このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。
このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論」を展開しております。
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2019年7月の新築マンションが大幅に減ったというニュースを見て、業界関係者の中には「極端な数字」にショックを受けた人もあったようです。反面、「予想通り」と冷静に受け止めた人もありました。新聞記事は、不動産経済研究所の月例のリリースを次のように伝えています。
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「首都圏の発売戸数が1976年以来、7月としては43年ぶりの低水準1932戸だった。物件価格の高止まりで購入検討者が減り、販売会社も売出し戸数を減らした。
都区部の発売戸数が922戸と大幅に減ったことが影響、販売価格も下がった。
契約戸数(初月契約率)も新規発売戸数に対して好不調の目安となる70%を下回る68%だった。同研究所は今後も販売は低迷が続き、消費税上げ前の駆け込み需要もないと予想。7月までの初売戸数も15,368戸にとどまっており、年間予想戸数の37,000戸は達成できないかもしれないと読む。在庫も7115戸と積み上がっている。厳しい状況だ」と。
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このニュースについて、筆者は以下のように思いました。
新築マンションの販売は「小出し」にするのが何年か前から常態化しています。売れそうな戸数だけを発売し、完売の見通しが立ったら残りの中から再び戸数を決めて売り出し、それが売れたら3回目の売出し、それが売れたら4回目、4回目の分が完売したら5回目といったふうに小出しにしながら完売を目指します。
これを分割版売と呼びます。例えば100戸のマンションがあるとして、50戸と30戸と20戸に分けて3回に分けて売り出しをすることです。なぜ分けて売り出すのでしょうか?どうせ100戸全部を売るつもりなのに、今回は50戸だけですとか20戸だけなどと出し惜しみするのでしょうか?
業界OBの筆者は、その奥深い販売戦略や戦術を当然よく知っていますが、ここでは本題から脱線しそうなので割愛させてもらいます。
ただ、、一言だけ言わせてもらうと「いっぺんに売り出しても売れない」からです。売出し後の残戸数が多いほど「販売不調」を自ら宣言してしまうことになり、後の販売活動に支障をきたすからです。少なくとも、売出し戸数の80%以上、できたら100%近い戸数を売り切ってしまいたいのです。
その方が「好調イメージ」を市場に植え付けることができ、次回の売り出しの成功にもつながるというわけです。
100戸売り出して80戸の未販売戸数を抱えている状態より、30戸売り出して「完売した」方がいいのです。マンション業者は、50戸売り出して半分しか売れない結果より、25戸売り出して25戸を完売させる方を狙います。
新築マンションの販売期間は、戸数にもよりますが、概ね1年くらいあります。工事途中で販売を始め、竣工時期までに売り切るのが理想とされます。あまり早く売れてしまうと、「安過ぎたからじゃないか」と上司に叱られ、逆に売れ残っていると「早く完売しろ」とおしりをたたかれるのです。
竣工と同時の完売が理想とされますが、そんな夢のような芸当はできそうにありません。ライバル物件の登場や、住宅ローンの動向、景気の浮沈、地価や建築費の動き、国の政策、景気動向など、販売期間中に環境は変化し、売れ行きに影響を与えるからです。
販売計画は、これらの動向を観察しながら慎重に、かつ迅速に立案し、履行して行きます。販売の戦略・戦術に長けているマンション業者や熟練の担当者であっても、洞察を誤り、結果は思惑とは随分違ったものになることもしばしばです。
●発売戸数が減ったのは、売れ行きの悪化を示している
