新築マンションの価格、めちゃ高いですよね。数年前に目黒の駅前で分譲したブリリアタワーズ目黒が坪500万円で、ぶっ飛ぶくらい高い、と思っていたのが嘘のようです。今の水準だったら間違いなく安い、って判定されています。
実際、価格水準はバブル期以来の高水準となりました。金利が安いので実際の消費者が住宅ローンを組むとするとずっと安いのはまだ救いなのですが・・・
(みずほ総研:みずほインサイト「首都圏マンション価格は急落するのか」より)
価格の上昇と同時に起こっているのが、新築マンションの仕様の低下です。もちろん一部には例外もあるのですが、コスト意識が強く働く近郊・郊外だけでなく、都心のマンションでも残念な仕様を見かけます。15~20年前のマンションと10年前のマンションを比較すると、玄関前ポーチや花台といった余裕のある作りのマンションがほぼ消滅しています。その代わりディスポーザーがほぼ普及し、ガラスは複層サッシが普通になりました。
10年前のマンションと今のマンションを比較すると、ほとんど退化しています。リビング側の柱はインフレームが当たり前になり、邸宅感やプライベートを演出するアルコーブは消滅し、内装材までショボくなっています。
グレーシア湘南辻堂、これでリビング10畳表記はきついなぁ〜。
スパンないからむりくりL字キッチンにしてるしリビングの窓面少なすぎ。 pic.twitter.com/1txuX5xvCM
— マンションマニア (@mansionmania) August 8, 2019
これはいろいろつらい・・・
といっても、このマンションだけではありません、他にも度を越したコストダウンだよなと思う新築マンション企画が多く見られるようになりました。まぁ他にもいろいろあるんですが、勢い余ってこんな感じで連投してしましました。
分譲マンションという極めて商圏の狭い商品すら、あまりにもナメた企画するとSNSで容赦なく晒されてしまう時代。
— のらえもん (@Tokyo_of_Tokyo) August 9, 2019
阿吽で忖度してくれるメディアだけを相手にする時代は終わりました。商品に詳しくて声が大きい消費者がいるから全方位気が抜けない時代であります。https://t.co/EjSIJz7Yct
最近の情けない新築マンション企画を見るのツラい。マンションを作っているデベロッパー、設計者に言いたい。
— のらえもん (@Tokyo_of_Tokyo) August 9, 2019
数千万円、下手すりゃ1億円以上の商品を作っている自覚があるのか。その商品は買った人にとって一生モノのブランドになり得るのか。少なくとも数十年、快適を保証できるものなのか。
プライドの無い商品企画を見るの辛い。企画も販売も、胸を張ってこれは高いけど良いものですって言えるモノを作ってほしい。
— のらえもん (@Tokyo_of_Tokyo) August 9, 2019
10年前と今を比べて、どっちの方が良いものを世の中に出してるって言える?10年前よりずっと退化したものを作って、値段だけ高いプライスタグ付けてない??
業界は賢い消費者によって鍛えられる。
— のらえもん (@Tokyo_of_Tokyo) August 9, 2019
マンション業界は、良いものは良い悪いものは悪いと健全な批評ができるメディアが世の中に無い。
SNSやブログは、個人のチカラを増幅させる。この状況、なんとか突破していこうな。大人の事情だけで作られたマンションなんて買っても幸せになれるかってんだ。
すると、デベロッパー側からこんなご意見が。
言いたいことはなんとなくわかるけど分譲マンションは奢侈品ではなく必需品。バッグやら時計やらとは違う。プロダクトアウトなんて心がけてたらえらいことになるで。コストカットマンションはブログに書くネタに困るかもしれないが、なぜ60㎡3LDKのプラウドが売れてるかもっと考えるべき。 https://t.co/i03FXsyTqU
— WDH (@monryuuuu) August 9, 2019
言い訳やないけど、テベ開発マンも設計もゼネコン所長も間違いなくみんなええもんつくりたいよ。建築費が高止まりで、顧客予算も限りがある中でどうやったら買ってもらえるかを真面目にやってる。10年前の新築でも築10年の中古でもなく、「今」新築が欲しい人の為に出来る限りの事を僕らはやる。
— WDH (@monryuuuu) August 9, 2019
うん、言いたいことは良くわかる。デベ側の悩みも、志もよく伝わる。みんないいモノを作りたい、でも原価が高くなる中、「そのエリアを検討するであろう人が出せるであろうギリギリの価格」で調整しようとすると、どうしてもショボくなってしまう(中の人もそれは認めてる)。
なら、消費者としての選択肢はいくつもあって、
- 新築マンションにどうしても住みたいから、高くてショボいのを理解して買うか
- モノとして良い中古マンションを選んで買うか
- それとも、戸建てを選ぶのか
- すっぱり諦めて、賃貸でしばらく暮らすのか
- ・・・それとも、高いけど仕様が良くて住まいとしての完成度が高い新築マンションを探すのか
ショボいマンションの見分け方ですけど、「アルコーブ(玄関前の凹み)無し」「共用廊下側の仕上げのチェック」です。アルコーブ無し形態のマンションは、建ってみるとだいたいショボい(´・ω・`)
共用廊下の仕様もチェックしましょう。モデルルームの案内では、すぐに部屋の扉を開けて中へさぁどうぞと言われますけど、まずは部屋の外の壁の仕上げを見てみましょう。
様々な制約はあれど、特にアルコーブなんてのは最後の砦みたいなもんで、ここでプライドを削っていると、他でもいろいろケチってるんだろうなぁと推察できるわけです。
(こんな感じですね、ただしこのマンションは敷地形状と法令上の関係で仕方なかったとのこと)
ということで、間取り図や建築図面からでもわかること、いろいろあります。賢い消費者としては、最低限のチェックをして買いましょう。マンションというのは、買う人にとっては大切な資産であるとともに、プライドの源泉であることも多いものです。一生をかけて払う住宅ローンを組んで、出来上がったものを見てがっかりしたくはありませんよね。ん?と思ったら竣工売りのマンションも見てみましょう。
デベロッパーの皆様方、原価が高くなる中で、つらいのは良くわかるのですが、その場その場で最大限頑張りましょう。僕らも持ち場で頑張ります。
P.S.
「んなこと言ったって原価が上がる中、部屋を狭くするのもしょうがないじゃないか!」とおっしゃるデベロッパー様への返歌です。
https://www.sumu-log.com/archives/16825/
現在はリビング側の柱がインフレームのマンションなど見たことがありませんが、当時の仕様としては当たり前だったのでしょうか。