前回:DJあかいのマンション傑作選その4「中銀カプセルタワービル」前編
さて、人体のように建築も新陳代謝していく「メタボリズム」を提唱した黒川紀章が設計した中銀カプセルタワービルは、老朽化したカプセルを都度新しいカプセルに入れ替えていくことで建物としての永続性を保つよう企図されていました。
ところがその後、カプセルは1個も交換されずに現在に至っています。
これは消防法・建築基準法の改正で同じタイプのカプセルを新規に設置することが難しくなったことや、管理組合内の合意形成がうまくいかなかったこと、技術的問題などが挙げられます。
新陳代謝をしなくなった人間が死んでしまうように、カプセルタワーの劣化老朽化も進んでいきました。
また、カプセルの内外にアスベストが使用されていること、建物の老朽化を受けて一度は建て替え決議が成立したものの、リーマンショックのあおりを受け、予定していたゼネコンが倒産し、計画は白紙に戻りました。
(建て替えに対しては設計者の黒川紀章も反対運動を起こした)
結局建物全体の大規模修繕は行われず、個別で防水工事が行われたり行われなかったりして自然に還ったカプセルも出ています。
近年にはある部屋のガラスが落下し、危険だということで建物全体にネットが張られました。
カプセルを個人でいくつも買い集めた人がこの建物を保存しようと運動の矢面に立ち、建て替えを企図する中銀グループ(中銀の本社ビルは低層階にあります)と対立したまま数年が経ち、2018年に大きな動きがありました。が、それについては次回。
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