新聞の見出し「35%減少」を目にして、隠し切れない状況がいよいよ来たなと、筆者は瞬間的に感じました。そもそも、売れる数だけ売り出せば、常に「完売」のアドバルーンを掲げることができます。在庫はゼロと言えるわけです。在庫という言葉は、売れ残りのイメージを与えてしまうので、短時間での完売を目論みます。「完売」「完売」と続けば、「販売は好調」と喧伝(けんでん)することができます。
売れ行き好調は「強気の姿勢」で営業に向かうことができます。好調に推移すれば値引きしたり、宣伝費を増やしたりして利益を削る必要もありません。好調は、買い手の値引き要求をはねつけることができますし、次の買い手の決断を早めることにも役立ちます。営業の苦労も減るのです。
だから、小出しにしながらも「完売の連続」を演出しなければならないと考えます。値引き契約が減り、広告費も予算通りになれば所定の利益が確保できます。
何としても売れ行き好調を持続させたい。これがマンション業者のホンネです。しかし、そのための分割販売も度を越せば逆効果です。
売れる数だけ売り出せば、「完売」「またも完売」の格好は作れるでしょうが、1回当たりの数も重要です。10戸完売よりは100戸完売の方が市場に送るメッセージのインパクトは強いのです。
最近の大量販売は言わずと知れた「晴海フラッグ」です。一気に600戸も完売させました。
他のマンションはせいぜい20戸とか30戸、多くて50戸程度なので、600戸は中々見ない成功例です。
1回当たりの発売戸数を減らす策を全業者が実行すれば、全体としての売出し戸数は当然減ってしまいます。また、、小出し販売をしていては中々終わりがやって来ません。
竣工時期に完売したいのがマンション業者の共通の目標です。そのために、もっと売出し戸数を増やせないか? このように会社から現場に発破がかかるのですが、結果として売れ残れば発売済みの在庫が積み上がります。それも困ります。
新聞記事にも、在庫が増えていることが書かれています。
今の状況は「もっと売りたいが売れない。背伸びして発売しても売れ残りを増やすだけだ」というマンション業界の苦悩が、この新聞記事から読み取れます。
●「第〇〇期受付中」の〇数字が大きい物件は苦戦中マンション
やっぱり、在庫が増えるのは好ましくないから、確実に売れる数だけ売り出そうという従来方針に戻したとしましょう。つまり小出し販売の究極の形です。「10戸は売りたいが売れないので8戸にしよう」・・・このようにしたら、「第〇〇期・新発売」などと「新しさ」を装ってみても、〇〇がふた桁では長いこと販売中のマンションだ。売れないのだなと買い手に悟られることになります。
つまり、逆効果なのですが、そうせざるを得ない状況の販売現場も増えているらしく、マンション業界の苦悩の程度が推し量れます。
●売れ行きの不振は売り上げ確保を難しくさせるが・・・
マンション分譲というビジネスは、顧客に引き渡しをして初めて売り上げになります。引き渡し時期は建物竣工時期の後ですから、通常は3月までに完成させて3月中に引き渡しし、3月の売り上げに計上します。大型マンションになれば、秋に竣工させて、年明けから数次に分けて引き渡しを行い、3月までに全住戸引き渡し→3月決算の売上とうスケジュールで運ぶものです。
しかし、これは売買契約が完了していてのことです。前提として販売の成功が条件です。契約が遅れてしまうと、竣工時に引き渡すことのできる戸数が少なくなってしまいます。
たとえ、半分しか売れていなくても、管理人を置いて管理業務を開始しなければなりません。エレベーターも動かさなければなりませんし、共用廊下の電灯も点灯しなければならないのです。
契約者は入居を楽しみにしています。売れていないので、引き渡し時期を延ばしたいなどというわけには行きません。契約の履行は絶対です。売り手は、売れた数だけでも引き渡しに踏み切ります。
こうなると、販売はますます困難を極めます。売主がどう装うとも、窓に灯がともらない部屋がたくさんあれば、自ら「売れていないマンションでございます」と宣伝しているような状態をつくってしまうわけで、ますます売れないマンションになってしまいます。
買い手の心理は「良く売れている」=「良いマンション」なので、その反対のケースは販売を一段と遅らせます。
●未発売の商品在庫が多ければ新規着工も「待て」になる?
