が強い人は「有料」に抵抗があるようですが、一方で「本物の情報を得るためには利用料を払うべきだ」とたびたびご利用くださる人も少なくないのです。
無料は止めたらという声もたくさんいただくのですが、体力の続く限り継続しようと思っています。有料も含めて(笑い)、皆様のご利用をお待ちします。
今日の記事に関連するサービスでは「物件探しのお手伝い」もお勧めです。HPから資料をご請求下さい。
●勉強のし過ぎで決断ができないこともある
探し方のコツがつかめて次々と候補物件を見つけ、かといって見学件数は絞りこめるようになった人であっても、100%の満足を得られる物件はないので、最後のところで悩むことでしょう。「あちら立てれば、こちらが立たぬ・帯に短しタスキに長し」と感じたり、長所・短所やメリット・デメリット、または気に入った点・心配な点といったふうに整理をしてみたりするものの、結論が導き切れない人も多数あります。
インターネット情報を探しますが、的確な答えは分かりません。こういう声も聞くし、こんな書き込みもある。結局、どれが正しいのか分からない。自分なりの解釈を一度はしてみたが、続けて情報を集めると、どうも違うらしい。
勉強のし過ぎと書きましたが、正しくは中途半端な勉強はかえって混乱に陥れるものだということです。
●百点満点のマンションはない。短所を補ってお釣りが来ればいい
人間は欲深にできていますから、「より良いものを、より安く」と望みます。しかし、それがエスカレートすると「青い鳥症候群」に陥る危険があります。そこで、どこかで割り切る必要があります。
「百点をつけられるような理想的なマンションはそもそも存在しない、必ず気に入らない点や懸念点が一つ二つはある」このように思いましょう。
「あちらが立てばこちらが立たず」となることを承知の上で検討にかかるのが賢明な態度というものです。
問題は優先順位です。後順位のものは捨てましょう。短所・デメリットは、長所・メリットが補ってお釣りが出るかどうかで判断しましょう。お釣りが出るほど長所・メリットのインパクトがあればヨシ、そうでもないなら見送るといった考え方をお勧めします。
●中古マンションに対する疑問は質問攻めにするに限る
中古マンションは新築マンションのように資料が十分に揃っていないと第161回で述べましたが、そうであれば予め質問項目を箇条書きして用意し、担当者に聞きましょう。その場で分からないことは速やかに調べてもらいましょう。以下は、見学前でも分かること(WEB上にあること)を含めた検討項目としたいものです。参考になさってください。
- 築年数と耐震性 (1983年以降の竣工物件かどうか=1981年以降の建築許可物件か?)
- 築年数と修繕履歴 (大規模修繕がいつ行われたか。その範囲は?)
- 分譲主・施工会社 (売主か施工会社、または両方のブランド力は高いか?)
- 管理会社と管理体制、管理状態 (管理会社の経験・実績は豊富か?管理人の勤務日数は?滞在時間は1日5時間以上か? 清掃は隅々まで行き届いているか? 放置自転車はないか?)
- 管理費・修繕積立金 (管理費は1㎡当たり首都圏平均の@235円より高いか安いか? 高い理由・安い理由は? 修繕積立金は築年数の割に安いことはないか?)
- 建物規模と共用施設 (100戸以上の規模か? どのような共用施設があるか? 中庭や植栽スペースはたっぷり取られているか?)
- 外観・玄関等のデザインとグレード感 (個性的・高級感・上質感・洗練されている・重厚感・格調高い・威風堂々・優美・壮麗などのキーワードのどれかに当てはまるか?)
- 間取り (10年住んで行ける間取り・広さがあるか? 主寝室のプライバシーは問題ないか?家具配置はどうか?)
- リフォーム費用 (どこをリフォームすべきか?設備機器は交換を要するか=使用期間は何年経った?)
- 立地条件・交通便 (坂道はないか?歩道付きの道か?学校までの時間は?)
- 立地条件・環境・眺望・日当たり(嫌悪施設はないか?)
- 品質保証 (瑕疵担保責任はどこまでか?仲介業者による瑕疵担保保証はあるか?
