今年も早いもので1ヶ月が経とうとしていますが、これから新年度に向けて引っ越しを予定している方も多いのではないでしょうか。
※この記事は約5,000字、5~6分で読めます。
今回、私宛にお便りをいただきました。
差出人: こん
メッセージ本文:
すまいよみ 様
3人暮らしの最適な間取りのエントリーを拝見しました。
間取りという観点で家探しをしていなかったため、とても参考になりました。
デッドスペースを極小化するという考えはとても大切だと実感しました。
一点お願いがございまして、当方の家族構成は4人家族(夫婦+男女の子供)です。
4人家族の場合の最適な間取りも教えていただけるととても嬉しいです。
将来的に子供部屋が最低2つは必要になるため、どうしてもマンションではなく戸建の方が良いのか?と思ってしまいます。
どうぞよろしくお願いいたします。
(原文のまま)
この記事の題名通り、以下をイシューと設定した上で、回答いたします。
『家族4人が、戸建てと同じように住むための、最適なマンションの間取りとは』
目次
「子供2人それぞれが、子供部屋を持つ家族4人の生活」。そんな家族像を夢みて一戸建てを購入することが、高度経済成長時代における住まいの理想だったのだと思います。僕も13年前、結婚した際には同じような事を思い描いて、一戸建から住まい選びを始めました。できれば庭付きで。
しかしながら、社会の価値観が変わる中、「男女が結婚する、子供を産む」ことが、一般ではない時代になりつつあります。
住まいの形も、戸建から特に都市部ではマンションへと、そのあり方が大きく変わってきました。
一方でマンションの価格は庶民にとって手が届かないところまで高騰しています。間取りは効率的に考えられ、60㎡台の3LDKも多く見られるようになりました。
66.3㎡の3LDK
ライフスタイルが変化する中、ワンルームや1LDKの分譲マンションも増えてはいますが、2020年の現在でも、3LDK住戸が主流を占めています。3つの居室とリビング・ダイニング(以下LD)で構成されるこの間取りは、やはり最大4人家族の住まいを想定しています。
私たち一般庶民がマンションを検討すると、およそ行き当たる「田の字型」のこの間取り。家族が少ない期間は、LDと隣の洋室を一体化させて空間を広く使え、子供ができて家族が増えても住まいの形を変えられるメリットがあります。子供部屋が必要なのは、およそ小学校低学年から結婚して家を出るまでの20年間と考えれば、空間を効率的に利用できる経済性を重視した間取りと言えるでしょう。
家族4人が、戸建てと同じように住むためのマンションの最適な間取り
そのようなマンション事情の中、『家族4人が、戸建てと同じように住むための、最適なマンションの間取り』は、『それぞれ3つの部屋に窓があり、2つの子供部屋は独立性が高い3LDK』
と僕なりの結論を持ちました。
成長していく多感な2人の子供の立場から考えた時に、自分だけの独立した城を持ち、プライバシーを保ちながら快適に暮らせる部屋をそれぞれが持てること。
つまり、『家族4人が戸建と同じように住むための最適な間取り』は、夫婦は大きめの1部屋を使用するとして、LD以外の3つの部屋が独立した壁で仕切られ、それぞれの部屋に通風や採光を確保できる窓がある3LDKとしました。
しかしながら、現代の一般的な3LDKの間取りは、子供部屋として使用される1つの居室がLDに隣接しています。
思春期になれば室内で友達と電話をすることも憚れる程です。経験上、LDに面した部屋に住んでいた兄弟に、色々気をつかった時期もありました。
まして、可動式間仕切りやウォールドアで仕切られていれば、少なからず音や気配が漏れプライバシー生に欠けます。更には、LDに隣接した窓がない部屋を居室としている間取りもあります。
各居室独立型の3LDKを選ぶには
そこで、各居室が独立した3LDKを選ぶ視点を、まとめてみました。経済的に許せば大型3LDKを選ぶ
以下のように、十分に広い大型3LDKからであれば、LDKから全ての居室が独立している間取りを選びやすそうです。86.5㎡の3LDK
いやむしろ、80~90㎡以上の4LDKにすれば、家族4人それぞれが部屋を持つことができ、一戸建てと同じように家族4人が快適に住めますよね。経済的に余裕があれば、どの物件でも大型4LDK、3LDK住戸を用意していることが多いため、様々な物件から選びやすくなります。