売出して残ってしまった戸数だけでなく、まだ売り出していない戸数(未発売の在庫・隠し在庫)もたくさんあるという状況にあったとしたら、マンション業者はどんな手を打つのでしょうか?工事中、もしくは竣工してしまったマンションの売れ残りと未発売在庫の双方を早く売り切ってしまわなければなりません。
その状態は言い換えると、売り物はたくさんある状態、すなわち「過剰在庫」を意味します。それが度を越せば、別のマンションの新規着工を止めざるを得ないかもしれません。
着工するということは、建設会社に建築代金を払うことを意味します。着工したマンションが順調に売れて代金の入金が確実な状態になっていれば支払い代金の心配はしなくてすみますが、売れそうにないか、売り出しが大幅に遅れるといった状態が懸念されるなら、建設会社への支払いを止めるか工事そのものを中止するほかなくなります。
このような危機的状況にはなっていないと聞きますが、このまま行くと、早晩そんな悪い予感も本当になってしまいます。
●買い手の立場で考えてみると
販売不振状態が続くとどうなるかを買い手の立場で考えてみましょう。販売商品が少ない?
真っ先に浮かぶのは、新築マンションは売れ残りばかりでろくなものがないという状態が浮き彫りになるということです。新発売の広告に気付いても、価格が分からないので検討しようがない。第〇期とあるマンションは継続販売中マンションだから、商品内容は同じ。価格も上がることはあっても下がることはない。このように考えられます。
なぜなら、販売初期(第一期とか第二期で)買ってくれた買い手のことを慮る(おもんばかる)と、値下げはできません。業者の良心、あるいはトラブルを恐れる心理が値下げを阻みます。
価格は下がるか?
では、第一期から低価格にして売り出せばいいではないかという考えが浮かびますが、あり得ない策です。なぜなら、マンション分譲ビジネスの利益率はそもそも大きくないからです。粗利益ベースで20%、販売経費(営業関係者の人件費、または委託手数料、広告費、モデルルームその他の現場経費)を除くと10%程度が利益です。ここから本店経費が出て行くので、順調に売れても7%くらいがプロジェクト単位の利益率なのです。
また、「やってみないと分からない」ではないか」と考える経営判断も働き、「苦しいときだが、鋭意努力を頼む」と現場を知った激励するだけになりやすいのです。
「泥棒を捕まえてから縄をなう」というほど前近代的とは思いませんが、現実は同じようなものです。
売れないという結果(経過)があってから価格引き下げの決断に至るからです。しかも、売れないという経過報告には既に20%なり30%なりの契約済み顧客が発生しているので、価格引き下げは容易ではありません。価格下げが明らかとなれば、契約済み顧客からクレームが来るのは火を見るより明らかです。
クレームを恐れるマンション業者は、一度売り出すと(第1期販売以降)、簡単に価格を下げることもできなくなります。下げるなら、契約済み顧客との間で新価格の売買契約を結び直すことが必須です。
当然、売り上げは落ち、利益も殆どなくしてしまいます。プロジェクトは失敗、担当部長・役員の首が飛ぶ事態に発展します。日本企業の体質では起きにくい決断です。
価格を下げるにしても微調整のレベルでは目覚ましい販促効果は得られません。
販促のためには値引きは必須と売主は覚悟している
中々良いマンションがない。たまに良いマンションに出会っても、価格の高さに諦めるほかなかった。仕方なく、その後の新発売マンショに期待したが、いつも期待は裏切られて今日に至っています。このように述懐する買い手さんも多いというのが筆者の感想です。そうこうして2年経ち、3年経ちという買い手さんも多いのではないかと推測しています。
新発売のマンションに期待できないなら、売れ残りマンションを狙う策はどうでしょうか?これも問題があって、積極的に勧めたい策ではありません。
しかし、完全に捨て去ることはないのです。稀に「僥倖(ぎょうこう)」かと思う物件に遭遇することがあるからです。
値引きの額で不満で見送ったが、数か月したら期待通りになったということもあるのです。
マンション業者は、販売が順調でないとき、どこかで値引きに踏み切ります。定価で購入した人の手前、大々的に値引きを掲げることはできませんが、理由(言い訳。クレーム対策)を用意して値引き販売は実施されるものです。
それまでの販売で一定の利益を確保していれば、残りは損しない程度に販促費(単純値引きを含む)を計上して完売を目指します。値引き販売を考え始めたタイミングに欲しい部屋(住戸タイプ)があれば、大胆な数字をぶつけてみるのも悪くない策です。
ただし、売れ残りマンションの多くは、値引きしてもらっても適正な価格と言えない場合も多いので注意を要しますが、選択肢として「残しておいてもいい」のです。
初めから価格を下げる売り手の策に期待できるか?
