このブログは5日おき(5、10、15・・・)の更新です。
このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論」を展開しております。
10年が期限だった住宅ローン控除が15年になるかもしれないというニュースが伝わっています。17日も与党公明党の税調会長談話にありました。
そうなる公算が大になって来た印象を受けます。
この影響を考えてみました。
現在、10年間で最大400万円、1年では最大40万円が所得税から税額控除されることになっていますが(物件によって50万円、500万円)、納めている所得税が40万円以下の人はゼロになる結構な税制です。
毎年12月末時点のローン残高が4000万円以上の場合なので、3000万円しかなければ30万円にしかなりませんし、10年以上の借り入れをした場合だけですが、この恩恵を受けている人は非常に多いのです。
住宅ローン控除は、景気浮揚策として登場した「時限立法」でしたが、何度も延長されて結果的に「恒久減税」のようになってしまいました。
スタート当初は2年か3年と短いものでしたが、今は10年。それが15年になるかもしれないというニュースです。
年間限度の40万円を増額することはないと報道されていますが、15年に延びるだけでもインパクトがある策です。
●購買意欲を高める
消費税が8%から10%に上がることで消費が落ち込むことが懸念されており、その対策のひとつが「ローン控除5年延長」なのですが、新築マンションの場合、土地と建物に区分し、建物にのみ課税するので、例えば5000万円のマンションの建物代が3000万円としたら、その2%の60万円が増税分となるのです。8%時代に5000万円のマンションは、2019年10月以降は5060万円に1%強高くなるわけです。わずか60万円でも、消費税アップは買い手の購買意欲を削ぐかもしれません。もっとも、駆け込みの購買が生じて差し引き購入数は変わらない理屈ですが、そこはともかくローン控除が400万円から600万円になるのは、買い手にとってはメリットが大きいことになります。
従って、この策はマンション販売を下支えする、若しくは後押しすることになりそうです。2016年1月以降、落ち込んでいる新築マンションの契約率は上向きになるかもしれません。
●中古マンションには消費税上げは無関係だが
中古マンションは、売主が個人なので消費税の課税業者に当たらないため、消費税はかかりませんが、その代わりにローン控除も最大200万円(新築マンションにの半分)になっています。それが300万円になるなら、こちらもメリットは小さくないと言えます。こうしたことを考えると、2019年以降のマンション売買は活発になる可能性がありそうです。
尚、中古マンションには売主が法人(課税業者)の物件もあるので注意しなければなりません。特にリノベーション物件は例外なく法人なので、消費税は課税されます。
●15年間保有を続ける人が増えるかもしれない
前に書いた記事で、ローン控除が終わるので買い替えて新たなローン控除を受けようという人がいることをお伝えしました。分かりやすく言えば、10年間の所得税を10年間ゼロにできたマンション購入者は、11年目に新たなマンション(新築)を買って次の10年も所得税をゼロにしよう、通算で20年間も所得税がゼロになるのは大きなメリットだから、という考えを持つ人があるのです。
本末転倒のように思いますが、ともあれ所得税を減らすために家を買うというのは、政府が狙う「消費刺激」に乗ることではあるのです。
今回の5年延長が決定したら、このような考えも10年ではなく、15年
に延びるかもしれませんね。
●新築マンションの現場では
基本的に新築マンション購入に関わる消費税率は、引き渡し時点(工事完了時点)での税率が適用されます。ただし、壁の色やドアの形状などが特注できるなど一部の売買契約の場合、2019年3月31日迄に契約が完了していれば、引き渡しが2019年10月1日以降であっても、経過措置として旧消費税率8%が適用されます。
特注の仕方が問題で、「請負契約」の形が必須らしく、その辺りは売主業者に確認をすることが必要です。
買い手の購買決定を急がせたい業者は、「いつまでに契約して頂ければ、建物の竣工がたとえ2019年10月以降でも8%のままです」などと言って、2019年1~3月の契約を迫るかもしれません。
また、既に完成した物件では、2019年9月30日までに引き渡しを済ませれば8%なので、7月・8月は書き入れ時になるかもしれません。
消費税の話はここまでにして、ローン控除に戻しましょう。
ローン控除は入居年の12月31日の残高によって、翌年2~3月の確定申告期間に還付請求するのが初回の作業なので、消費税上げとは直接関係がないはずです。
つまり、ローン控除の延長(増額)は新築マンション業者にとって追い風になるのです。仮に、2019年9月までの駆け込み契約が増えても、10月以降に反動で売れ行きが落ち込むということはなさそうです。
「住宅ローン控除が15年に伸びました。最大600万円が減税になります」と大々的にアピールするに違いありません。
売れ行きが回復すると、マンション業者は高値修正を思いとどまり、現状の高原状態(実際は微上昇)は当分続くことになるかもしれません。値引き販売の状況に追い込まれる物件も減るかもしれません。買い手にとっては、値引き交渉のチャンスが減ることになるので、「痛しかゆし」ということですね。