こんばんは、やまちゃんです。
少し前に、新聞の折込に入っていた某デベの広告で、マンションと戸建ての月額支払いと予算の比較がありました。(下の画像はクリックで大きくなります)
主旨としては、一戸建てだとマンションのような管理・修繕費や駐車場代がかからないから、これら月々の支払い差を35年ローンで割り戻して2500万円買い上がれますよ、と言ってます。
比較対象のマンションが「近隣の弊社分譲物件を参考」にしているそうで、自社マンションを引っ張り出してきて一戸建てがいかに有利かを訴えるガッツある広告です。
一戸建てに修繕費が計上されてない等ツッコミ所ありますが、効果ある広告だと思いました。マンション管理費・駐車場等の月額支払いで約6.6万円、年間で約80万円、デカいです。
管理会社にとって新築物件は上得意様、最強のサブスクモデル、首都圏で管理費@300~400円なんてザラ、修繕費@100円にして販売に支障ないよう何とか落ち着かせる、引き渡し後はそちらでご自由にどうぞどうぞ、売主もなんだか露骨になってきた?そんなこんなで、一戸建てもいいよねとなっちゃうのかも。
さて、本題に移りますね。前回のその2はこちら↓↓↓
目次
販売活動
2018年6月下旬より販売を開始しました。その2で書いた4社のうち2社に一般媒介でお願いしました。(A社、B社とします)
ここでは、A社およびB社が出してきた査定価格の平均を”100点”として、出し値や価格変更した後の点数を書きます。(点数は丸めてます。丸める理由は、細かい数字で書いたら分かりにくかったためです。)
査定価格はおおむね、専任でお願いした時に3ヶ月以内で売れるであろう価格を出してくれるのが「誠実な」業者の対応だと思います。
大手は媒介を取れるので、物件を預かった後のことを考えて、比較的「誠実な」査定価格を出してくることが多いです。
一方、中小は(もちろん業者によりけりですが)良い査定結果を出して「頑張らせて下さい!」とか威勢のいいこと言って、あとはなし崩し的に売れない理由を後から並べて値下げを要求する「不誠実な」展開もありがちです。
たまにWeb広告で「他社より500万円高い査定結果が出ました!」とか見ますが、正直びびります。
しかし彼ら(営業マン)も立場が弱いのです。会社から売り物を取ってこい、上司から専任で取ってこいと言われてます。媒介を取るために仕方がありません。売主としては、大手を選択するだけで問題の多くは回避できると考えます。
さて話を戻しますが、販売スケジュールは「競合物件が先に売れてもいいから長期戦覚悟で高めで攻める」と設定しました。
[第1フェーズ(夏季)]
2018年6月~8月まで
→ 夏枯れと言って集客の少ない時期です。売れればラッキーくらいの強気な価格で様子を見ます。この期間は業者ヒアリング、集客、追客情報など収集の期間とします。
[第2フェーズ(秋季)]
2018年9月~12月まで
→ 9月~11月まで集客が見込めます。この辺で来たお客さんを12月末までに決めるフェーズです。できるだけ高く売れるよう活動します。
[第3フェーズ(期末)]
2019年1月~3月まで
→ 最も集客が見込めます。3月末までに決めるフェーズです。売り切りを狙います。または同時に賃貸の募集もします。
今回、資金需要があったから売り出したのではなく、いつまでに売らなければいけないという事もなく、そもそも賃貸継続でも構わなかったため、季節性を考えて翌年3月末までに売る想定としました。
第1フェーズ(夏季)
まず、出し値を”130点”としました。査定の3割増しでだいぶ強気です。周りの物件もチェックして、競合物件より更に高めの価格設定で開始しました。まずは集客の初速を見ます。
以下は、第1フェーズでのA社およびB社の販売活動の記録です。
A社の活動
たまたま実査定に来る担当が当日来られず、上長の支店長に査定してもらった経緯で、決済権ある人の方がいいやと「支店長の人柄を見込んでお願いしたので担当について下さい!」とか適当なこと言って担当についてもらいました。(部下の営業マンと2人体制)販売が始まってみると、A社の方が集客状況が良いにも関わらず、出し値が強かったためか販売に弱気な印象で、常に価格の下げをほのめかされていました。もし専任でお願いしていたら、ホイホイ下げていたかも知れません。
売り方は、折込チラシ・ポスティングや現地販売会を積極的にやってくれました。支店長と直接話ができた影響があったか分かりませんが、ちょいちょいプッシュして、正攻法で広宣費を投下してもらえてました。販売報告も、普通に毎週もらえました。