あまりにも広告の反応が悪い。すなわち、モデルルームの来訪者数が少な過ぎるというとき、マンション業者は次のような手を打ちます。①設計を根本から見直す
②グレードを下げる。
③設備の一部を取りやめる。
これらは全て原価の見直しにつながることですが、早い話が「品質の低下」を意味しています
それでもマンションの価値は立地条件にあるので、そこが問題ないなら建物品質は妥協してもいいという場合があります。
少なくとも、高級マンションではなくなるでしょう。今でもときどきお目にかかりますが、「ないない尽くし」のマンションというわけです。ひどくレベルの低いマンションですが、場所が悪くないと感じる人が買いにやって来るのです。
言い換えましょう。褒められるところはないものの、価格が手ごろになって買いたい人が一気に増えます。かくして短期完売に至ったりします。
このような物件は、売主業者が失敗を受け止めて利益なしの販売を覚悟したケースです。利益を落とし、建築原価も落として、利益率を限りなくゼロと覚悟を気決めたケースです。品質は褒められたものではないが、「価格が安いことだけが取り柄」という物件です。
このような物件はお勧めできるものは少ないのですが、今後は郊外マンションを主体に表れるかもしれません。
待っても価格は下がらない?
「売れないので仕方なしに値を下げる」と書きましたが、どの程度下げてくれるものでしょうか?過去には、受け取った代金を一部返金して既契約者の不満を抑えておいて「全戸を値引き販売します」と大々的な値下げキャンペーンで完売した物件がありました。古い話ですが、筆者も値下げマンションの現場に遭遇したことが何件かありました。
記憶では、立地条件が悪すぎて売れないマンションでした。郊外の住宅地にあって最寄り駅からも遠く、少しくらいの値引きでは動かない物件だったようです。
やむを得ず、その売主は全額20%以上(確か30%引きマンションも当時あった)の値下げキャンペーンに踏み切ったのです。
このような例は、今後はもうないだろうなと思うものの、絶対ないとも断言できません。
そこまでの大胆な値下げは、いわば「投げ売り」なのでサラリーマン世界ではなさそうですし、仮にあっても、その対象商品はたいていが立地条件が著しく劣るものです。「価格次第では買ってもいい」そう思える物件ではありえないと思った方がいいのです。
売れ残りマンション以外で安いマンションが売り出されることはないのでしょうか?
他社に負けずに特別に安い用地を仕入れられるようなことはありません。他社より安く建設することもありません。
その昔、コストダウンの方法を提案して来る建設会社があって、その現場を見に行ったことがありましたが、とても売り物にはならないないなと思いました。
分かりやすく言えば「安かりう・悪かろう」のマンションだったのです。そのゼネコンさんは、その後どうなったのだろうか。
ともあれ、マンションという商品で「安かろう・悪かろう」はあり得ません。良い品を安く提供するなどという芸当は、どう考えても民間マンション業者にはできそうにありません。
安いマンションを商品化するには、古い賃貸マンションや社宅、倒産企業の保有資産、旧耐震アパート、公営賃貸アパートといった、市場に安く出回る「いわくつきの住宅」のリニューアル商品くらいしか思い当たりません。
リノベーション中古はどうでしょうか?このような質問を受けたことがありました。
「現実は商品化を目論む業者の利益がたっぷりの乗っているので、安くて良い商品はおいそれとは出て来ることはばいと思った方が良い」と答えました。
地価も建築費も下がらないと思った方が良い
マンションの原価を構成するのは「用地費」と「建築費」です。今はどちらも下がりそうにない。そうとしか思えません。地価は土地を求める企業が減らないと下がりません。マンション用地は少なくとも1000㎡以上の大きさが必要なので、買い手は業種を問わず企業です。マンション用地だけでなく、オフィスビルや店舗用地として、あるいは倉庫や工場、社宅用地などとして購入を検討する企業の全部がライバルになります。
現在、これらのニーズは強く、マンション業者が取得可能な用地は非常に少ないようです。あっても、その多くは競争入札方式なので優良な用地ほど信じられないほどの高値になっています。
