お便り返し(7) 売るべきなのか貸すべきなのか(その1)

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差出人:迷える子羊
築10年のマンションから、来年完成予定のマンションに住み替えたいと考えています。今のマンションは売らなくてもローンは組める状況ですが、売るべきなのか貸すべきなのか悩んでいます。
既にローン完済し残債が無いのですが、検討中の新築マンションの営業さんは皆さん貸すべきだと言われます。空室が心配なら家賃保証のある関連業者を紹介しますという会社もありました。
現状では、売却なら購入金額からマイナス1500万円~2000万円くらい、賃貸なら家賃13万円以上~と言われましたが、賃貸となると色々面倒な事が起きるのではないかと漠然とした不安もあります。全く不動産には疎いので、損失覚悟で売却した方が無難でしょうか。アドバイスをどうぞ宜しくお願い致します。


ご質問いただきありがとうございます!回答させて頂きますね。
まず結論から申しますと、私も営業さんのご意見と同じく「貸す」の選択肢が優勢かな、と思います。(あくまで個人的な意見ということで!)

不動産の賃貸そのものは、そんなに面倒なことはありません。疎くてもやれば分かりますので大丈夫です。ご心配であれば家賃保証のある業者を使っても良いでしょうけど、1戸だったらご自身でいくつか仲介会社を手配して賃借人を見つけて直接賃料をもらうようにしても、そんなに手間というほどではありません。

細かいことを言うと、その関連業者さんが大手でないなら、1択でお願いするよりは他の業者にも声を掛けて話を聞いた方が良さそうです。1社にだけ話を聞いて13万円~と言われても、その話が信用できるかどうか分かりません。ご自身でネット検索して家賃相場を見るのも一つです。

賃貸に出すのであれば、不動産市況が今後崩れることも考えて最低でも10年(景気1サイクル分)は持ち続けるくらいの気持ちでいた方が良いです。まだ築10年の物件で新しいですから、なんならもっと引っ張っても悪くないですね。

作業として面倒なのは、仲介業者選び~条件交渉~賃借人を付けるところまでで、一度契約まで行って入居さえしてしまえば、あとは家賃の振り込みだけ見ていれば良いので楽です。物件も築10年のマンションということですから、部屋のリフォームも考えなくて良いでしょうし、共用部の管理は人任せにできますし。

家賃が13万円なら管理費修繕費や固定資産税など固定費を差し引いても8万円9万円は手残りしますよね?年間100万円です。これってけっこう美味しくないですか?
ローン残がありませんから、物件を貸していて心配になることはあまり無いでしょう。むしろ不労所得の良さが実感できますよ。(それにしても、それほどの価格帯の物件をローンで購入してすでに残債なしというのは、ものすごい返済能力ですね。。と、妙なところで感心してしまいました。)

面倒くさいのはむしろ別のところで、確定申告です。
迷える子羊さまが会社員でいらっしゃるならば、源泉徴収票をもらって年末調整してオシマイではなくて、当然ながら確定申告もしないといけないことになります。多分こちらの方が面倒くさいです。

ただ、これは面倒と捉えるか、勉強と捉えるかの違いだと思います。
折角のお勉強の機会が出来たと思って、色々調べてみられるのも一考ですね。今売却するとそれだけの差損が出る価格帯の物件(つまり高額物件)ということは、逆に言えば建物部分の減価償却もそれなりの額を計上できるでしょうし、管理修繕費ほか賃貸経営するにあたり必要な諸経費も計上できます。

よく投資用に開発された新築マンションの営業マンがトークを組み立てる際に出てくる、税金が還付されて何だかお得そうに見えるロジックは、この減価償却とか経費計上のところを上手くやりましょうという話です。
わざわざ高い新築物件を買って帳簿上の損益マイナスにして所得税の還付を受けられるけどキャッシュフローぎりぎりなんて戦略は積極的にはお勧めしませんが、今回のように確実に手残りのある賃料から、経費として扱える細目をよく理解して計上すれば上手な節税につながります。

申告が面倒でしたら会計士に投げることも出来ますし、それじゃ高いということであればマネーフォワードやfreeeのようなクラウド会計サービスを利用するのも一つです。家計簿代わりにもなりますから一石二鳥ですが、いずれにせよ少々面倒くさいことには代わりないです。。

最後になりますが、今は不動産市況が良いので売るのももちろんアリだと思います。上に書いたようなことが「面倒くせぇな~」と負担になって嫌になっちゃいそうなら、精神衛生上売った方がいいです。
売ったら売ったで、手持ちの物件もさっぱり無くなって気持ちが楽になりますね^^

今後の先行きがどうなるかなんて分かりませんが、景気が悪くなると価格がもっと落ちてしまいますしね。。今回売るという選択肢をとると、差損分は譲渡損失として当年+以降3年間繰り越して所得と相殺できます。
こちらも結局、確定申告が付いて回りますが、賃貸経営よりは楽です。ご年収が500万円とかそれ以上あるなら差損分を全部消化できますね。
(控除条件や詳しい内容については「譲渡損失の繰越控除」で調べて下さい)

注釈:
当方からのご回答は、過去にスムログに頂いた古めの質問をピックアップさせて頂いております。特定のケースについてご質問の際、その内容を一般化して多くの方に関係する内容とさせていただく場合があります。また本記事は、当方の個人的な見解・意見であり、その内容に関していかなる責を負うものではありませんので予めご了承下さい。

ABOUTこの記事をかいた人

スムログ担当者です。その昔、某デベで新築営業した後、Web業界に転身しました。妻と子供5人(7歳双子、5歳、3歳、2歳)、7人家族の親父業をやってます。

こちらのサイトでも担当者やってます。
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