B社の活動
担当者は、控えめで真面目そうな営業レディでした。いつも上長と一緒に来ていたため、経験が浅かったのかも知れません。実務はすごくマメでこちらの連絡にも十二分に返してくれて、来客が少ないながら弱気な様子もなく淡々と販売してました。
A社と違って、(良く言えば)外にお金を落とさない省エネ営業、(悪く言えば)ケチでした。予算をセーブすることは企業として当たり前なので、そこを悪くは思いません。売れるならOKです。
チラシや投函など外の活動よりも、社内の情報共有、既存顧客への紹介など内部に集客の力点を置いている印象でした。問い合わせ数は多いのですが集客に結びつかず、「このままで売れるんか?」とずっと思ってました。販売報告はB社からも毎週もらえました。
売主としての活動
2社からのヒアリングを通して売り方を考えます。ヒアリングで気をつけたことは、A社B社に同じ質問をして回答の違いを比較すること、知っていることでも質問することです。連絡を取り合うことそのものが大きな目的の1つであること、あとは回答の信憑性から営業マンの力量をはかったり、販売に関して強気か弱気かを読み取るためだったり、値下げのタイミングを図ったりと目的は様々です。
営業マンは、その会社の組織力なり業務フローにおいては慣れてるのでプロですが、他社の実務ベースでの売り方などは多分よく知りません。自社のやり方にどうしても縛られます。
何が言いたいかと言うと、Webを上手に使うとか大枠は同じなのですが、もう少し細かい部分の業務フローが全然違うのです。社風がある、傾向がある。だから販売の感覚値や発言のニュアンスも違う、その違いを感じ取ることは大事だと思います。
業者とのやり取りは基本メールです。後になって情報を整理したり、言った言わない問題をなくすためです。(こういう記事を書けるのも、当時の記録を残していたからですね 笑)
2-3週間に1度は電話します。(特に意識せずとも電話する機会は出てきますが、用事がなくとも会話のために電話します)
話題はこんな感じです。
- 集客について質問
- 掲載されている不動産ポータルについて質問
- 価格について質問
- 本物件で住宅ローンが使える金融機関について質問
- 案内が入ったお客の追客情報(あれからどうですか?の話)
- ボツになったお客さんのボツ理由
- 販売助かってます!引続き宜しくお願いします!
集客の目安は、A社が週1~2件、B社が月5~10件という回答で、まぁ適当計算で週あたり1.5件呼ぶとしたら、1.5件×4週×3ヶ月=18件(1社あたり3ヶ月で9件)の集客ができれば売れるかな、とか、
専有面積が狭い(内法28平米)ので住宅ローンが使える金融機関は「ほげほげバンク」などごく少数で微妙な感じにならざるを得ない(ほげほげバンクの実名は微妙な手前出しません)とか、
ボツになったお客さんの理由を聞いていると資金ネックと築年数ネックが多く、これは想定内なのですが苦戦するだろうな、とか、
価格に関しては、当初の”130点”の価格ではかなり反響が厳しいこと、9月からの集客を見込みたいこと、あと個人的に長い秋の休暇を組んでおり書面対応ができないため、7月下旬のタイミングで値下げしました。
(”130点” → “120点”に変更)
上記のようなことを、業者とのコミュニケーションを通して情報収集しました。
第2フェーズ(秋季)
秋商戦を前に、価格はじめ細かい調整を終えて、長期休暇のためしばらく東京を離れながら、毎週営業マンから届く報告書を見てメールと電話でコミュニケーションを取りました。A社の活動
まず、9月上旬に値下げ提案がありました(”120点” → “105点”)。集客状況が芳しくないこと、またこの頃、数年前に実施したマンション全体の「耐震診断」の結果が芳しくなく、融資を付ける金融機関がほとんど期待できないことが発覚しました。「ほげほげバンク」も恐らく不可とのこと。耐震診断は、言われてみれば、あ~やってたなという程度にしか認識してませんでした。
融資が付かないということは、キャッシュでしか買えないということです。当たり前ですが買える人の数がめちゃくちゃ減ります。(耐震診断の話は本記事末尾に書いてます)
この頃から、A社は更に弱気に転じますが、当時は淡々と営業活動するB社の状況も鑑み値下げしませんでした。(ただし値下げはコミュニケーションネタとして最高なので結構引っ張りました)
