第198回「分譲時の価格は知らない方いい」

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このブログは5日おき(5、10、15・・・)の更新です。次回から変更になります

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

 

中古マンション検討者は売り出し価格が適正なのかどうかが判断できないためか、比較データを懸命に探そうとするようです。それは当然の行為ですが、その過程で新築分譲時の価格を偶然知ってしまうケースがあります。

 

今日はそのことについて書こうと思います。

 

●新築時の価格を知ってどうする?

中古マンションの検討するときは、売り出し価格があっても前向きに検討する段階に至れば、「おまけして」という交渉をするのが一般的です。仮にその価格が適正なものであっても、指値に売主が歩み寄ってくれたら買い手は購入意思を固めることができます。

 

もっとも、最近は言い値で買ってしまう人も多く、売り手市場の色は濃いのですが・・・

 

さて、筆者に対する共通の質問に「いくらで指値をすべきか」または「000万円の指値は乱暴か?」があります。

 

筆者が調べるのは地域相場であり当該マンションの取引事例です。そのうえで、対象住戸の階数や方位、間取りなどを勘案して適正価格を判定します。

そして、以下のようにコメントします。
  •   *   *   *   *   *
中古の売り出し価格は取引事例との比較によって設定されるもので、所有者が強気であるとか高く売らないと困る事情にない限り、概ね相場で売り出されます。

ただし、普通は買い手からの指値(さしね。価格交渉)を想定して5%くらいはONしているものです。 しかし、本物件はそのレベルを超えています。成約事例から見て10%ほど上乗せしていると考えられます。

 

現状のマンション市場は、新築・中古とも価格が急上昇し、2012年頃に比べて30%は高くなりました。建築費・地価上昇の影響を受けて新築マンションの価格は急騰し、連動する中古マンションも同様に価格急騰のトレンドにあります。

 

その市場トレンドに便乗して高く売りたいとする売り手さんも増えています。多少の差はあっても全ての物件が高値になってしまい、誰もが高値掴みを強いられてしまう時期に当たっているのです。

 

いずれにしても、安く買える方がいいのですから、最終的には価格交渉を頑張ることが大事です。目標値は〇〇〇〇万円と考えます。

 

* * * * * * * *

筆者のレポートには、いくらで買ったマンションであるかは一切触れていません。それを伝えても意味はないからです。

 

●営業マンは価格の上がった良いマンションだと言うが・・・

ときどき、分譲時の価格を意図せずに知ってしまう人がいることに気付きます。文章の行間から仲介業者のセールトークによるものだと分かることもあります。

 

営業マンは、「高くなった本物件は、それだけ値打ちがあると世間が認めているのですから、これをお買いになれば将来も期待できます」と言ったのでしょうか?

聞いていたわけでもないので定かではありませんが、そんな話を鵜呑みにする人があるのでしょうか?

分譲時より大幅に下がったマンションですと言われるよりはいいですが、肝心なのは、売出し価格が適正かどうかにあります。ところが、営業マンは、そのことに関しては口をつぐんだままです。

 

●そんなに儲けるのかと怒った人もいる

こう言い放った人がありました。

「5年住んだだけで1000万円も儲けようとするなんて、そんな不当な儲け話に付き合いたくない」と。

 

価格を知らなければ、その人も買った可能性はありました。その物件は、筆者の判定では優良マンションの部類だったからです。分譲時の価格などというものは知らない方がいいのかもしれません。

 

高く売りたいと思うのは、人間の共通の欲望であり、誰も止めることはできません。10年住んだから元は十分取ったので、お安くしましょうなどという奇特な人はいないのです。

 

中古マンションは、ある意味で市況商品です。市場に強い需要があれば、その商品は値が上がるのです。現状における価格が、市場の認めた価値そのものです。市況が悪化すれば値段も下がりますが、下がるのを待って買えるものなら、そうすればいいわけです。

 

新築時の価格は、その時の地価(正しくはデベロッパーの買収額)とその時点の建築費の積み上げで決まるので中古とは違いますが、分譲時(正確には用地取得時)の地価が安かった、建築費も安かった、だから分譲価格も安かったのです。そのときと同じような用地費、同じレベルの建築費なら新築マンションの価格も上がりませんし、連動する中古マンションの相場も上がらないのです。

 

実態は地価が上がり、建築費も上がって新築マンションの価格は平均で5年間に30%以上も上昇してしまいました。これは、仕方ないことです。新築が上がって中古も上がる、これも不自然なことではありません。

 

もし、そこに不自然さがあるとしたら、不当に値を吊り上げる力が働いたときです。端的に言うと、投資家が急速に台頭したときです。そのような集団が群がるマンションはともかく、一般のマンションの価格は市場で適正に評価される。筆者は今のところそう思っています。

 

とはいえ、一般の売主さんの中に悪乗りしている人もあるので気を付けなければなりません。昨年の記事を再読なさってください。「第154回 悪乗りする中古マンションの売主と価格交渉」です。

https://www.sumu-log.com/archives/11417/

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

 

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5日おきに書き続けて来ましたが、みなさまのおかげで超多忙になり、ブログ更新が厳しい状況になっております。しばらくの間、10日おき(次回は3月5日からの再スタート)とさせていただきます。悪しからず、ご理解・ご容赦賜りますようお願い申し上げます。      三井健太

 

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