こんにちは、やまちゃんです。
先月、遅ればせながら晴海フラッグのモデルルームを見に行きました。再開発区域がトータル18haに及ぶそうで、芝浦アイランド(6ha)の実に3倍。いや~、でかいですね。
当日は1期2次の集客が始まったばかりということもあり大盛況でした。単価安角住戸はアリですね。めっちゃ倍率出そうです。
さて、今回のご質問です。
差出人:ドラえもん
この度、○○県は△△市の新築マンションの購入に踏み切ろうか悩んでおります。
実際に住めるのは2年も先というスケジュールです。2年もあったら自分をとりまく環境(両親の介護が発生するかも?!や、正社員として勤務している職場の業績が右肩下がりなので定年まで職場があるのか?!住宅ローンを何年組むのか?!)
は、すごく変化がありそうで、、。
しかしながら、消費税の関係もあり今月中に返事をしないといけないと焦らされております。だいたい1年くらいで皆さん購入から引っ越しではないかなと思うのですが、2年待った方はおられますか?
また、2年待つことのメリット、デメリットを素人なので思いつきません。
教えてもらえないでしょうか??
ご相談ありがとうございます。回答しますね。
※質問文(○○県△△市)は明記されていましたが伏せました。また質問内容から、めっちゃ昔の質問だと分かると思います。遅くなってごめんなさい。微力ながら出来るだけ多くの方にご回答をと思ってます。
まず結論から。
入居まで2年待つメリットは、ぶっちゃけ無いと思います。待つ時間は短いに越したことないですね。。
青田売りで2年待ちのメリット・デメリット(vs 1年待ち)
まず比較対象を明確にした方が良いと思いますので、ここでは「1年待ちの新築物件」と比べます。(別に半年待ちでも何でもいいですが)メリット
・エリア価値の先物買い
“こじつけて”言うなら、2年待つ理由が再開発エリア内に建つタワマンなど街全体が変わるようなビッグプロジェクトの一部だと、将来の再開発エリア全体の価値向上を「先物買い」できることになりますのでメリットだと思います。しかし、それは再開発がメリットなのであって、2年待つことがメリットではないので、やっぱりこじつけです。無理して言いました。
それくらいメリット無いです。(そして、ドラえもん様がご検討の物件はコレかなと目星が付いたのですが、再開発案件ではないようですね。。)
デメリット
・ステータス変化(収入、職場、家族構成、育児就学、結婚離婚など)
一番気になるのがこれでしょうか。ドラえもんさまが仰せの「自分をとりまく環境」「両親の介護」「職場の業績」が当てはまりますね。うーん、、先のことは分からんですね。分からないなりに契約前に気をつけることとして、もしもステータス変化が起こったとしても、大ケガしないような物件選びなり資金計画を立てておくことが大事です。転ばぬ先の杖です。
例えばですが、介護がありえるならご実家の近くが便利でしょうし予算を背伸びしないよう気をつけるとか、転勤が多い会社なら自分が出る可能性も考えて賃料利回りを気にするとか、出産育児で奥さんが仕事辞めることも考えて夫婦合算で背伸びしたローンを組まないとか、将来離婚で面倒にならないよう共有名義にしないとか、事前に落とし穴ドボンをできるだけ回避することを言ってます。
さすがに無いと思いますが、ご自分の意思でステータスを変化(劣化)させませんよう。転職するとか別のローン組むなどで住宅ローンの本審査に落ちてしまうと、えらいことになります。
・死亡、重度障害リスク
ローンを組んで契約されたのでしたら、入居まで死なないでください(棒読み)・売主、ゼネコン倒産リスク
入居まで2年かかるようなプロジェクトだと、売主が大手デベやJV(複数社の共同事業)のことが多く、また今の景気だと売主倒産の心配は無用だと思いますが、一応リスク要因として挙げておきます。青田売りで売買代金5%以上 or 1000万円以上の手付けを打つと、宅建業法で手付けの保全措置を取らなければいけないことになっており、万一売主が倒産しても手付けは戻ってきます。
中堅以下の開発業者でリーマンショック後のような悪い環境下なら気をつけておきたいです。まぁ、2年も先となると売主もキャンセル怖いので「10%入れろ」と言ってきて、結果、手付保全されますが。
買主の立場からは、5%入れておくと手付が保全されキャンセル時のペナルティも最小限となりオススメですが、売主がそれで契約してくれるかは別問題なので要相談です。
・建設現場での事故リスク
現場で事故が起こる可能性も、どうしてもありますね。重機の事故や火災などはまだリカバリーがききますが、人身事故(現場の工員や近隣住民)が絡んでくるとだいぶ困ったことになります。・買い替え時の追加コスト(賃貸一時住まいの生活コスト)