売れないと思ってる営業マンには売れません。なぜなら、売れないと思ってるからです。
値下げにしても、個人がキャッシュでしか買えないとなると多分、”120点”も”105点”も大して変わらんのです。”105点”買える人は”120点”も買える。買取業者や投資家相手は安売りになるので自己居住の個人に売りたい。そんなことを考えていました。
次に、10月になって担当変更が発生しました。支店長が担当から外れ、部下の営業マンも他支店へ配属となり、新しい担当者は会わずのまま営業開始となり、しかも業務報告1つよこさない展開に、、笑
こちらの連絡にはレスポンスありますが、業務報告を要求するとメールの平打ちで簡単な回答があるくらいで、前の担当者が毎週同じテンプレで定期的に送ってくれたものも無くなりました。
同じ会社でもこんなにやり方が違うのかと。前の担当が良かったなぁ。物件が捨てられたか、新しい担当が著しく無能か、、そう感じました。
第1~第2フェーズまでのA社 集客まとめ
- 自社HPアクセス件数 454件
- 不動産ポータル Suumo、at home、オウチーノ、不動産ジャパン
- 折込チラシ 5回
- ポスティング 5回(500部+800部+1000部+1000部+1000部)
- 現地販売会・看板設置(4週)
- 問い合わせ件数 7件
- 案内件数 7件
B社の活動
価格を”120点”に改定してしばらく問い合わせ件数はそれなりにあったのですが、来客~成約に結びつきませんでした。それでも担当とコミュニケーションはきちんと取ることができ、淡々と業務的に毎週販売を続けていました。
B社の広宣費は、私の物件が低グロス住戸(価格が安い)ためか、不動産ポータルにもろくに出ませんでしたが、A社と媒体がかぶっておりむしろOKでした(1媒体に1つの物件掲載で十分)。
一方、Home’sとヤフー不動産は、A社・B社とも出てなかったので打診したのですが、出してくれませんでした(笑)
ポータルへの掲載は、出来るだけ多くのメジャー媒体に1件ずつ掲載されるのが理想だと思います。
業者の自社HPは自動的に1社ですね。あとはSuumo、Home’s、at home、ヤフー不動産、、あとどこが強いんだろう?よく知らん。
各媒体に出ているかはチェックします。出たって言っておいて、出てないことマジであります。
B社は、既存顧客と社内情報共有は、かなりの頻度で報告書に記載されてました。これらは表側から全く分からないので、まぁ適当に書いてるんだろうなくらいに思っていましたが、後に意外な展開を生みます。
第1~第2フェーズまでのB社 集客まとめ
- 自社HPアクセス件数 489件
- 不動産ポータル掲載 Suumo、at home
- 折込チラシ 2回
- 既存顧客への紹介(随時)
- 社内情報共有 (随時)
- 買取業者へのヒアリング
- 問い合わせ件数 31件
- 案内件数 7件
売主としての活動
9月末に長期休暇から戻ってきて、価格が”120点”でもなかなか手応えがつかめないため、10月上旬に2度目の値下げをしました。(”120点” → “115点”)
販売前に聞いていた買取価格も気にします。専業の1社は”80点”でした。これは無視です。
もう1社、販売前にヒアリングした仲介業者で買取も出来るという人がいて、”110点”で買取できると聞いてました。新価格の”115点”から指値や仲介料も考慮すると、”110点”の買取は美味しいです。
そこで担当に連絡したのですが、のちに耐震診断の結果が悪かったことがネックとなり会社の承認が出なかったと聞かされました。耐震診断、、、ほげぇ~。
(その仲介屋も買い取ったところで、いくらで売るんだ?という話もあり、どうせ流れていたかも)
新価格に改定したすぐ後に、新規でC社に一般媒介をお願いしました。販売前に2社 or 3社で迷っていた際、C社への依頼も検討ましたが、2社→3社の増枠はハードル低く実施できると考え依頼しませんでした。ここで一度、販路を拡大してみようと。
代わりにすっかりやる気のなくなったA社を止めるか継続するか、、年始から賃貸の募集も開始した方がいいのか、、年末までの動向を見ながら判断しようと考えていました。
そんなこんなしていると、、、10月末になってB社から「明日、内見入ります」「申込を頂きました」「買付を頂きました」「契約日はいつがよろしいでしょうか?」。。。
びっくりするくらい、トントン拍子に話が進んでいくではありませんか!
