マン点流!不都合な真実(新築より中古)

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23区の新築マンション価格は高すぎて、もはや庶民には手が届かない状況。では、中古マンションはどうなのか?

【もくじ】
新築・中古の価格差2800万円まで拡大(70m2換算)
新築より中古マンションを選ぶ時代…
中古マンション成約単価、都心3区>城西>城南>城北>城東

新築・中古の価格差2800万円まで拡大(70m2換算)

23区の新築マンションの発売単価は、第2次安倍内閣発足後(12年12月26日)、アベノミクスの影響で投資や爆買い、相続税対策、非実需要増などもあり13年以降上昇傾向。中古マンションの成約物件単価のほうも13年以降、上昇を続けている(次図)。

新築・中古の価格差2800万円まで拡大
(新築は不動産経済研究所の、中古は東日本不動産流通機構の公開データをもとにマン点作成)

上図をもとに、現在の専有面積70m2の新築マンションと中古マンションの価格差をザックリ試算してみると――

新築マンションの発売単価120万円に対して、中古マンションの成約単価は80万円だから、その差2,800万円(=(120-80)×70)。

新築より中古マンションを選ぶ時代…

新築マンションの発売戸数は、14年4月の消費税増税(5→8%)の駆け込み需要で13年にピークを記録(28,340戸)したあと急減。16年以降、1.5~1.6万戸で踏みとどまっている(次図)。

一方、中古マンションの成約戸数は、11年あたりから増加。16年には遂に、新築マンションの発売戸数を逆転。翌17年、新築が再び逆転。新築・中古が競い合う展開となっている。

新築より中古マンションを選ぶ時代
(同上)

新築マンションの価格がこのまま高騰し続けるようだと、新築から中古への流れは止まらないのではないか。

IT長者やパワーカップルなど、新築マンションの高値づかみを気にしない人たち以外は、新築マンションより中古マンションを選ぶ時代……。

中古マンション成約単価、都心3区>城西>城南>城北>城東

では、23区の中古マンションはどの地区が高いのか(安いのか)。

じつは23区では、次の順に成約単価が高い傾向が見られる。
  • 都心3区>城西>城南>城北>城東
都心3区の成約単価は、最高値(18年8月:119.37万円)が1年ぶりに塗り替えられた(19年8月:119.62万円)。120万円を目前に足踏み状態が続いている(次図)。

中古マンション成約単価

  • 都心3区:千代田、中央、港
  • 城西地区:新宿、渋谷、杉並、中野
  • 城南地区:品川、大田、目黒、世田谷
  • 城北地区:文京、豊島、北、板橋、練馬
  • 城東地区:台東、江東、江戸川、墨田、葛飾、足立、荒川

城東地区の中古マンションは他地区に比べて安い。しかも、高尾山から離れているので、花粉症の人にとっては優しい地区だ。

でも、城東地区のうち、江東5区(墨田、江東、足立、葛飾、江戸川)は、河川の決壊や巨大台風による高潮など、大規模水害リスクが潜んでいる。同区のマンションを選ぶのであれば、大規模水害が起きた場合、江東5区のほぼ全域に広域避難勧告が発令されることになっていることを納得したうえで住む必要がある。

※詳しくは、「江東5区のマンション高層階住民、大規模水害で広域避難は必要か?」参照。

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一級建築士/マンションアナリスト/長寿ブロガー(19年超)

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