入札参加企業が減って売り手が弱気になり、安く手放す土地が増えないかと期待しても、8年前のリーマンショック級の世界的な事件でも起こらない限り、マンション用地が安く取得できる状況は来ないと思うほかありません。
一方、ニーズの少ない土地は、交通便の悪い土地、超郊外の土地、環境が良くない土地です。買い手が少ないので安いのです。そのような土地は、マンションという商品に生まれ変わったとき、安いというだけで魅力があるかと言うと、疑問が残るものばかりです。
欲しくなるマンションは、立地が良い、建物も良いもので、当然に価格も高いと考えるべきです。
土地にしろ建築費にしろ、安くなる状態は国内景気が著しく悪くなっているときです。そのタイミングで安く土地を買っても、企画開発と許認可期間がかかるため、その後の発注時点で建築費が大きくが下落しているとは限りません。
タイミングよく安く土地が取得でき、タイミング良く建築費も下がってくれるなどという魔法のような事態は起こるわけもないのです。
新築マンションの価格が下がるとしたら、マンション業者の多くが売れなくて値下げや個別の値引き販売を覚悟したときだけと言って過言ではありません。買い手は、ここを狙うしかないのです。
中古も視野に入れないとダメ
何年か前から筆者は「中古推奨者」になりました。理由と背景はこうです。新築にはろくなものがない。建物も立地も良いマンションはたまに発売されるが、価格は信じられないほど高い。
価格が比較的安いと感じた物件はというと、建物の質で落胆するものばかり。
要するに新築マンションはロクな物がないのです。
当然、たまに見る優良マンションには買い手が殺到して高倍率の抽選となり、購入不可となります。結局、クジ運の良い人だけが良いマンションを買えるというわけです。当選したという知らせを筆者にくださる人(相談者)には、「幸運でしたね。おめでとうございます」と言葉をお送りしますが、実は筆者の関係した人はなぜか抽選に当たるのです。
ときどき、「私は幸運の神かも」と思っています。最近も、選手村マンション「晴海フラッグ」の当選者がたくさん出ています。
脱線しましたが、運の良し悪しでマンションを語ってはおれません。良い新築マンションがない、あっても抽選などでゲットできないということなら、中古マンションに目を向けるほかありません。
新築志向が強い日本国民には、中古マンションに抵抗が強い人が多いのですが、それだけでなく。中古マンションについての誤解も多分あるのです。東京で分譲マンション第1号と言われる「四谷コーポラス」が竣工してから60年余、ようやくマンションの何たるかは知られるようになってきましたが、まだまだ偏見も多いようです。
しっかりとした知識や情報を持てば中古マンションもマイホームとして選択肢に入れられるはずです。
古くても新築並みに高い価値を認められるマンションの現実に存在していることが知られるようになってきました。インターネットを通じて情報や知意識が得られる時代になって、中古マンションの価値について博識を持つ買い手も増えました。
新築にこだわる理由はないのです。新築は数が少ないけれど、中古も視野に入れたら良いマンションをゲットすることがたやすくなる。そう考えて良いのです。
●「待てば海路の日和あり」は新築に限って当てはまらない
筆者の現在の自宅は5軒目です。買い替えは必要があって実行しました。無計画のそしりはまぬかれませんが、「家に縛られてはいけない。家は生活を豊かにする道具であり、前向きな人生を送るためのアイテムだから、必要に応じて買い替え・住み替ていけばいい」このように思って実行して来たのです。結果的に分不相応な家に住んだこともありました。年齢を重ねましたが、おそらく、6件目の買い替えが近いうちにあるかもしれないと信じています。
成り行き任せの人生というのもあるのかもしれませんが、多くの人々が将来を展望しつつ、お金を貯めたり価値ある品を買ったりします。筆者も、最近は少し考えを改めつつあります。
「待てば海路の日和あり」ということわざがあります。今は状況が悪くても、必ずいい時期がやってくる」という意味です。「今まで努力してきたんだから、焦らず状況が変わるのを待とう」 という励ましが込められています。
しかし、新築マンションだけに目を向けていたら、「待つ」のは間違い。筆者はそう考えています。
<参考までに> 住宅との出会いは夫婦のそれに似ている
