さくら事務所長嶋さんの新刊「100年マンション 資産になる住まいの育てかた」。本ブログの方でも書いたのですが、意識の高い管理組合活動は資産価値に結びつくのか、結びつくとしたらどういう活動か。休日のひとときに、脳内シミュレーションしてみました。
新築・中古問わず、ほとんどのマンションの修繕積立金が不足しているという現実があります。そして、将来に向けてきちんと計画を立て修繕積立金の手当をしているマンションと、全く対策していないマンションが存在します。
一方で、中古住宅市場においては手当されているマンションか否かは容易にわかりません。外観で明らかな差が出ていない限り同じ水準で取引されている現実があります(P95~96)。
(画像出典:すてき空間より)
つまり、現状では「意識の高い管理組合活動は、資産価値に全く影響しておらず、その資産価値の上下はマクロ市況と立地、地域の人気状況により左右される」ということです。いくら一生懸命やっても、適当にやってる隣のマンションと数字的に差が無いんじゃ報われないのですが、それが現実なんですよね。新築マンション主体のこちらの掲示板で書くのもなんですが、管理費はより高く・修繕積立金はより安くすることが、デベロッパー側のインセンティブとして働きます。これを早期に是正できるか・2年/10年アフター指摘でどれだけしっかり直しておくかが、鍵とのことですが。。。
実際に私宛の相談でも同じようなケースがあります。例えば「マンションA」と「マンションB」があって、「AとBで修繕積立金が倍違うから、安い方のBにしますがどう思います?」って残念な相談って一定数あるんですよね。年数的にBはその次の年に修繕積立金を値上げするんですが、でもそんなの買い手はなかなかわからないのが現実なんですよね。
はるぶー先生も「管理組合の活動で資産価値に差がつくのは築20年を超えてからだ」とおっしゃられていますが、そうなると沖先生が常々主張している「マンションは10年ごとに買い換えよう(管理のことなんて知ったこっちゃない)」というのは動かしようのない真実ということになります。子どもがおらず身軽な身なら、管理組合に極力携わらず、自分の稼ぎを最大限のポイントに置いて、問題が出てくる築10年を目安に新築に乗り換えていく、沖さんの方が論理的には正しいです。ただ、子どもがいると、住替えは容易ではないことも確かです。ここで議論は最初に戻ります。
んじゃ、どうすれば、「20年経たずとも資産価値に差が出るようになるのか」。長嶋さんは、横並びの情報公開義務付け提言されています(P207~208)が、仲介・買い手がその情報を受けきれるかが難しいですね。情報公開に基づき中古マンション管理格付けする第三者機関のアイデアもありますが、事例を見る限り管理組合がイケてるかどうかはあくまでも人なので、コアメンバーが辞めてしまったら悪徳コンサルに丸め込まれて一気にダメになってしまう可能性もあります。
私は管理組合やってないので、あくまで買い手側の立場になって考えますと、中古なのに新築より高かったり、周りの中古よりも明らかに高い物件を買おうとするなら何らかの理由が必要です。管理運営がもし意思決定に介入できるとしたら運営側が以下のカードをどれだけ揃えて提示できるかだと思いますね。重要度から順番に挙げていくとしたら、
- 住戸の売出し数が少なく、希少であること。
- 指名買いが起きるような要素があるマンションこと、もしくは指名買いを起こさせるような仕掛けを管理組合側で作ること。
- そのマンションに入居しないと受けられない、希少性のあるサービスが有ること
- ここを買っても安心であるという材料があること。
- そもそもメディアで名指しで褒められるようなマンションであること。
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マンションの不動産鑑定評価書には、管理組合の活動評価額はない。
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