最低限の面積の間取りから選ぶ
しかしながら、今、90㎡もの大型住戸はいくらするのでしょうか?27坪で坪単価300万円としても8,000万円以上です。庶民に到底買える価格ではありません。できれば、70㎡前後の3LDKから、各居室がLDから離れ独立した3LDKを探したいです。
75.1㎡の3LDK
71.6㎡の3LDK
このような間取りであれば文句なしですね。
ただし、何度も言いますが、今のマンションの間取りは、一部の居室がLDに面した田の字型なので、自分が欲しいエリアの、欲しいマンションにおいて、このような間取りを選ぶ事ができれば、それは奇跡に近いです。
であれば贅沢は言えず、子供部屋1つくらいLDに面している田の字型でも仕方ないと思うのですが・・・。
70.8㎡の3LDK
洋室(3)はLDと面しているものの、しっかり壁で仕切られ独立した部屋になっているため、プライバシー性はある程度守られます。
1番選びやすそうな間取りに見えますが、現在は、LD隣との仕切りが壁ではなく、可動式の間仕切りタイプが主流なので、意外かもしれませんが、新築ではほとんど見ることができなくなりました。
中古マンションから選ぶ
ある程度築年数が経っている中古マンションからであれば、比較的選びやすくなります。可動式間仕切りやウォールドアの設定は、近年において主流になってきた仕様です。私が13年前に初めてマンションを購入した時は、普通に全ての居室が独立した3LDK住戸を選ぶ事ができました。僕が初めて選んだマンションの間取りです。
73.5㎡の3LDK
親族が購入した築10年以上のマンションも、普通に独立した3LDKを選べたようです。 76㎡の広さがあり、LDから各居室が独立し、各居室が広々としています。
中古で選ぶメリットは、安く購入できること、またマンションが高騰する以前は、80㎡に近い大型の住戸設定が多かったため、ゆったり広めの住戸を選べることです。
タワマンの間取りから選ぶ
タワーマンションからだと、新築でも、70㎡規模の3LDK規模で、3部屋独立した居室の間取りを選びやすいです。70.0㎡の3LDK
70.5㎡の3LDK
ワイドスパン住戸が多く、空間を効率的に利用できるからでしょう。タワマンから得るメリットは、ワイドスパンの効果で専有面積の割に広めの部屋を選べることや、各居室が南向きに面していることなど、快適で効率的な住戸を選びやすいことです。
リフォームで対応・間取りタイプの選択
簡単に思いつくのが、リフォームでの対応です。間仕切りタイプの間取りを壁で仕切られたタイプにリフォームします。経験上、逆に、壁を取り払うリフォームで50万円以上の負担だったので、100~200万円前後はかかるでしょうか、結構するかもしれませんね。また、新築マンションであれば、無償・有償オプションとして部屋のタイプを選択できる場合もあります。
LD横の居室を主寝室にできる間取り
全ての居室が壁で仕切られていない間取りでも、子供達にはプライバシーを確保できる独立した部屋を与え、夫婦はLD横の間仕切りで仕切られた部屋に住むという選択肢もあります。その条件としては、LD横の部屋が6畳以上の大きめの部屋である事が一つ。
70.3㎡の3LDK収納が少なくても収納家具、ダブルベッドを置いて、なんとかなる広さ。
もう一つは、LD横の居室は狭くても良いのですが、巨大収納があること。
71.1㎡の3LDK収納が十分であれば、居室は狭くてもダブルベッドを置くだけで何とか生活できます。
以上、3つの居室が独立した間取り、もしくは、子供達の部屋だけでも独立型にするための間取りの選択肢を見てきました。
家族4人が住む十分な広さとは
では、実際に家族4人が住むために、どれくらいの広さを必要とするでしょうか。まず、LD空間の広さについては、4人掛けのダイニングテーブル、ソファ、テレビ台を置ける最低限の広さ約10畳としました。注意点は、デッドスペースや柱の浸食が無い整形の空間10畳であること。3つの居室は、夫婦のダブルベッドが置ける6畳以上の主寝室に、2つの子供部屋は収納がある5畳前後としました。以上の不文律にした理由については、前回のエントリーで詳細に示しています。家族3人で快適に住むためのマンション選びは『タワマン、2LDK、63㎡』!