発売戸数が少ないという状態は当分改善されない。待っていても、安くて良い新築物件が売り出されることはない。そう思った方が良いでしょう。一方、売れ行きの悪化は価格の引き下げ(値引き販売)ケースが増えるかもしれません。もし、意中の物件があるなら、どこかに時期を設定してチャンスを狙うというのはあるかもしれません。
中古もこれ以上高くなったら、購入をためらうかもしれませんが、待っていたら安くなるという保証もありません。
「住宅・不動産との出会いは、まさに縁」ということが言えます。そして、それは夫婦の出会いとよく似ています。
縁とは「ゆかり、えにし、関係」である(広辞苑)と、書かれています。また、縁の使い方としては、「縁は異なもの味なもの」「縁もゆかりもない」などが知られています。
「買い手と物件の出会い」、「買い手と営業マンの出会い」―このふたつがマンション・不動産における“縁”というものです。
より理想に近づけようとお見合いをくり返し、いつまでも結婚しない人。たくさんの出会いと恋愛をしながら、中々結婚しない人。こうして、婚期を逸した人も世の中には随分といるようです。何百万人もいる結婚対象の中から一人だけ選んで一生の伴侶とするのですから、確かにそれは大変なことでしょう。
一方、結婚した人たちの現実は、もっと簡単です。たまたま出会った何番目かの異性と結婚してしまうのです。理想の人だと思って結婚した人もあるでしょうが、大半はそうでないはずです。それでも、2人で家庭を築いて行く。やがて、40年、50年と人生を共にする。夫婦というのは、そういうものでしょう。
住宅も同じです。これが理想の家とは言えないかもしれないが、時間をかけて探したら理想の家に必ず到達するというものではないので、理想を追い過ぎて何年も不便や窮屈を我慢するより、早めに決心した方が幸せというものかもしれません。この先の出会いの方が、より理想の住まいになるという保証はないのですから。
「もうひとつの縁」の側面は営業マンとの出会いです。
「ここで私とお目にかかったのも何かのご縁です」などと営業マンが言ったとしたら、それは正確に言うと「私を通じて当社と知りあえた」か「私を通じてこの物件に巡りあった」ということになるでしょう。
理屈はともかく、ある営業マンとの出会いが縁となって、購入に至ったひとつの例を次に紹介しましよう。
マンション購入者に購入理由を尋ねると、地域によって多少の前後はあるが、トップ3は「広い家に住みたかった」、「家賃が勿体ないと思った」、「家族のために」が挙げられます。
これらをよく分析してみると、「家が狭く、その割りに家賃が高い。ところが、その家賃と大差ない負担でマイホームが持てると知った。今こそ買い時だと思った」ということになるようです。
更に、購入の動機だけに絞ると、「狭い」が一番に挙げられます。狭いから、もっと広くて快適な家に住み替えたい。賃貸でもよいわけですが、広くて快適な住まいの賃料はおそろしく高い。それだったら、買った方が得だという考えに至ります。
広くて、設備の良い分譲マンションに住み替えることは、家族にも喜ばれるし、夫・父親としても鼻が高い。世間からも高く評価されます。
以上のような動機や理由によってマンションを購入するに至ります。ただ、それには期限があるわけでなく、早いに越したことはないという程度のことなのです。
逆に言うと、良いものがあればいつもでもよいということになります。新築・中古を問わず、いつも買い時は今なのです。この秋は購入の時期と定めましょう。
・・・・・今日はここまでです。業界OBだからこその視点でお届けしています。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。
新・マンション購入を考える
是非ご購読ください。600本以上の記事があります。ちなみに、8月20日の第690回は「選手村マンションの未来」です。
AERA.dotの記事が公開されました。
https://dot.asahi.com/dot/2019082100035.htmlhttps://dot.asahi.com/dot/2019082100036.html
※「晴海フラッグ」に関する三井健太の投稿です。参考までにご一読を!!
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