買い替えで入居が先の物件となると、先に自宅を売却して賃貸物件に一時住まいする必要がありますので、そのためのコストや引っ越しの手間が余計にかかります。また、免許証とか銀行カードとかクレジットとか、各種住所変更の手続きが地味に面倒くさくて、1~2ヶ月の短期なら放置もアリでしょうけど、2年待つとなると手続きしないと生活できません。それも人的な追加コストとすると、ちーとムダですね。
・より良い物件が出る可能性
物件を契約した後に「本当にこの物件で良かったのだろうか」と気になってしまい、他のモデルルームを見て回る方が、必ず一定数います。ご自身の判断が正しかったことを追認したいようです。入居までの2年の間、もしかしたらより条件が良くて安いマンションが出てくる可能性は十分あるわけです。
気になってしまうのは分かりますが、更に良い物件が見つからなくてやっとイーブン、探している間は不安、見つけてしまったら凹むという、手間も時間もかかる上に”勝ち”のない活動はお勧めしません。
ジョーカー引くまでカードをめくり続けても良いことありません。契約したら、どしっと構えて入居の準備に専念しましょう。(他の物件を見に行かない、気にしない)
・将来不安(心理面)
心配性の方だと2年も待ち続けるということそのものが、精神衛生上あまり良くないかも知れませんね。年末になって、「来年さらに年を越してもまだ引っ越ししてないのか~」、みたいなことを考えちゃうんですよね。。2年待つことについて1点フォローをしておきますと、上に書いた項目は、マンションの青田売りそのものに当てはまることです。
2年待とうが1年待とうがデメリットの項目は同じですが、待つ期間が長い方がリスクは大きくなるという意味で書きました。
青田売りのデメリット・メリット(vs 中古物件)
では、青田売りのメリットとデメリットは何か(vs 中古物件)についてです。上に書いたメリ・デメがあるのに加えて、思いつく限り書いてみます。メリット
- 好きな間取りを買える(販売初期)
- 間取りセレクト、カラーオプションが選べる(販売初期)
- 時間をかけて準備が出来る、事前に予定を立てられる
- 入居前の直し・アフターサービスが受けられる
余談ですが、デベロッパー側からしてみれば、青田売りする理由は経済的に有利だからです。
建物が出来上がる前からさっさと販売してしまうと、契約のタイミングで契約金が入りますし、業者によりますが中間金取ったりして資金繰りを容易にできます。物件の引き渡しと同時に残金を回収できて、土地費用や施工費などの銀行借入を早く返済して利息を減らせます。
また入居前に完売させると銀行から販売実績を評価され次の借入がしやすくなります。
大手だと残戸があろうが左うちわで余裕ぶっこいて何年も売ってるデベロッパーがいる一方で、中堅以下だと銀行の貸し出し態度が悪くなると死活問題なので、上記の理由で入居前完売にこだわる業者は多いと思います。
(そのため、期末や入居前になると残戸の値引き・サービスなどの飛び道具が出やすい)
デメリット
青田売りは、何と言っても「現物を確認できない」ということが最大のデメリットですね。どうしてもイメージと現物に乖離が出てしまいます。新築を契約してくれたお客さんで、これまですごくいい感じで仲良く接してくれたのに、内覧会のときに「施工が悪い」「思っていたのと違う」「話が違う」と怒り狂って豹変するお客さんが、(少ないながらも)どうしても出てきます。
お客さんの脳内イメージが販売時に見せるショートムービーの如くピカピカで、現実との落差が大きくなると時に爆発することがあります。そのため内覧会は、営業(販社)および建築部の人間は戦々恐々としております。
私がその昔担当していた物件では、うるさいお客さんの部屋番号をゼネコンと共有していました。この部屋のお客さんは怖いから絶対ちゃんと施工しろ、みたいなノリです。(物件個別で違うでしょうし、そこまでは普通やってないかも。)血塗られた打診棒持ってる人とか来たら、もう所長に鬼電します。
検討期~契約~内覧会にかけて、演技でもいいから小うるさい客を演じてる方が、部屋内の施工レベルはもしかしたら上がるかも、、知らんけど。
ほかメリットでもデメリットでもないもの
手付け金を払うことに伴う機会損失
例えば5000万円の物件を契約したとして、手付けで1割(500万円)出したとしましょう。売主に預けた金額は売買代金に充当され、2年寝かせようが、当然そのお金には利息が付きません。機会損失というのは、例えば自分で運用できるような人が500万円を2年間上手にやりくりできたとすると、運用で得られていたであろう取り分が失われますよね、という意味です。
