賃貸 vs.買う論争 -私はいかにしてルビコン川を渡ったか-

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賃貸か分譲かについて語らなくてはいけない雰囲気になっているので、遅まきながら参戦します。
さて、お題の真意は先日のエントリと同じくいずれにも得失はあるが選ばなければならないという話でしょうか?

1620にすべきか1418か、それが問題だ 【再PR】

ことこの問題について一般論は意味がないので、上記エントリ同様「私の場合」について書きます。

alea iacta est

そもそも、賃貸から分譲にするかで悩む人は多いですが、あまり考えたくないローン破綻とかは別として逆パターンって少ないですよね? [賃貸→分譲の不可逆性] そこに各人ごとの何らかの不可逆性があるから、いかにリスクをとるかの決断が必要になるのだと思います。
そう、カエサルが「賽は投げられた」と檄を飛ばし、ルビコン川を渡る決断をしたかのように。

Crossing_the_Rubicon

“Crossing the Rubicon” from Abbott, Jacob, 1803-1879. History of Julius Caesar.


塩野七生著『ローマ人の物語10 ユリウス・カエサル ルビコン以前・下』新潮文庫より:

ルビコン川の岸に立ったカエサルは、それをすぐには渡ろうとしなかった。しばらくの間、無言で川岸に立ち尽くしていた。従う第13軍団の兵士たちも、無言で彼らの最高司令官の背を見つめる。
ようやく振り返ったカエサルは、近くに控える幕僚たちに言った。
「ここを越えれば、人間世界の悲惨。越えなければ、わが破滅」
そしてすぐに、自分を見つめる兵士たちに向かい、迷いを振り切るかのように大声で叫んだ。
「進もう、神々の待つところへ、われわれを侮辱した敵の待つところへ、賽は投げられた!」
兵士たちも、いっせいの雄叫びで応じた。そして、先頭で馬を駆けるカエサルにつづいて、一団となってルビコンを渡った。紀元前49年1月12日、カエサル、50歳と6カ月の朝であった。』

 

ルビコン川のほとりで

私の場合、賃貸タワーから分譲に移って、いまのところローン破綻はしていないので、あらためて「なぜ分譲にしようと決断したか」を振り返ってみます。

・家賃 vs. ローン

23区に住んだことがなかったのですが、2000年代前半に諸般の事情から都心に引越さざるを得なくなりました。港区内の賃貸タワーに4年住みましたが、家賃+管理費の合計は58平米1LDKで月20万オーバーでした。約1000万が返ってこないとなると懐に寂しいものがあります。
さらに駐車場代も賃貸当時4.1万の自走式タワーですぐ真っ黒になっていた状態でした。

・住宅補助

それでも家賃が払えていたのは当時それなりに勤務先の住宅補助があったからですが(補助上限でした)、福利厚生費削減のトレンドから、早晩なくなる、もしくは大幅減額が容易に想像できました。
それ以前にはさらにお安い社宅(課税対象外)だった時期もあり、購入のモチベーションが出にくいのも良し悪しだったと思います。

・設備面

賃貸時代から設備の利便性に興味が高く、卓上式食洗機や、後付けで自動開閉付き温水洗浄便座を導入していましたが選択肢が限られ、賃貸の限界を感じていました。
この時点ではまだ壁をぶち抜こうとは考えていませんでしたが、自由にできる点で分譲に興味が高まったと思います。あと、先日書いたとおりお風呂が1216で身長180cm超にはつらすぎました。

・湾岸

賃貸タワーに住みはじめた時期がまさに「湾岸戦争」の時期で、いま振り返っても魅力的な物件が多く、選択肢が豊富でした。5件以内ではなかった気もしますが、ここで決めなかったらいまだにモデルルームめぐりをしていたかも(あ、まだしてました 笑)。
この時期、湾岸がどうなっていくのかはまだ見えなかった面もあり、その点はリスクでしたね。

・タワーという選択

賃貸でも、住みはじめてみるとタワーならではの快適性をあらためて認識し、買うなら湾岸エリアでタワーという自然な流れになっていました。


ルビコン川を越えて、ローマに向かう

決断した結果、どうなったかを同じ視点で列挙します。

・家賃 vs. ローン

ローンはなんとか払えており、固定期間終了後に借り換えも済ませたのでよしとします(マイナス金利まであとnか月待てば…)。
駐車場は、いまは機械式タワーで外気から守られ2.5万で済んでいます(機械式タワーのメンテナンスコストの議論はまたいずれ)。

・住宅補助

実際は既得権の慣性力が大きかったようで、私の予想より長めに制度維持されていました。が、あるとき当然のように改訂され、生活基盤の未確立な若い方は大幅減額されつつもまだ支給されていますが、私の任用役割だともう出ません(0円)。

・設備面

契約時に1620にこだわったのは書いたとおりです。
いくら自由とはいえ、契約時は想定していなかった新築リノベーションをかけてしまったのはさすがに自分でも想定外でした。
(食洗機やトイレはあとからなんとでもなると思っていて、実際リノベーション時に変えました)

・湾岸

住宅地としての湾岸は、エリア自体がその後広がったものの、価格推移と現時点の選択の難しさは皆さんよくご存知のとおりです。
実際、前作でゲストルームをご紹介したグローバルフロントタワー(GFT)は、港区10年ぶりの大規模タワーでした。結果論ではこの間、同エリアに新築で住むのは難しかったことになります。

・タワー

これまで記事にも書いたラウンジ、ゲストルームに代表されますが、賃貸タワーとの最大の差である共用部の充実は、あらためて実際に住んでみるとやはり大きいですね。

人間、自分の選択は間違っていなかったと信じたくなるんものですが、もちろんあのとき決断してよかったと思っています。

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ABOUTこの記事をかいた人

港区湾岸タワーマンションに在住の計算機技術者(でありたい)。 23区では同エリアしか居住経験がなく、いまも湾岸エリアで評判のMRは見に行っています。 自分の新築リノベーション経験を振り返りつつ、主に湾岸を中心に常に変化し続ける街の情報などを追うことで、次のリノベーションへのヒントを得ようという目論みです。

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