第8回マンションコミュニティ座談会「中古マンションについて」後編
引き続き「中古マンションについて」です。建築費が高騰してきた今、改めて「中古マンション」についてみんなで考えてみました。(2015 年9月収録)
目次
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マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。
座談会
中古見に行くとしたら?
「みんなが見た後でスルーした家に住みたいですか?」と。僕のキャラ的に実需目線ですからね。「レインズに載る前、多くの人の目に触れる前にさくっとゲットした方が中古って幸せじゃねえの」って思ったりするんですよ。上級テクニックかもしれないですが。
つまり、私の大好きな「間取り次第ではやりようがあるケース」も少なくないんですよ。「そういうことが出来そうな売れてない部屋」っていうのは、投資としてはすごく面白い。
いつの間にか、売り手目線の話に。僕らマニアだから
リンク元:http://mansionmania.blog.jp/archives/1036657001.html
それはもちろんいいことではあるんですけど、さっきも言ったように一般的には「築20年で下落がマックスになる」わけで、どうやったって「築5年から築20年になったら設備等も古めかしくなりある程度の減価は否めない」わけじゃないですか。「築年数の割に管理がいいから」って必要以上に高く買ってしまうと、将来的にどこかでガクッと来かねない。
はるぶーさんが一生懸命理事会活動をするワケ
一方で「積立金もうじき1戸100万円まで貯まってます」なら、間違いなく借金なしで大規模修繕1回できるわけじゃないですか。そういう情報はきちんと公開して欲しいよね。それを売主が公開してないんだったら、買う時に公開請求して当然なんじゃないかな。
最悪のパターンっていうのは、買った直後に「一時金100万で工事やります!」とか。実は私自身がそういう経験があるんです。買ったのではなくて親から相続したマンションだったんですけども。
優秀な営業マンとは
なぜか不動産スタートアップ界隈の話に・・・
そうすると、古いというか旧態的な関係を持ってるか持ってないかっていう「人脈等々の広さの有無」みたいなとこでの勝負になってきて、新しい仕組みがいくら「凄い」って言っても地盤がないから、広がらなくて終わっちゃうってのはありますよね。
「こんな物件ありますよ」って入ってくるチラシとかそういう泥臭い部分での認知は結構重要な要素なわけじゃないですか。不動産ってネットとの親和性が必ずしも非常に良いわけではなくて、もちろんそれで買ってる人も一定数いるのかもしれないけど、そうじゃない部分って有るわけじゃないですか。
だからそういう人にアプローチしていくってなると、「ニュー不動産的な所」っていうのは何も手掛かりを持たないわけですよ。だからネットの中で、ネットの中の小さいパイを分けあうしかない。
客付側にもやっぱり仲介手数料3%払う価値があるんですよ。でもみんな、いざ契約の時ってビビるんですよ。最後の買付書を書く時にみんなビビる。その時にぽんと背中を押してくれる人って絶対必要なんですよ。
みんなネットでクリックして不動産買える人たちばかりと思ってる人たちが「ちょろいぜ!」って不動産に進出してくる。絶対間違ってるんですよ。
俺だって賢くないし契約の際はビビる。でも「午後から次の案内入ってるんで、午前中に決めてくれたら私なんとかしますけど」って言われたら「じゃあ午前中までにまとめるしかねえな」って自分なりに納得して、両親に急いで電話したりするわけじゃないですか。
そういうふうな「焦り」とか「ストーリー立て」って、実際は必要なんですよ。
「物件を預かった時点で出口が見えているのが優秀な営業マン」なんです。「どういうセールストークをして、どの物件を引き合いに出せば、この物件の魅力を引き出すことができるか」そして「そうした場合にはどのぐらいの価格でなら売れるか」っていうのが本来見えているべきなんです。
そういう意味で「自分だったらこうやるな」っていうのが有るんですけど、それを実行してくれる営業マンって本当に少ない。
「『広告業界やネット業界』と『不動産売買』の違いっていうのは何か」っていうと、「決めなきゃ金にならない」こと。広告やネットだったら、向こうが興味持って発信してくれればそれで金になるんですよ。だけどネット系の不動産っていうのは、「最後まで決めきる力、押し切る力」がないので、最後の収入のところまで至らないんですよ。
あともう一つ重要なのは、本当に新築を狙ってる人でも、中古のヤフー不動産に出てるやつでいいから「値段を見る」ってことが大事です。
沖さんの本なんかにもでてきますが、同じ駅・距離でみて、築年数の1年ごとに、坪単価って4万くらい下がります。
新築って「点でしか発生しない」けど、中古って「面で発生する」じゃないですか。だからその周辺をばーっと見る。駅からの距離が同じくらいのマンションが築年数5年くらいでも一帯で例えば坪260万で成約しているとする。5年で坪20万減価してると思うなら、新築で立ってすぐ売りにでてると仮定するならもう坪280万ですから、のらえもんさんの著書にもでてくる「新築プレミアム」も考えれば、まぁ新築のを買うなら坪300くらいはいっちゃうなと価格妥当性のメドがつけられます。
周辺物件を1個1個丹念にクリックして「このマンションがいくらで、このマンションがいくらで、このマンションは築何年」っていうのを確認する。で、築年補正をしたら「『隣で売ってる中古より、近くて新しいマンションがもっと安い』ってことは起こりえない」ということが理解できます。
実際に坪300万でマンションが売りに出たとして「これは150万で買えます」とか言う評論家とかたまに現れたりするわけですが、中古の価格を見ていれば「それは有り得ない」って相場観は養うことができます。
やっぱり新築マンションって10人中8~9人が高いって感じるはずなんです。「高いと感じるから買わない」わけですよね。そう思うと「それが新築の相場価格なんだ」っていうのを実感として知るためには、中古価格を知らないといけない。
「希望地区の中古価格を精査しないで新築を買っちゃいけない」ってこと、これ重要なポイントだと思いますね。
今回のまとめ:中古もあわせてみるとしあわせ
築20年ぐらいだと水回りに向けて段差があったりするんですよね。今みたいに段差スラブとかで逆に水回りを凹ますっていう発想もないから「水回りの部分だけ上がってる」とか「梁の出方がきつい」とか。
10年単位で見るとその辺の「進化してきた部分」っていうのが分かります。それは10年20年前のマンションを見ないと分かんない。今のが良くなってるっていうことは築1年や築2年を見たって認識できないですよ。
逆に相場観を持たないで、例えば「中古が安そうだから」って行っちゃうと結構まずいですね。そこはある程度武器を持って戦場に行かないと。
やっぱり中古っていうのはさっきもいろいろ話出たように「これぐらいで売れればいいな」みたいな感じで高く付けてるケースもあるので、高値掴みしちゃった日には取り返しがつかない。そんな失敗を避けるためにもある程度相場観を理解しておいて「自分の希望の物件・エリアで高く出てるようであれば交渉する」とか、あるいは「安い所、相場並みの所で考える」とか、そういうやり方が求められますね。
仲介業者ももちろん相談相手にはなれますけど、「その人が安く買えるか」よりも「決まるかどうか」の方が大きい要因なので「別に高く買ってくれても決まるんだったらそれでいいや」みたいなスタンスになりがちです。だから「自分の身を守るためには、自分である程度学ばないといけない」っていうところはあると思います。
結果「知識がないといけない」という点で、中古は初心者向けではないんですね。別に「一時取得で中古を買う」っていうのもいいんですけど、そういうつもりなら「ある程度万全な用意をしていったほうがよい」とは思います。