「モモレジのちょっと得するマンション選び」第4回です。
第4回は、第2~3回で説明した新築時の価格の「歪み」が「中古市場」においてどのように是正されていくのかについて述べていくのですが、まずは恒例の気になるマンション画像を1枚(画像がないと寂しいので)。
目白駅前のイトーピア目白カレンです。
先日目白を散歩した際に見かけたのですが、バルコニーのトンガリっぷりに心を奪われました(笑)
なぜにこんなに尖らせる必要があったのだろうか???
さて本題、「是正要因」と考えられるものは大きく分けて2つあると思います。
まず1つ目の要因は、第1回で述べた「新築」と「中古」の価格形成アプローチの違いです。詳細は第1回をご参照いただければと思いますが、簡単に言うと、「新築はデベが予定する期限までに完売できるであろう価格」、「中古はレインズなどの周辺成約事例をベースにした価格」です。
これまでの記事
⇒「モモレジのちょっと得するマンション選び」第1回(「新築と中古で発生する価格形成の歪みを利用しろ」)
⇒「モモレジのちょっと得するマンション選び」第2回(総戸数や階建など物件属性の違いにより発生する歪み①)
⇒「モモレジのちょっと得するマンション選び」第3回(総戸数や階建など物件属性の違いにより発生する歪み②)
「価格形成アプローチ」が違うのだから価格が異なるのは至極当たり前のことなんです。レインズには成約情報を載せないことも可能ですので(私も載せないようにしています)、全ての取引情報が網羅されているわけではないのですが、ある程度のスケールのある物件であれば同物件の実際の成約価格が坪単価で実例として既にあるのが普通で、「時点」や「住戸条件」に大きな差がなければ、そこから大きく乖離した金額で買うような奇特な人はほぼ出てきません。
表現が正しいのかは分かりませんが「中古」の方が価格に意外性がなく掘り出し物に出会える可能性は低いのです。
※売主に諸事情があり、早期売却を強いられるケースは例外ですが、そういったケースでは市場(ウェブ等)に出てくる前に消えてしまうのが普通なので、普通に探しているとまず出会えませんし、業者から市場に出る前に紹介してもらえるケースでもそういった物件を狙っているプロ系の人は少なくなくどうしても競合してしまうので、値引き交渉は難しく結果大して安くないみたいなことが少なくないです・・・。
と、いうように「中古」市場には何はともあれ「成約事例」が価格に与える面が大きいため、新築時から少なからず転売物件が出てくるようなタワマンなんかの成約事例は築浅のうちに強めのデータが整いやすいという特徴があります。
大規模物件の方が売出物件が多くなるので供給が多くなるという意見もあるでしょうが、総戸数数百戸のスケールの物件でも完成と同時に市場に出てくるのは(転売されるのは)多くとも10~20戸程度で供給過多という水準では全くもってありませんし、そういうタイミングで売る方のほとんどは投資家なので安値では売ろうとしないのです(賃貸と両天秤をかけている方も当然います)。
次に2つ目の要因です。
こちらの方が私の感覚では「歪みの是正」により影響力の強いファクターだと思っています。
「同じ住戸でも新築時と中古時では見え方が全く異なることが少なくない」というものです。
今後は「青田売りと完成売りによる価格の歪み」などについても言及していく予定でそういった面も関係していないわけではないのですが、ここでの主眼はそれではありません。
ここでの主眼は、第2~3回で何度か書いた私のこの言葉「新築は選びたい放題!」であるのに対して「中古は限られた売出物件の中からしか選べない」という点になります。
「中古」で物件を検討したことがある方は経験があるかと思いますが、普通の人は新築時のその物件の価格表なんて持っていませんし(最近でこそマンコミュさんや住まいサーフィンさんのおかげで把握できるケースも増えましたが・・・)、そもそも新築時の価格設定自体が住戸パフォーマンス的に矛盾のないものとは言い難いので、そのマンション内で数戸、少ない場合にはその検討住戸のみしか売り出されていないような状況では「妥当な価格」なぞ素人に毛が生えた程度ではまず分からないんですね・・・。
前述の通り、中古の価格は成約事例をベースとして決められることが多いのでそれが「妥当水準」と言え、おおよその「平均値」を見極めるのはわりと簡単なのですが、住戸条件の差による「妥当な水準」を見極めるのが簡単ではないんです(同プランの上下階など同条件の成約事例があるケースではいい意味でも悪い意味でもそれに左右されることになりますが)。
そして、この次述べる点が非常に重要なのですが、中古検討では「どの住戸か?」よりも「どのマンション?」かが何はともあれ優先されることが少なくないんですね。
大半が青田売りの新築分譲時は実際のマンションに入ることが出来ないのでどの物件も華美に装飾されたモデルルームや資料を見ただけで「ほぼ2次元的」に物件を決めるので同じようなタワマンで中古よりも優劣は生じにくいという面があるのですが、いざ中古で実物を見るとより明確に「好み」が出てくることが少なくないのではないでしょうか???
