このところ首都圏の新築マンション市場がさえない。契約率や即日完売率が低下しているのである。
【もくじ】
◇首都圏新築マンション市場がさえない
◇契約率の落ち込みは続くのか
◇年々低下している即日完売率
首都圏新築マンション市場がさえない
首都圏の新築マンションの年間販売戸数が06年度を境に、8万戸の時代から4万戸の時代へ突入して10年以上が経過。契約率は4万戸時代に入って80%から62%にまで低下している(次図)。(不動産経済研究所の発表データをもとに筆者作成)
※契約率とは当該月に発売された戸数のうち当該月末までに売却された戸数の割合のこと。
契約率の落ち込みは続くのか
特に注目したいのは近年の契約率の落ち込みである。横軸を年間発売戸数、縦軸を年間平均契約率にして描いたのが次のグラフ。年間平均契約率は、14年4月の消費税増税(5⇒8%)導入後低下し続けるも、15年度までは70%を上回っていた。ところが、16・17年度と2年続けて70%を下回ったあと、18年度は62.0%と大きく落ち込んでいるのである。
(同上)
今年度に入って契約率は70%を下回ったままだ(次図)。
(同上)
契約率の落ち込みは続くのか……。
年々低下している即日完売率
不動産経済研究所が毎月発表している資料には、即日完売率(=即日完売物件数÷発売戸数)のデータも掲載されている。過去の発表資料をひも解き、即日完売率の推移を可視化したのが次のグラフ。即日完売率は、月により上下動はあるものの、11年あたりから減少傾向にあることが分かる。
18年は即日完売率0%を3回記録(5月・8月・10月)。19年は1回記録(7月)。即日完売物件がゼロを記録したのは、1990年以降、これら4回だけ。
上図をもう少し見やすくするために、月間データを年間に集計し直したのが次のグラフ。
即日完売率は10年の13.3%をピークに低下傾向にあることが一目瞭然であろう。19年(1月~7月の平均)は2.3%にまで低下している。
10月1日からの消費税増税は、新築マンション市場をさらに悪化させるのか(させないのか)……。
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