第221回 「郊外マンションの未来を憂う」

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

 

 

再開発で立派になる街は首都圏各地にあります。問題は、それによって不動産・マンション価値がどこまで上がるかという点にあって、価格が高くなれば需要は減ります。

大都市なら、多少高くなっても購入可能な人の数も確保できますが、郊外都市ではそもそもマンション需要の絶対数が少ないので、再開発で立派な街にしたとしても高額マンションを買える人の数は限られます。

周辺市町村から多少は集められるとしても、底は浅いと言わざるを得ません。

 

つまり、立派なマンションが立派な駅の近くにできても購入者の絶対数が少ない郊外都市では限界があるというわけです。地価が高騰してマンション価格も高騰、それに伴い高値のマンションに手が出なくなった人が安い(手の届く)マンションを求めて郊外に流れるといった動きも今はもうありません。

 

つまり、郊外マンションは高くなったら売れない構図ができてしまったのです。

 

最近のマンション購入者は、高くなっても通勤に便利な都心か準都心を選択しています。ダブルインカム世帯の増加で「価格が上がったが、まだ手が届く」のです。安いマンションを求めて郊外に流れるという行動は見られなくなりました。

 

自宅で仕事をするテレワークやフレキシブル勤務など、仕事の形態は変わりつつありますが、通勤電車が満員にならない、減っているという情報はありません。まだまだ都心・準都心居住の希望者は多いのです。

 

マンション購入者は、首都圏全体でも年間に10万人(新築・中古の合計)もありません。最近数年は7万人程度です。これは、世帯数の0.7%(首都圏で1000万世帯)に過ぎません。そのうち、半分は都区内で買っています。

こうしたマクロの数字に注目しながら検討を重ねていくと、郊外マンション市場は将来性が低いと考えざるを得ません。

 

●郊外マンションは厳選することが必須

したがって「郊外でマンションを買うのはリスクが高い」ことになります。高くても、需要量の大きな都心なら何とかなりますが、郊外は物件を厳選しないと将来価値は期待しにくいのです。

 

郊外のマンション開発では、大規模なショッピングセンターが併設されることもありますが、そのような大規模マンション開発は、だからどうかと言えば、マクロの目ではあまり関係がないと言えます。地域の住民にとっては魅力が増しますが、都心通勤者にとってはさほど魅力的な材料にはならないからです。

 

大規模ショッピングモールができて魅力が増し、周辺市町村から住民が移動して来る可能性もないわけではないですが、住民移動の期待は大きくありません。マンション需要が伸びて価格上昇に期待が持てるかというと、それも期待するほどのことはありません。

 

要するに、人口が増えてマンション購入者も増えるという構図が期待できればいいのですが、残念ながら郊外ではマンション市場の底は浅いと言わざるを得ません。

 

かつては郊外都市も都心から移動して来た人たちの需要が少なくなかったので、郊外マンションも値上がりしたことがありました。しかし、それはいっときのことでした。

今は、郊外マンションの未来は暗いと考えるほかないのです。

 

無論、郊外に住んで郊外の職場に通う人もあるわけですから、一定の需要は間違いなくあります。随分前のことですが、筆者の研究の一環でマンション需要は地域の世帯数に対して一定の割合で存在することを確認したことがありました。

 

地価の高騰で一戸建ての取得が困難になり、郊外に行かなければ買うことができないときもありました。郊外なら、駅近くで買えたのではないかと疑う読者もあろうと思いますが、こんなに遠くまで来て、そこからバスに乗る家など当たり前の時代もあったのです。そんな悲しい時期に、マンションなら駅前で買えると知り、郊外の駅前マンションがよく売れた時代もあったのです。

 

その後はご存知の通り、地価は反転して郊外なら駅から徒歩圏で誰もが買えるようになりました。一戸建てでなく、マンションなら駅前立地で大型の立派な物件を選ぶこともできるようになったのです。

 

●郊外の中古マンションは格安

郊外の住宅需要は人口動態の変化で大きく減りつつあります。

 

少し前から、人口減少時代に入ったと言われるようになりましたが、顕著なのは郊外です。郊外にも一定量の職場がありますし、その職場の近隣に住みたいとしてマイホームを求める層は間違いなくあります。

 

しかし、その数は年々減少し、住宅供給メーカー(建売業者とマンション業者)も存続が危ぶまれています。特にマンション需要は少ないのです。

 

言うまでもなく、ローンの金額が同じなら管理費や修繕積立金などの固定経費の要らない一戸建ての方が魅力的です。マンションより一戸建てを希望する需要が多いのが郊外です。

 

その郊外で、駅から近い住宅となると、さすがに一戸建ての新築は安くないものの、格安マンションなら、その選択もありかなと考える人もあって、中古マンションの需要は一定量あるようです。

 

言い換えましょう。郊外でマンションを選ぶ人は少なくなりました。新築マンションは郊外でも結構高いし、中古を選ぼうという動きが嵩じて条件の良いマンションには多少の需要が集まります。

 

しかし、多少と断った通り、毎月の管理費・修繕積立金などの固定経費を勘案すると得策ではないと考える人も少なくないため、結局は一戸建てに流れて行くのです。郊外でマンションを選ぶ人は激減してしまったようです。安い中古でも同じです。むしろ、中古マンションには安くても目を向けない人が多いのです。

 

信じられないほど「格安の(1000万円未満)の中古マンション」は郊外には無数にあります。A市もB市も、C市も、D市もとキリがないほど格安中古マンションは郊外都市に散在しています。

 

この実態を知ると、郊外都市でマンションを買うのは、ある意味で勇気ある行動です。一生住むとか、一生はないにしても長く住むという前提を置き、「先々は二束三文でも売れたらいい」くらいの覚悟を持たなければなりません。

 

●郊外でマンションを買うなら中古が賢明

郊外都市でマンションを選ぶとき「新築にこだわるのは冒険だ」、筆者はそう思います。値上がり期待は持てないと考えなければなりませんし、安くなるのを覚悟して購入するとしても、割高な新築にこだわって選択するのは考えものです。

 

中古を選ぶなら、「最終的に二束三文でもいい」というくらいの覚悟が必要かもしれません。

 

そこまで割り切ることが難しいなら、物件は厳選しなければならないのです。マンションの寿命は普通の管理をしていけば、最低でも60年か70年、うまく行けば90年はあるのです。

 

築20年の中古を買えば、短くとも40年、うまく行けば70年は住み続けることができます。つまり、築20年の中古を買っても、売却は可能です。その場合、損失をどのくらい覚悟すればいいのか、その覚悟次第で安い郊外中古マンションは選択の対象になり得るのです。

 

選択は買い手の自由ですが、大きな損失を覚悟して新築を選ぶのはいかがなものか。筆者は最近そう言うことが増えました。

 

安い中古を買っても選び方によっては損失は少なく、また、中古でありながらもリフォームを少しするだけで快適に住むことはできるのです。購入資金は他のことに使う。早く言えば、現金資産を多く残す道を考えた方が良い。最近は、郊外マンションを選ぶ人たちに「中古のススメ」を語っています。

 

「新築は気持ちいい」ですが、大損につながる場合もあるのです。特に郊外では「今そのとき」にあると考えます。ブログの性質上、具体の物件を挙げながら解説することはできませんが、これまで筆者が調査し、将来を予測して来た郊外マンションは、「今後ますます悲観的に見なければならないなあ」そんな思いが強くなっています。

 

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

 

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ちなみに、9月20日の第693回は「ワンルームマンション投資の落とし穴」です。

 

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