2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、羽田空港の国際線発着回数を増やすため、都心上空を飛行する羽田新ルート計画。 同ルート周辺の多くの住民は落下物・墜落事故の危険リスクや騒音などの影響を受けることになる。
新築マンションの価格にはどの程度影響しているのか。
【もくじ】
◇羽田新ルート周辺で新築マンションは何件くらい販売?
◇新築マンション価格は羽田新ルートの影響を受けているか?
◇◇新築マンションA(@練馬区)の場合
◇◇新築マンションB(@品川区)の場合
羽田新ルート周辺で新築マンションは何件くらい販売?
23区の新築マンションのうち、羽田新ルートの周辺で何件くらい販売されているのかご存じだろうか?「SUUMO新築マンション首都圏版(7月3日号)」の巻末「スーパーガイド」に掲載されている23区の新築マンション(新古マンションを含む)を地道に数えていくと、その数309件!
羽田新ルートマップに、309件を落とし込んだのが次図。
「新築マンションの8%!羽田新ルート周辺で販売中(23区)」より
309件のうち、何件が羽田新ルート周辺で販売されているのか?
羽田新ルート直下から「500m以内のエリア」で販売されている新築マンションの件数を数えてみた。「500m以内のエリア」としたのは、騒音の影響を大きく受けるエリアであるからだ(次図)。
「「新飛行ルート問題」騒音の影響を地図化してみた」より
結果は、A・C滑走路到着ルート合わせて24件(内訳次表)。
ルート直下から「50m以内」の新築マンションは、4件(港区2件、渋谷区2件)。
ルート直下から「50m超500m以内」の新築マンションは、20件。渋谷区が5件で最も多い。
「新築マンションの8%!羽田新ルート周辺で販売中(23区)」より
SUUMOに掲載された23区の新築マンション309件のうち、羽田新ルート直下周辺で販売されていたのは24件(7.8%)という調査結果 となった。
新築マンション価格は羽田新ルートの影響を受けているか?
23区の新築マンションの価格は羽田新ルートの影響をどの程度受けているのか?大手不動産会社7社が共同で運営している新築マンション情報サイト「メジャーセブン」に掲載されている23区の新築マンション72件(次図)のうち、羽田新ルート直下から500m以内のエリアで販売されている物件は9件(マン点調べ)。
「羽田新ルート直下の新築マンション」より
この9件のうち、総戸数100戸以上で、かつ必要な価格表(※後述)が入手できたのは2件。羽田新ルートがこれら2件の価格に影響しているのかどうか確認してみよう。
新築マンションA(@練馬区)の場合
羽田新ルート直下からの水平距離約300m、練馬区内に建つマンションA(18年12月竣工)。発売単価は、階数や方位によってバラツキがあるのが一般的だ。期を重ねるにつれて、単価差が収れんしていくのもよくあることだ。
新築マンションAの場合、発売単価の中央値は、第1期(18年6月)から第2期(18年9月)にかけて、下落するどころかむしろ若干上昇している(次図)。
このことから、練馬区に建つ新築マンションAの発売価格は、羽田新ルートの影響を受けていないといえそうだ。
新築マンションB(@品川区)の場合
羽田新ルート直下からの水平距離約450m、品川区内に建つマンションB(18年9月竣工)。新築マンションBの場合、発売単価の中央値は、第1期1次(17年4月)から先着順(18年8月)にかけて、概ね上昇傾向にある(次図)。
このことから、品川区に建つ新築マンションBの発売価格も、羽田新ルートの影響を受けていないといえそうだ。
以上のように、新築マンション価格は羽田新ルートの影響をまだ受けていないという調査結果となった。
現時点で新築マンション発売価格への影響が見られないのは、不動産会社のダンマリだけでなく、羽田新ルート問題を世間に知らしめたくない国(国交省)と忖度メディアの不作為の成果なのであろう。
23区の中古マンションの価格が羽田新ルートの影響を受けているかご関心のある方は、「「羽田新ルート・リスク」はマンション価格に織り込まれているか?」ご参照。
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