このブログは間もなく放映されるNHKの”クローズアップ現代+”の放映に先だってアップしておくもので、”見る前”の私の取材を受けての感想を放送に10分ほど先行して書いておくものです。ネタバレなどはありません。
”見てから”の感想はまた別途のブログとして、結果として予測を外していてもこの回の修正は実施しません。
RJC48に取材の依頼が・・・
私が”センター”(代表)をしている理事長の勉強会RJC48の所属マンションの分布は地図に書くとこんな感じ。湾岸とか武蔵小杉とか、昨今話題になることの多いタワーマンションの所属がとても多いのが特徴で、特に湾岸地区タワーマンションの築浅の巨大マンションからは半分近くから誰か理事会の人の加入があります。<RJC48のマンションの分布図:首都圏のみ>
頻繁に取材の申し込みがメディアから来るのですが、受けるに至った例はとても少ない。特にTV番組はほぼ全部お断りになってます。既にストーリーができていて、そこに当てはめる形で”現在進行形で困っている”理事長の絵が欲しいといってもとても難しいからです。理事長がわざわざメディアにでて意味があるのは、マンション名を特定されても問題がない場合だけです・・・顔をモザイクにして声も合成じゃ出ても何もマンションのためにはならない・・・堂々と名前顔出しで出演でクビは飛ばないよねという場合だけでしょう。
今回、アンケートを会で回覧してくださいで回ってきたのが『修繕積立金足りていますか?』というもの。足りてないマンションをコメント撮りで探したかったのかな。でも記名式で”足りてません”なんて書いてくれる理事長は現れる筈はないよなぁとか思いながら配ってました。マンション理事会あてのアンケートは腕に覚えのある人しか回答してくれないからやけに優等生的な結果になるのが常で、国交省の5年一度の調査もそうですし、RJC48の中で過去に積立金についてアンケートやったときにはなんと5割が均等割を達成と回答・・・これは達成してないと回答しないだけですね。
RJC48に大規模・タワーの多いわけ
RJC48はなぜか大規模タワーの理事長専門みたいに錯覚されてることが多い。所属マンションの”平均値”が~350戸近く、~20階だからなのですが、これは「結果」がこうなのであって、なにか大規模だとかタワーだとかを加入の条件としているわけではない。大規模ほど積立金を均等割り値上げするような辣腕な理事長の出現率は高くなります。RJC48的な”意識高めで、行動力もある人物”の出現率を1/500として立候補すれば理事→理事長となれると仮定すれば、50戸のマンションでは9割近くにはでてきまませんが、500戸のマンションには7割で、1000戸あれば9割の確実で出現して問題を解決に向かいます。これも戸数のスケールメリットの一つじゃないかなと。私の知る1000戸超えのマンション理事会で凡庸だなと思えるとこはどこにもないからで、多くのケースでRJC48の先生役を務めています。よく使われるセリフで、『メガマンションは、戸数も、理事会の人数も多いから合意形成が難しくて、積立金の値上げみたいなのは通せない』みたいなのがあります。
富の象徴みたいに見えるマンションが、実は修繕費の積立不足の問題が解決できないでやばい、スラムになっちゃうかも・・・みたいな路線でなんとなく進めていきたくなるわけですが、これは実情とは異なります。
要するにこんな感じの連想ですね。
この路線で見られるのに、タワーマンションの理事長さんは繰り返しDisられれいるせいでうんざりとしているんで、またか!でなかなか取材には応じてくれません。前向きなやつ、あるいは事前ストーリーへのはめ込みのないものがあまりにも少ないせいです。
意識のずれ
都内のマンションはもう新築では1㎡100万円は払わないと手にはいりません。本体が非常に高額なので、中に住んでいる人も必然的に高収入になります。下の図は湾岸マンションといえば代弁者のような”のらえもん”さんのブログの読者の世帯収入の分布が左、同系色で塗った日本全体の世帯収入分布が右です。
<年収分布に大きな差が・・・:左:”湾岸タワー民” 右:日本全体>
RJC48がよくお世話になっている経済紙とかで、購読者の平均年収も左側的だと、話も速いし、”優れた事例に学びましょう”で紹介って路線ですぐに紹介もまとまるのですが、右側風なメディアは難しい。 湾岸のマンションが暴落・・・みたいな夕刊紙記事を買って電車の中で熱心に読んでいる人は、そのメディアの媒体データを信じるならば、もともと都内でマンションを買えるような方ではないわけです。『暴落系』とか呼ばれるコメントを売る商売の評論家の先生もいらっしゃいます。さて、TVってどっちになるのかな・・・
私としては、修繕とか、積立金の不足の問題が全国放送でとりあげられるようになって、”NHKの番組で言っていたけど、積立金は早く上げないとヤバいんだって・・?!”とか話題になるなら、あんまり細かい注文をつけまくるものでもないかなと思って、うちのマンションについて説明しますで取材に応じました。うちは上げちゃったほうなので、戸あたり200万円相当もみなで貯金してあるのに、積立金が高い分本体は安くしてくれみたいなことを購入検討者に言われる流れでは困るんですよね。
