最近よく話題になり、”間違った”新聞報道などもよくなされている標準管理規約のコミュニティ条項の削除と、何回か特にメガマンションのコミュニティをテーマに書いていこうかなと思います。
メガマンションは自前で、自治会を立ち上げないといけない
千葉市が”みなし自治会”制度を始めたのがニュースになるくらいに、地方自治体側はオーナーの団体である管理組合ではなく、住人の団体である自治会・町内会側をその末端組織として認めていこうとする傾向があります。やれ防災だ防犯だとか、ゴミだしはしっかりねとか元々の町内会的機能を頼むなら、相手は”オーナー”ではなく”住人”ですからこれはある意味では妥当ではあります。なので管理組合だけあって、マンションの人がいかなる自治会・町内会にも非加盟だと、いろいろと通知が来なかったりなんてことが起こったりします。小さ目の数十戸なんてマンションなら、地区の自治会に個人ベースで入れてもらうという手もあり。ただ元々戸建地区に建ったマンションだといろいろ建築時に近隣問題でいざこざがあったりとかしてしこりが残ってるとかでスムーズには加入できなくて、酷いパターンだと上納金だけ巻き上げられて、行事とかにはろくに参加できないなんて話も聞きます。うちのお隣のマンションは40戸ほどですが、近隣の自治会には軒並み加入は拒否されたみたいで、まぁ戸数も戸数で理事会で精一杯だから自治会はなしってことになったとか…
戸数がずっと増えて500戸~1000戸とかのメガマンションともなるともうその手は選べません。うちの近隣の自治会組織は全部戸建中心でせいぜい200-300戸です。そこに500戸でーす一緒にして!とかお願いしにいっても、議決権過半数とられちゃいますからいれては貰えないですよね。 また、湾岸の再開発地区のタワー群などのように、元々あんまり人がすんでいなかったとかで、地区には連携していける自治会組織が一切存在していないパターンも私が主催している理事長の会(RJC48)ではよく見受けられます。
なんらかのコミュニティ活動はがないと、防災対策の検討もままなりません。祭りなどの餅つきだのやって炊き出しの経験とかなしで、地震が来たらわらわらと勝手に人が集まってきて自主的に助け合い始めるだとうと考えるほど甘い人もいないでしょう。必然的にメガマンションは自治会的組織を自前で立ち上げるしかなくなります。
メガマンション自治会の4パターン
私は170ほどのマンションから200人ほどの理事さん(殆どは理事長もしくはその経験者)が集まっている自主的な勉強会(RJC48)の代表をしています。RJC48の加入マンションにはメガマンション・タワーマンションなどが多くて、参加マンションの平均戸数が350戸、平均階数が20階とか「とかく大きなマンションが多い」のがRJC48の特徴です。今年の1月に「コミュニティ活動」と「理事会活動」の活性化をテーマの一つとして勉強会を湾岸の巨大タワーで開催したのですが、そこで私が提示した、メガマンション自治会の類型分類がこれ。
青く塗ったのが自治会で、黄色く塗ったのが管理組合。マンションの外まで及んでいるかどうかを明らかにするために、マンションの範囲を四角く囲ってみました。
メガマンション自治会いろいろ:
- 完全独立型 : 独立な自治会を立ち上げてコミュニティは全部管理組合から切り離す
- ”自治会なし”型 : 理組合理事会が主導して、わざわざ別組織としての自治会は作らない。当然コミュニティは、全部組合の業務になる
- 理事会の下の委員会型 : 自治会を立ち上げるものの、組織的に理事会の下の委員会のようにしている例。”自治会長”は”理事長”の部下になる
- マンションでの連合自治会型 : 開発地区で、タワーのみ林立しているような地区で、時には5000戸~10000戸といった巨大な連合自治会を組織する例
「コミュニティ条項を削除せよ」とか、
「管理組合が夏祭りをやっちゃいかん」とか主張している
今回の標準管理規約改定の素案を検討した委員会のご託宣は、管理組合とは完全に別に、自治会を立ち上げろという趣旨ですから、この中では1のタイプを想定しているものでしょう。実はこのブログを書いているはるぶーのマンションはこの方向で、数年がかりで「組織上の完全分離」は達成しています。
戸数や、立地の条件、周辺地区のコミュニティ組織とのお付き合いとの兼ね合い、地方自治体の行政側の対応などで、各々のマンションがいろいろ考えた上で、自治会のスタイルを選択しているわけなので、どんなスタイルを選択するかは、そのマンションごとの事情とかがあるわけで、どれが正しい! と言えるようなものではありえない。
各々の自治会の設置パターンごとに、利点・欠点は当然あるので、それを強く意識した運営をしていかなければなりませんし、マンションの自治会のありようは多彩であることに対応した「標準管理規約」を初期設定してくれないと、例えば2のパターンで、改正版の標準管理規約通りに後追いして改正してしまったら、何もお金が拠出できなくなって即死ですよね・・・ 今後一つ一つ論じていきたいと思ってます。
理事になったらRJC48に参加しよう!
下のポスターは、1月のRJC48の勉強会のもの。「コミュニティ活動」と「理事会活動」の活性化となっていて2つは別テーマで論じられているように見えますが、実は表裏一体のものです。
祭りをやって、何百人分のカレーの炊き出しやるぞー!とかで隣ででっかい鍋をぐりぐりかき回している人を、あなたも理事会やりましょう!と誘うととても高率で立候補してくれるんだけど、理事会役員募集とかチラシを500枚印刷して投函しても、立候補者がでてくる期待数は1人いるかいないかです。意識高い人を募れる確率が実も何桁も違うんですよね・・・この話もおいおい。
管理組合の理事(長)同士の情報交換に関心のある方は、こちらから。勉強会への参加の照会もこちらからできます。
→ http://rjc48.com/?page_id=39
!! 重要 !!
本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません
ゴミ収集などは各世帯では相手にしてくれず、自治会がまとめ役になる必要がある地域は少なくないと思います。
そう考えると管理組合は自治会の役割の一部を既に担っているかも?
投資目的のワンルームマンションが過半数で住民票が充分移されていない場合には、総務省から見たら管理組合が自治会の役割をお願いしたいし、建設までの国交省はそこまで配慮して無さそうな気がします。
総務省と国交省が各々委員会とかひらいて、その結果が
大きく食い違っていると、いったいどっちを信じれば・・・とか
思わないでもないですねぇ