中古は室内のカラーリングもむろん選べませんし、新築時に比べ様々な制約が出てきてしまうのですが、かなりの確率で言えることは「希望するマンション内で住戸の広さや階数に妥協することはあっても」「その希望するマンション自体を妥協することはほとんどない」という点です。室内はある程度リフォームなどでカバーすることが出来ますが(眺望は出来ないですけれども・・・)、共用部は個人の力ではどうにもなりませんからね。
純粋な「投資」であればまた話は違ってくるのですが、「実需」である以上は物件に入った時に「素敵と思うか否か」ってすごく重要じゃないですか???
毎日そこを通るんですよ、そこが好きなマンションに住みたいですよね???
私は青田売りの段階でそこをかなり重視してマンションを見ています。
少し熱くなって話がそれてしまった感もありますが、要するに何が言いたいかというと新築時そのマンション内ではどちらかというと条件の劣る住戸ではあっても立地や共用部など全てのパフォーマンスを加味した上で周辺物件よりも優れている部分のある物件(もっと簡単に言うと人によってはグッとくる部分が何かしらある物件)であれば、その物件自体の中古市場での評価レンジが狭くなる(つまり、物件内で条件が悪い住戸でもそれなりの価格で評価される)ということが容易に起こりえるのです。
分かりにくいですね・・・。
数字で表現するとA物件が坪単価260~320万円というレンジを中心に取引されているのに対してB物件のケースでは坪単価280~320万円レンジを中心に取引されるというケースがあるということです(あえて上限を同じにして分かりやすくしました)。特にタワマンは共用施設やスケール面で圧倒的な魅力があることもあり、新築分譲時よりも狭い坪単価レンジ内で取引されることが少なくないというわけです。
そしてその結果、新築分譲時に安ければ安いほどリセール時に有利となっているということが言えるわけです。データとしてタワマンの「北向き」や「低層階」の価格維持率が高くなっているのは、一言で言うと「新築時の価格が弱すぎた、かつ、中古では新築ほど弱くならない」ケースが表れた結果なのです。
結局、新築時って検討者の「視点が狭い」と思うんです。
どうしても新築じゃなきゃ嫌って方もいらっしゃるでしょうし、希望するエリア(駅)の新築分譲マンションに絞ると1~2物件しかないことも多い。すると、その中で「できればいいお部屋を・・・」という思考になるのも当然のことなんですよね。
対して「中古」は全然状況が違うことがこれまで書いた内容から分かっていただけると思います。最重要事項は大概のケースで「どのマンションにしようか?」なんです。
中古では場合によっては低層階のお部屋しか売りに出ていないことだってありますし、そのマンションに住めるなら多少条件が悪くてもいいやってなりやすいんですね。「待ってももっと条件の良い部屋が出てくるかどうか分かりませんよ・・・。待ってる間の賃料が勿体ないですよ・・・」って営業さんが追い打ちをかけてきますし・・・。
「そのマンションに住めるなら多少条件が悪い部屋だっていい・・・」、そう思える「新築物件」の条件のあんまり良くない部屋が弱気の値付けをしていたら結構いいお買い物になるかもしれません。
こちらご覧いただいていない方はぜひ!
たぶんためにはなりませんが(笑)、楽しんでいただけるかと・・・。
モモレジの名作マンション訪問
⇒Vol.5小石川界隈
⇒Vol.6糀谷界隈
⇒Vol.7日暮里界隈
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