今回の当初推測された番組の路線は、”湾岸などで沢山あるタワーは、富の象徴のようで高額のお値段はついているが、修繕積立金とか値上げできないとヤバいのではないか”といったものではないかと。富の象徴ってのは最初の取材の依頼メールにでていたんですけども。
7000万のマンションを購入する住人の世帯年収平均は1000万を軽くこえています。それは10年やそこらでは変わらないわけで、理事会がきちんと説明して総会議案として上程したとして、積立金が月に1万円やそこらのアップが単なる過半数決議にすぎない総会を通りませんというのは、実際には考えにくい。うちでも全戸の92%ほどの賛成でした。
.. NHKの取材に来る方がそんなに低収入な筈もなかろうとか思うのですが、なぜか日本平均の感覚で番組をつくっちゃうから違和感はいつも感じる。
湾岸タワーの積立金対応の実際
湾岸のタワーを例にとりましょう。実際には500-1000人に1人といった優秀な人がどんどん理事長になって、湾岸のタワーの積立金の不足の問題は現在進行形で急速に是正されています。ごく最近では300円overに
ブリリアマーレ有明が総会で改定、この表で数か月以内の改定が2マンションです。
<湾岸のマンションの今の積立金徴収の比較表>
表は、がりべんさん(Twitter では @garibenZ ) のtweet から拝借しました。
駐車場の収入をどうしているかにもよりますが、タワーであれば1㎡200円を切っているというのは均等割りでは考えにくく、超長期に大丈夫といえるのは1㎡300円程度は必要でしょうか。雰囲気で書いてますけど、うちは250円でかなり超長期には厳しいです。
これを築年数の経過と比較してみると ハルミズムさん (twitter では @harum_ism) の作成した下の図のような感じに。この図は、某経済誌にお宝みつけたよで紹介したら即採用されていました。
<湾岸のマンションの築年と今の積立金>
5-10年目に通常予定されている初回の積立金の値上げを失敗しているようなマンションは実際には殆ど存在しないわけで、早期に皆200円/㎡/月程度をクリアしてきています。
2つの表や図は趣味で作成するようなものではありえないでしょう。当然2人ともに自分のマンションで見せて、これ見てどう思う??で目的で戦略的に作っているわけです。
世帯年収~1500万、本人も時給換算で4-5000円を叩きだす人は、お莫迦ではありえないですから、見れば直ちに意味は理解するはずです。自分たちの世帯年収の5倍とかをぶっこんで、”値段が下がらない”ことを期待して購入している大事な自分のマンションが、横ならびで比較されて、積立足りてないのでは?と言われるのはもの凄く嫌な筈だからです。
うちのマンションの積立金の値上げは4期末ですから6年前、ここ5年ほどで積立金に関わる流れは大きく変わりました。そして流れはもう元に戻ることはないと思っています。
実際に積立金があげられない例は?
積立金徴収が安すぎるのに是正できない例というのは、実際には2つのケースしか考えにくい。① 100円を切るような積立金のまま何十年も放置してしまったために、もう住民が年金生活者ばかりになったなか、300円なんて金額は徴収不能になっている
・・・タワーはようやく初回の修繕がぼつぼつ実施されているというものでこのパターンはありがちではない。20年は前に200円に移行しておけばよかったのに・・って例。
② なんらかの理由で、極端に本体価格が値下がりしてしまっていて、新しく購入して入ってくる人が凄く安いのを購入してリフォームして住むような人ばかりで、収入が潤沢とはいえず、高額のランニングコストを負担できなくて、それが本体価格に反映されて負のループに入ってしまっている
・・・某所リゾートマンションのパターンですね。値段がキープされているか、上がっているようなケースでは、新規購入者の懐具合が怪しいというのは考慮する必要がないわけで、都内のタワーマンションで今世紀に立ったようなところで、買った値段より今売ったら安くなってるというのはなかなかありがちではないからこれも当てはまらない。
(これからも上がるとは言ってないですよ)
タワーマンションの修繕は、1㎡あたり100円ばかり積立金は高くみておかないといけないというのは多分正しいでしょう。いかにもタワーって高さではないうちは250円でやってますが、これで超長期にはぎりぎりです。
これと、積立金が値上げできないってのはちょっと別で
『さらに、都心を中心に急増するタワーマンションでも、「修繕積立金が十分ではない」という危機感を抱く管理組合まで・・・。マンションの価格高騰の裏でいったい何が起きているのか?』
って、クローズアップ現在+の放送予告の文章にはちょっと違和感があるわけです。
#取材での対応や説明では、この記事が”おや外したな!”って方向になってくれるように努力はしましたがさて・・・結果は次回のブログにて。
!! 重要 !!
本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。
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