こんにちは! 住井はなです。
幼児教育・保育を無償化する改正「子ども・子育て支援法」が成立したことを受け、昨日、各新聞社の記事が出ていました。個人的には無償化より「希望者全入」を優先すべきだと考えているので「本当に無償化するんだ…」という気持ちで読みました。記事にもある「保育の質の確保」や「待機児童問題の悪化」の可能性が十分に議論されていない気がしています。
■日本経済新聞
無償化法が成立 幼保は10月、大学は20年4月から
■毎日新聞
幼保無償化法が成立 全世代型への第一歩だが
以前のエントリー(「小学校入学直前に引っ越し」は正解か?! マンション購入のタイミングについて考えてみた。)でも書いたのですが、第1子が小学校入学するよりも前に購入をと考える世帯にとっては、待機児童問題は検討の重要な要素の一つになります。
今回の無償化によって、待機児童問題が悪化するのであれば、完成の数年前に契約することも多い新築分譲マンション購入者にとって、ますますマンション選び、街選びが難しくなりそうです。
特に大規模マンションの場合、全く地縁のないエリアへの転入される方も多いので、新居で保育園に預けたいと思う場合にこんな入園基準もありますよ。という一部の例をご紹介しようと思います。
なお、基本的な内容になりますので、すでにお子さんがいて保活の知識がある方には既に知っていることがほとんどかと思います。
いつかは子どもをとお考えの夫婦お二人の街選びのお役に少しでも立てれば幸いです。
保活の基礎知識(保育園の種類と待機児童数)
まず、最低限の基礎知識として、保育園の種類についてです。保育園には大きく分けて「認可保育園」と「認可外(無認可)保育園」があります(東京都の「認証保育園」は「認可外保育園」の中の一つ)。
「認可保育園」は原則「保育を必要としている世帯」を選考基準として各市区町村の保育課が入園者を選考するのに対して、「認可外保育園」は、各保育園が選考します。選考基準は保育園独自で、先着順、面接、抽選、優先枠、基準は非公開など様々です。
ちなみに、我が家は認可保育園に入れなかったので、認証保育園に預けています。保育を必要としている理由がなくても預けられるので、10時ごろお子さんを預け、16時頃迎えに来る主婦業のお母さんもいます。
認可に入れるつもりでも、入れずに認可外保育園に通う可能性や、認可の選考基準によっては、入園の指数獲得のために、短期間だけでも認可外保育園に預ける場合があります(※指数とは保育の必要性を点数化したもの)。転入エリア周辺の認可外保育園の状況も確認した方が安心ですね。
一方、認可保育園は、就労や病気などの理由により「家庭で保育をできない場合」に利用できる施設で、「就労」を理由に利用する場合は、復職することが必須になります。国の認可を受けているので安心(幼児に対する保育者の数や保育質の広さや園庭などの施設面が基準をクリアしている)、保育園料が経済的などの理由から、認可保育園の入園を目指す世帯が多いです。今回の無償化を受けてますます競争率が高くなっていきそうですね。
各エリアの入園しやすさを測る目安の一つになるのは、待機児童数です。待機児童数自体は各自治体が発表しているので、調べればすぐにわかります。速報ベースですでに発表しているエリアもありますが、その年の4月時点の待機児童数が都道府県別に報道発表されるのは、6月から7月くらいでしょうか。
ただし、発表されている待機児童数とは別に、顕在化していない待機児童(入所待ち児童や保留児童、保育園に入れないと思って申請さえしていない、いわゆる隠れ待機児童)が、一説には2倍、3倍いると言われています。
参考:朝日新聞デジタル 待機児童問題「見える化」プロジェクト
しかも保育園の入りやすさは、狭域での判断になります。待機児童数が少ない自治体でも、住民の反対が強く保育園が新設しづらいエリアには、周辺に保育園が全然ないようなエリアも(高級住宅街と呼ばれる由緒ある⁉︎エリアなどに多いですね)。待機児童数が減ってくると評判になり1、2年で転入者が目に見えて増えることもありますし、大規模マンションが1つで途端に状況が悪化することもあります。大規模マンションであれば、契約から入居まで2年くらいかかることもありますし、そもそもいつかはお子さんをと思っている場合、出産時期も未定。数年後の待機児童数を予測するのは非常に難しいです。
…というわけで、正確なことは多分誰にもわからないのですが、どうしても気になる方は転入先の保育課に電話をして「引越しを検討しているのですが、◯◯地区の保育園の状況はどうですか?今後、同エリアに保育園新設の予定はありますか?」などいろいろ聞いてみるのが一番確実な気がします。
自治体によって全く基準は異なるので、転入先の方針をチェック!
