随分前の座談会で話した内容に「???」となった方から質問が来ました。モモレジ大先生が回答者でなくてすいません。
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モモレジさん or のらえもんさん 指名です.
・レインズに成約価格を載せない場合の理由・事情
・なぜ「専任媒介を取り下げて一般媒介で契約する」のか について教えてください.
最近 スムログを知って過去ログまで遡って,ざっと目を通したのですが,
第8回マンションコミュニティ座談会「中古マンションについて」前編 の中で,
モモレジ:
レインズも「専任だったら成約価格を載せなきゃいけない」んですけど、成約価格を載せて欲しくない人も多いんで、専任だった場合でも「改めて一般で再契約してもらい成約事例を載せないでもらったり」とかする。プロやセミプロがかかわるケースってほとんど成約事例に載らないですよね。
のらえもん:
なぜ「専任媒介を取り下げて一般媒介で契約する」かはググってください(笑)。
というやり取りがありました.ネットサーチは得意な方だと自負しているのですが,ググっても今ひとつよくわかりませんでした.クリアカットに説明していただけると幸いです.
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一般の方に説明いたしますと、まず不動産仲介業者が中古物件を見られるシステムとしてレインズというものがあります。
https://system.reins.jp/
ここには、いま市場に出ている売却物件と賃貸物件の在庫と、過去いくらで売れたのかという成約事例がデータとして載ってます。仲介店に物件を依頼しますと、まずこれを検索してお客様に物件を紹介しますし、売却依頼を受けた時には成約事例を見て「どのくらいで売れそう」と査定価格の参考にするわけです。
実際に売出し物件をお客様へ見せるときは、このレインズから「マイソク」と言われる、テンプレートの図面をここからダウンロードして、下側部分の○○不動産というのを自社名の帯で上書きコピーしてお客様にわたす、ということです。
パソコンで出力したものに、アナログで切り貼りするから、二重コピーになります。仲介店がお客様に出すのが微妙にかすれてるのはそのせいです。
さて、取引データは、網羅的に整備されてはじめて価値があります。
売り主が仲介店と専任媒介契約もしくは専属専任媒介契約を結んでいる場合、レインズに売却物件の登録と成約時には成約事例の登録が義務付けられています。昔はそれでも成約事例については、登録するところが少なかったと聞きますが、最近はコンプライアンス厳しいので大手仲介店はルール上義務付けられているなら成約データの登録していると思いますね。
不動産会社に売却(交換又は賃貸)を依頼し媒介契約を締結したとき、不動産会社はその情報を国土交通大臣が指定した指定流通機構(※近畿の場合は公益社団法人近畿圏不動産流通機構)のシステム「レインズ」に登録(※1)(※2)します。
レインズに登録されると、指定流通機構により「登録証明書」が発行されます。
不動産会社はレインズに登録された証として、その証明書を依頼者に遅滞なく交付します。
なお証明書には「登録」以外に「変更」「再登録」「成約登録」「削除」の合計5種類の証明書があります。
成約登録証明書:物件が契約(成約)したとき。
登録していた物件の買主が見つかり、売買契約を締結したときは、その成約日と成約価格を登録し「成約登録証明書」が発行されます。
近畿レインズ:媒介契約制度とは » 登録証明書について より
つまり、売り主が仲介店と専任・専属専任媒介を結んでいる場合は、「あなたの物件がいくらの希望価格を出して・結局いくらで売れたのか」「あなたが買った物件は、いつ・いくらで買ったのか」というデータを、全仲介店は知ることができるのです。このセンシティブさのため、このデータは広く一般に公開しないものと考えられます。
しかし、世の中には、「いくらで買ったのか」を知られたくない人がいます。先程述べたようなプロやセミプロの人たちです。転売目的であれば、以前いくらで自分が買ったのかわかるデータはノイズでしかないのです。
ですので、専任(専属専任)媒介契約を売主が一度取り下げ→改めて一般媒介契約を結ぶ→その後売買契約をする、というプロセスを踏めば、成約事例をレインズに登録する義務は無くなるのです。
まぁ、ここまで手が込んだことを素人が頼むのもどうかと思いますが、元々一般媒介契約で出ている物件の場合、買い付けを出して契約時に「レインズに成約は登録しないでください」と頼むと、業者によっては「あ、わかりました〜」と登録しないでくれることもあります(経験あり)。
売り主の場合は、契約締結時に業者に「私は成約事例を出したくない」といえば、そのへん気を利かせてくれると思いますね!
(あんまりこの裏技は広めたくないのらえもんです)
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