逆に、あっただけ無駄遣いしちゃうとか、投資して損ぶっこいちゃうこともあります。損をしないで済んだ、つまり損失の機会損失(笑)になるかも知れませんので、まぁメリットともデメリットとも言えない事にしました。
トータルで得なのか損なのか分からんけど、お金をやりくりする機会は奪われるということです。
ちなみに、自己資金充当額が多い資金計画の方は、業者によっては手付け金を取った上に、中間金よこせと言ってくるケースがあるかも知れませんが、中間金は義務でも何でもないので断って大丈夫です。
中間金は違約金扱いにならないので契約キャンセルしても戻りますし保全の対象になり預けて損というものでもありませんが、わざわざ手元資金を減らす必要もないですよ、ということで。
ローン金利変化
契約は今したとしても、住宅ローンの金利は実行時(2年後)のものが適用されますから、下がっていたら得でしょうし、上がっていたら損ということになります。固定金利で申し込みをされる方は、運を天に任せましょう。まぁ、上がったところで微々たるものでしょうし、正直あまり気にしなくて良い気もしますが。市況変化
もし2年経っても今みたいに不動産価格が上がり調子が続いていたら安く買えたね(ニッコリ)ということになりますし、「なんちゃらショック」が起こってミソもクソも下げるようなことがあれば高値掴みしちゃったね(ガックリ)ということになります。今の市況は、デベロッパーが土地を高く仕込んでいる上に、五輪需要で建築費が高騰しているから価格が下がらないという話もありますけども、それこそ「なんちゃらショック」のデカいやつが一発来たら、国内事情を全部無視してドカ下げしたことも私達は経験済みなわけで、まぁ、先のことは分からんです。
ただ思うに、購入の意思決定は「そのタイミングが来たら」がベストと考えます。家族が必要としているのに「今は高いから損」と延ばし延ばしにするのも、どうかなーと。
消費増税
ドラえもんさまの質問文にあった消費増税についてですが、必ずしも8%の頃に契約した方が有利とは言えないと考えてます。(もうすでに契約されていたら恐縮です)消費増税があるから早めに契約を!という煽り文句は、不動産業界はこれまでに何度もやってまして、(少なくとも過去は)駆け込み需要でやっぱよく売れたんです。
一方、増税後は需要を先食いした反動でマンションが売れなくなって「どうしよう?」となります。ご想像の通り、売れなくなったら値引き・サービスするんです。
増税で建物価格が高くなることは間違いないのですが、売れないなら売れないで入居前や期末あたりに値引きして相殺するほかなく、つまりは今月以降どれだけ売れなくなるかで、値引きチャンスはあるかも知れませんし、ないかも知れません。
あと、政府も増税後の景気冷え込みは何度も経験済みで、住宅産業は裾野が大きいこともあり、当然のようにセットで減税メリットを作ってくれます。
今回の増税でも、ローン控除の期間が3年延びましたし、すまい給付金の条件や贈与の非課税枠が緩和されたりと、使いようによってはお得に住宅を買えるようになってます。住宅購入に関しては、増税したから必ずしも損になるとは言えないという立場でいます。
結論として
頂いたご質問の回答としては冒頭の通り「待つ時間は短いに越したことない」なんですけども、それよりももっと大事なことは、ドラえもん様が「この物件を心から気に入っているか?」だと思います。答が”Yes”なら、すぐに住める微妙物件、1年待てば住める妥協物件よりも、2年待って本当に住みたい物件に住んた方が良いに決まってます。
長い時間ですけども、もし既に契約でもされておられましたら、現地をちょくちょく訪れて、「ここまで躯体が立ち上がったのか~」みたいな工事の進捗状況を見ながら新しい生活に思いを馳せるのも楽しいかも知れませんね。
以上、ご参考になりましたら幸いです^^
注釈:
当方からのご回答は、過去にスムログに頂いた古めの質問をピックアップさせて頂いております。特定のケースについてご質問の際、その内容を一般化して多くの方に関係する内容とさせていただく場合があります。また本記事は、当方の個人的な見解・意見であり、その内容に関していかなる責を負うものではありませんので予めご了承下さい。
当方からのご回答は、過去にスムログに頂いた古めの質問をピックアップさせて頂いております。特定のケースについてご質問の際、その内容を一般化して多くの方に関係する内容とさせていただく場合があります。また本記事は、当方の個人的な見解・意見であり、その内容に関していかなる責を負うものではありませんので予めご了承下さい。