結果、内見の連絡から契約までわずか9日間、恐ろしく早い展開で、指値も入ることなくキャッシュ買いが決まってしまいました。
こういうこと、あるんですよね。決まる時はこんなものです。
C社には販売開始してもらってから3週間ほどで売れてしまい、担当の営業マンに「すみません、売れてしまいました」と平謝りしました。A社にも同報告をしたら、担当者は驚いてました。
成約・買い手の属性
はっきり言って、ラッキーパンチでした。幸い第3フェーズに行きませんでした。運も実力の内ということで、、笑契約時に直接ヒアリングしたのですが、購入された方はご年配で、所有マンションをB社経由で売却、部屋をダウンサイジングして買ったとのこと。担当は別の人だったのですが、営業レディの度重なる「社内情報共有」が実を結んだのです。実に14件目のお客さんでした。
買い手の方は、所有マンションの売却の際、B社担当が「いい人だったから」という理由で買いも指名。
売りの引き渡し時期が決まっているため買いを急いでおり、私の物件を紹介してもらった後、B社の自社HPだけを見て「他に良い物件がない」とすぐに内覧をして即決。
ものすごく勉強になったのが、Suumoもat homeもHome’sもあれほどTVCMやってるにも関わらず、B社のHPだけで決めていること。他に競合する物件はあったはずなんですけどね。本当はちゃんと調査されてたかも知れませんが、そこは分かりません。競合が全部売れてしまってたのかも知れません。間取りと部屋の雰囲気がすごく良かったという話でした。
むしろ価格がすごく安いからと「この部屋で何かありましたか?」と聞かれたくらいでした。事件事故など告知義務に当たることですが、もちろん何もありません。
B社はB社で、私の物件の両手取引 + その前の売りの片手(両手かも知れません)で万々歳です。
大手強ぇ。。こんな決まり方あるか!?
心から、そう思いました。
販売を終えてみて、もしもA社に専任で任せていたらと思うと焦ります。
ネット集客?偉そうなこと書いておいて空振りでした。B社に専任を変更していた?買ってくれた方のタイミングはズレたかも知れません。最初から3社にしていたらどうだったか?知るべくもありません。
失礼な話ですが、第一印象でB社営業レディを少し頼りないかなと思ってました。私の人を見る目はやはり間違えていました。彼女は見事に結果を出してくれました。素晴らしいとしか、言いようがありません。
その2で書いた、狙うべきターゲットが分からなかった話、
若い人は欲しくても買えるのか?中高齢は買えても住みたいのか?そもそも高齢者はググるのか?
本物件における答えは、「中高齢もワンルームに住みたい。ただしちゃんとググらない」が正解でした。。
最後に
何度も書きますが、本記事はただの記録です。見ての通りただのラッキーパンチですから、そういうことあったんだ程度にとらえて欲しいのですが、ここでお伝えしたかったことは、
- 業者や営業マンには当たり外れがある
- コントロールできることはきちんとやる
- 不確実なことは待ち筋を増やす
- ヒアリング・コミュニケーションは大事
ちなみに、物件は2004年の購入時、”80点”で買いました。(奇しくも買取専門業者が提示した買値と全く同値)
5年自己居住の後、9年分の家賃をもらった上に、”115点”で売却できました。14年も歳をとったにも関わらず、リフォーム費用、仲介料その他を差し引いてお釣りが来ました。あぁ都内の物件はいいな、そう実感した次第です。
また今回悩まされた耐震診断ですが、物件を売る4年前に実施しており、結果「クロ」が出ました。
当時の診断後、各所有者にアンケートが配られました。
- 何もしない
- 玄関扉を耐震性高いものに取り替え(修繕費から拠出、気持ち程度の対応です)
- 耐震工事を実施(1世帯あたり◯◯万円拠出、びっくりする金額)
- 建て替え(金額明示なし)
耐震診断について、こちらの説明が面白いので併せて読んで下さい。
→ 多くのマンションで耐震診断が行われない本当の理由
旧耐震物件に起因して耐震診断をしてしまったがために、「クロ」のレッテルを貼られ、入居者を心配させ、金融機関に回避され、検討者を敬遠させ、耐震工事も出来ない。
これ一体、誰が得してるんですかね?
診断資料によると、「構造耐力上主要な部分の地震に対する安全性:地震の振動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が高い」と明記されています。
これは当然、重要事項記載項目にあたり、同じ文言が重説に記され、買い手の方も少し苦々しい表情で説明を受けられていました。
上のサイトに書かれている事はとても納得できます。そして著者の方のマンションが耐震診断をしなかったことは英断だと思います。旧耐震であれば、少なからず同じ診断結果が出るでしょう。
日本人がやりがちな「正しく間違える」を地で行く話でした。やってる事は正しいが損してる。
(フォローしておきますと、ここはエリア的に地盤がめちゃ良い場所で、先の震災でも全く無傷でした。借り入れボツ等、売れないなら売れないで所有し続けても良かったと思う物件です)
すみません感情的になりました、来たる大地震に備え可及的速やかな診断および必要な耐震工事が求められます (キリッ
以上、3回に分けて長々と書いてしまいましたが、最後まで読んで頂けた方、どうもありがとうございました。
※販売フェーズを鑑みると本当は9月中にも全部書きたかったのですが、めちゃくちゃ遅れてしまいました。大変申し訳ありません。
注釈:
本記事は、当方の個人的な見解・意見であり、その内容に関していかなる責を負うものではありませんので予めご了承下さい。
本記事は、当方の個人的な見解・意見であり、その内容に関していかなる責を負うものではありませんので予めご了承下さい。