フリーペーパー「SUUMO新築マンション」が週刊から隔週に変わったことをご存じだろうか。
スーモの隔週化から見えてくる不都合な真実……。
【もくじ】
◇新築マンション市場の縮小の影響
◇新築マンション需要構造変化の影響
◇SUUMOのスポンサー事情
リクルート社が発行しているフリーペーパー「SUUMO新築マンション(首都圏版)」が週刊から隔週に変わったことをご存じだろうか(写真)。
じつは「首都圏版」だけでなく、「東京市部・神奈川北西版」や「埼玉県版」、「千葉県・茨城県南版」「横浜・川崎・湘南版」「関西版」も、2月5日号から隔週になった(名古屋版だけは13年8月27日号の創刊以来隔週)。
なぜ、隔週に変わったのか?
3つの理由を考えてみた。
- 新築マンション市場の縮小の影響
- 新築マンション需要構造変化の影響
- SUUMOのスポンサー事情
新築マンション市場の縮小の影響
新築マンション市場が縮小に向かっているので、SUUMOを無料で出版し続ける原資の確保が難しくなってきたとういう見立てである。首都圏新築マンションの市場規模は、リーマンショック(08年9月)の翌09年に1.65兆円で底を打つ。その後、消費税増税8%実施(14年4月)の前年まで拡大した後、再び縮小に向かう。17年度は2.2兆円。一方、中古マンションの市場規模は、徐々に拡大し15年度に1兆円を突破(次図)。
「2017首都圏新築マンション市場|市場規模2.2兆円」掲載データ更新
高騰した新築マンションに見切りをつけて中古マンションの購入に向かう生活者の姿が思い浮かぶ。
2020東京オリンピック・パラリンピックに向けて新築マンションの高騰が続くようであれば、新築から中古への流れは止まらないのではないか。
新築マンション需要構造変化の影響
5千万円以下の価格帯の供給割合は激減しているので、SUUMOの”愛読者層”が減少したという見立てである。現在の首都圏新築マンション市場は、高くて売れない状況が続いている。23区の発売戸数の割合は、5千万円を境にクッキリと2極化しているうえに、5千万円以下の価格帯の供給割合は激減しているのである(次図)。
「首都圏新築マンション市場動向(19年1月)|販売在庫数2か月連続で1万戸に迫る」より
「ホントなのか?」という方のために、10年以降、23区で発売された新築マンションの価格帯別の発売戸数の割合を可視化してみた。13年あたりから、5千万円以下の新築マンションの供給戸数の割合が減少していることが分かるであろう(次図)。
ちなみに、億ションの割合は15年あたりから増えている。庶民には手が出ない状況が続いている……。
「5千万円以下の新築マンション減少中…」掲載データ更新
SUUMOのスポンサー事情
大口スポンサーが抜けた影響が大きいのではないのかという見立てである。SUUMOが毎年末に発行している「不動産会社ガイド」には、不動産会社がアイウエオ順ではなく、1社当たりのページ数の多い順(広告料の多い順?)に掲載されている。
上位6社について、過去4年のデータを並べてみたのが次図。
大手不動産4社(三菱地所R、三井不動産、住友不動産、野村不動産)のうち、それまでダントツ1位だった住友不動産の掲載ページ数が2年連続ゼロなのである。
「SUUMO「不動産会社ガイド」ページ数ランキング」より
大手不動産3社(三菱地所R、三井不動産、住友不動産)の掲載ページ数の推移を可視化したのが次図。
14~16年と比べて、17年は住友不動産分がスッポリ抜け落ちているように見える。17年は住友不動産分がスッポリ抜け落ちているように見える。さらに18年は住友不動産分がスッポリ抜け落ちただけでなく、ページ数全体が減少している(前年比▲17%)。
「同上」より
住友不動産はフリーペーパーSUUMOという紙媒体には出稿のメリットがないと判断したのか……。
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