引越しを検討しているエリアに待機児童数が一定いるということがわかった場合は、転入希望エリアの認可保育園の利用基準の指数を確認してください。利用基準には「基本指数」「調整指数」「優先順位」などがあります(細かい説明は省きます)。認可保育園の入園基準は「保育を必要としていること」という共通の基準があるにも関わらず、その考え方は自治体によって全く異なります。この自治体によって全くその考え方が異なるのも「保活」を難しくしている要因の一つです。
よくある違いとしては以下の3点でしょうか
「世帯の年収が低い」あるいは「保護者の在住期間が長い」どちらがより優先されているか
基本指数が同じだった場合、最後はこのどちらかで入園可否が決まることが多いポイントになります。前者は年収が少ない世帯ほど働く必要性が高いという考え方かと思います。年収が高いなら、認可外や幼稚園なども検討してということなのかもしれませんね。後者は、その自治体に長く税金を納めてきた世帯を優先するという考えですが、転入者にはかなり不利な条件になります。ちなみに、一時期Twitterで話題になっていた「ふるさと納税で他自治体に納付していると入園に不利」というルールの自治体はまだ無いそうです。
認可申請前に認可外施設を利用することによって有利になるか
認可申請時に認可外施設に預けて復職していると加点や優先順位が上がる自治体があります。期間が長い方がより有利になる場合もあり「それだけ働く必要性が高い(切羽詰っている)」という考え方です。その場合、生後どれだけ早く施設に預けて復職するかがポイントになりますが、個人的には生後2、3か月で預けて復帰する気には全くならなかったです。出産後、気持ちが変わる方も多いので、事前にはわからないこともありますが、もし、私と同じようにある程度はお子さんと一緒にいたいと考える場合は、認可外施設の利用期間が長いと優先されるエリアには住まない方がいいかもしれません!全く反対に、育休を取得していることがポイントになるエリアもあります。その場合、無理に預けて復職してしまうと不利になるので、認可保育園に入れるまで育休を取ることになります。
祖父母との同居や近居が不利になるかどうか
核家族で育児をするのは大変なので、妊娠を機にご両親の近くに転入される世帯もあるかと思います。その場合、祖父母との同居や近居が不利にならないかを確認しておいた方が良いでしょう。両親が近くにいたら子育てしてもらえる=家庭で保育できるでしょうという考え方ですね。他にも自治体によって異なる点がたくさんあります。
エリアによって違う例(一部)・自営業(フリーランス)は基本指数が低い(最近は内勤でも指数が変わらないエリアも増えてきている気がします)
・職業によって優遇される(医師・看護師・保育師など)
・(一般的に不利になりがちな)早生まれが優先順位で考慮される
・会社の勤続年数が長いと優先される(なぜ?どういう考えかわからない)
・産休直前までに長時間の残業をしていると有利になる
・8時間働かないとフルタイム換算されない(逆に産休前にフルタイムなら子が◯歳までは時短でもフルタイム換算のエリアもあるので、時短取得予定の方はしっかり確認)
・0才児保育を行っている認可保育園がほぼ無いため、1歳からじゃないと預けられない。0歳で保育ママに預けるとポイントがつくが、認可外に預けてもポイントがつかない。
・新築分譲マンション住民の優先入園がある ※今のところ認可保育園の優先権は首都圏では千葉県千葉市のみ(小規模保育を除く)
・2人目ができると、1人目の園児を退園させないといけない。
・申し込み時に書く保育園順に戦略が必要になる。指数よりも、市内の保育園配置の特徴を理解しておくことが重要
・優先順位の判断方法が曖昧にしかわからない。入園の手続きの中で「申立書」というものがあり、熱意を伝えることによって結果が変化する?
※上記はエリアによって異なる選考基準の一例です。
選考基準は突然変わることもあります
せっかく確認しても、実際に入園する直前に待機児童の状況も自治体の基準・方針が変わることはありえます。自治体もよりよくするために、待機児童問題に取り組んでおり、1年で全く逆に方針を転換することもあります。
例えば、数年前に杉並区は認可外に預けた期間が長いと優先(=生後すぐ預けると入りやすい)から、一年の移行期間後、育休ポイント採用(=認可に入れるまで預けずに育休を取っていた方が入りやすい)に変わりました。
状況は変わるので、調べても役にたたないということもあり得ます。
それでも、少なくとも居住年数の長さが優先されるエリアに知識なく転入してしまわないよう、ぜひ、最低限は調べてから契約してください!
次回は、個別物件についてお便りいただいていますので、お便り返ししようと思います!(近々書きます!多分!)
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