●必ずチェックしたい修繕履歴と修繕計画
内覧とは別のチェックポイントとして重要な点がこれです。この確認には、管理会社からの「管理に関する重要事項説明書(仲介業者が管理会社から取り寄せてくれます)」をよく読むことと「管理組合議事録」の閲覧も必須です。<修繕計画書の確認は必須>
中古マンションの購入の際には、誰も保証してくれない「修繕費の一時金支払い」というリスクがあると覚悟して購入するとして、可能な限り事前に予定したい心理が働くことでしょう。 そこで、最低限のチェック事項をご紹介しておきましょう。
先ずは「長期修繕計画書」の有無を確認しましょう。
計画書は管理会社が提案という形で作成したもので、その通りに実行するかどうかは管理組合が決めることですが、望ましいものか、最低限度の計画かは別としても、専門家が策定したものがあれば、概ねいつからいくらに増え、またはいつ頃いくらの一時金徴収があるかを知ることができるからです。
中古マンションの売買の世界では、「管理に関する重要事項説明書(報告書)」なる書類が出て来ます。
これは管理会社から買主に提示されるもので、仲介業者が手配します。
そこには、管理費等の滞納明細や大規模修繕の履歴(大項目のみ)と修繕積立金の残高が記載されていますが、長期修繕計画の細部はありません。管理組合で決議されていなければ「増額予定」も「一時金徴収予定」も掲載されていないのが普通です。
従って、必ず「長期修繕計画書」のコピーを下さいと仲介業者に依頼することが大事になります。
<修繕履歴>
「管理に関する重要事項説明書」には、いつ大規模修繕を実施したかが書かれていますが、その内容は必ずしも明確に記載されていないので、「管理組合議事録」で何をどのように行ったかをチェックしましょう。
竣工後12年目に最初の大規模修繕の必要時期がやってきます。次は24年目ですが、専門家に診断の結果、遅れても問題ないという場合もあります。
しかし、修繕積立金が足りないために延期したかもしれないのです。そのあたりのことは、議事録を読み込むほかありません。
仲介業者に依頼して報告してもらうのが手間なしでいいですが、心配な人は議事録を保管してある場所(管理人室か管理会社)に出向いて閲覧するほかありません。
議事録を読み込むと、管理会社からの提案がなされたが実施は見送られたとか、その理由、提案を受け入れて修繕に踏み切った場合では、工事会社はどのように決めたのか、例えば組合役員に一任したとか、決定に当たっては数社から見積もりを取って、その中から組合総会で決定したのかなどの経緯が克明に記されています。
また、修繕積立金の増額提案については、議論されたが反対決議であったとか、毎月はそのままで一時金徴収を決議したなどという記録もあるものです。
ついでに、駐車場の空きが長く続き、収入が不足しているので管理費の増額を検討中といった記録も発見できるかもしれません。
比較的新しいマンションの場合では大規模修繕や積立金の増額。臨時徴収といった議題は見つからないかもしれませんが、欠陥や施工不良による不具合や故障といった問題で売主と協議中などの重大な問題を発見できるかもしれません。
●観察ポイント
以上を踏まえて、内覧時の観察ポイントも紹介しましょう。入居中の場合は遠慮しがちですが、できるだけ売主さんにお願いして見せてもらいましょう。質問についても同様です。①ひび割れの有無を目視で探してみる・・・長く放置しておくと雨水が入り込み鉄筋が錆びて、耐震性・耐久性ともに低下してしまうからです。 外壁や廊下の天井、バルコニーの天井などに30センチ以上の長いひび割れがあったら要注意です。タイルの剥離や白華現象(水がしみ込んでいるサイン)も同様です。
また、仲介業者を通じて、管理組合に修繕予定はいつかと質問をしましょう。
この点検項目は、管理の良し悪しを見る重要なものとなります。
修繕積立金が十分でないためか、それとも管理意識が低い管理組合なのか、どちらにしても適時、適切に修繕を行ったマンションと、そうでないマンションでは、長い間に資産価値に大きく差がついてしまうからです。
②設備機器の耐久性をチェックする・・・ガス器具、エアコン、ディスポーザー、食器洗浄乾燥機、床暖房などは、有無を確認しつつ、何年使用しているかを尋ねましょう。 入居後すぐに新品と交換しなければならないのか、まだ数年は使えそうかの判断をするためです。
③結露の有無を調べる・・・北側に位置する個室を見るときは、明るさと通行人の足音を聞くことに加えて、窓の周囲の壁と天井に目を凝らしましょう。
黒ずんでいたり汚れがひどかったりするようであれば、冬季に結露ができやすいことを示すものであり、原因は断熱材の施工が十分でない可能性が疑われます。そして、リフォーム費用に大きく響きます。
④床・壁・天井の表面を全体的に点検する・・・トイレや洗面所の床の表面材(普通はクッションフロアという材料で仕上げてある)がめくれていないかどうか、壁紙の張り合わせ部分がめくれて隙間ができていないか、変色していないか、傷や汚れがないかどうか、フローリングの表面仕上げ部分がはがれていたり、傷が目立ったりしている所がないかどうかなども。
リフォーム工事の予定に組み込むかどうかの判断に必須だからです。
リフォーム代の目安をお知りになりたい人は、筆者のHPこちらのページからNO.47の資料をご請求下さい。もちろん無料で進呈します。
●最後に。住宅ローンの仮審査は予め通しておきたい
中古マンションの場合、先着順なので決断したら素早く購入申し込みをすることが大事です。しかし、資金の裏付けがないと受け付けてくれない場合があります。資金の裏付けとは、何銀行でもいいので「仮審査の合格通知」を取得しておくことです。物件を適当に選び、審査をお願いすれば1週間以内で答えは返ってきます。これがあるとないでは、スピードにおいて段違いの差ができてしまいます。
どこかのタイミングで、予め審査を申し込むことを検討しましょう。