実際に、この条件から選ぼうとすると難しいので、およそです。少しでも余裕があるに越した事はありませんが、贅沢はできません。4人で快適に住む上で大事なのは、全ての部屋が独立した居室の間取りを探すことです。
マンションならではの快適性で補完する
間取り以外のことで、触れておきたいポイントです。子供中心の生活をするにあたり、やはり一戸建ては快適だと思う一方、マンションの強みは共用施設があることです。上記の間取りに加えて、できれば共用施設が充実しているマンションから選ぶことをお勧めします。子供が幼少の時に遊べるキッズルーム
雨の日でも、階下に足音を気にせずに遊ばせられます。
成長しても遊べるような中庭
4歳くらいになったら、キッズルームでは遊ばなくなります。マンションの中庭があれば、部屋の中で手狭で遊べなくなっても、小学生、中学生くらいでまで、マンション内の友達や兄弟と中庭で工夫して遊ぶようになります。
中学校、高校になって、更に落ち着く空間を確保したい時。学校の定期試験や受験などで利用できるスタディルームも必要ですね。中学生や高校生がよく1人で利用しています。
収納が足りなくなれば、外部のレンタル倉庫を借りる手もあります。また、新築では、トランクルームのシェアサービスを提供してくれるマンションも出てきました(参考記事)。新築マンション『リビオシティ西葛西親水公園』
マンションでのシェアサービスは、今後ますます注目されるでしょう。
トランクルームの進化
— すまいよみ (@sumaiyomi) July 24, 2019
狭まる占有面積に商機
日鉄興和不動産は20年に竣工予定のマンションから「宅配型トランクルーム」を順次装備する。居住者はアプリ「シェアクラ」で本や衣類など預けたいものを専用段ボールに詰め、外部の宅配員が回収し倉庫で保存する。
今朝の日経記事 https://t.co/quzZungGUM
以上、戸建の快適性を補完する材料として、充実した共用施設やシェアサービスなどを視野に入れて、マンションを選んで欲しいと思います。
注意点・将来に向けて
広い住戸や、各居室が独立している住戸は、家族の変遷によって柔軟に空間を変えられず、確かに非効率で経済的ではありません。ですから、あまり大きすぎる住戸を選ばない方が良いかもしれません。
子供が家を出た将来、夫婦2人が住みやすいコンパクトなマンションへ買い替えるのであれば、流動性の高い(資産性を重視した)マンション選びをする必要があります。
将来、夫婦二人で住みやすいようにリフォームする選択肢もあります。先のことはわかりませんが、リフォームしやすい住戸仕様がある事は良く確認しておくべきです。例えば直床よりも二重床の方がリフォームへの柔軟度が高いです。野村不動産が手がける住戸仕様「ミライフル」は、配管スペースを住戸の外に出すことでリフォームの自由度を高めてくれる間取りです。
ただ、子供が2人なら、孫がたくさんできるかもしれません。子供が孫を連れて里帰りするときに、広い実家の方が、ゆったりさせてくれるので、頻繁に帰りたくなるのではと思うのは、私くらいでしょうか。
最後に、家族4人での幸せな生活を再考する
今回の記事を書くにあたり、現代の住まいは本当に恵まれていると考えていました。やまちゃんの記事での問題提起
『家族4人で65㎡に住めるのか』
お便り返し(31)4人暮らしで2LDK/65平米の生活は可能か
正直言うと僕も、住まいを贅沢にできなくても、「ビッグダディの大家族」のように、家族の幸せとは何なのか、裸の家族の在り方とは何であるかを突き詰めていく子育てに惹かれています。昔、僕が住んでいた地域にも、公団の小さい団地に、子供3人の家族5人で『ぐちゃぐちゃ』に住んでいたような友達がたくさんいました。つまり、これを言っては元も子もないですが、自分たちに手が届く住まいであれば、どんな間取りでも家族4人の最適な生活を描ける、とも一方で思うのです。
やまちゃんと同様、この話をしだすと長くなるので、やめておきます笑
以上になります。お便りをくださった「こんさん」、家族4人で住むためのマンション選びをしている方に、何か1つでも参考になれば幸いです。
新築入居時に、間仕切りタイプの間取りを壁で仕切られたタイプにリフォームしました。
間仕切りの撤去で壁紙やフローリングの補修が必要なので、リフォーム業者さんが同じ型番を手配してくれました。壁を作ってドアを設置については50万円くらいでした。(新規の壁付近にコンセント増設、照明やニッチでもう少しかかってます)
もしクロスやフローリングが在庫なしの場合は、リビングや新しい洋室のクロス全面張り替え(少なくともアクセントクロス的に見映えのする範囲で張り替え)でお値段がかさみます。
天井含めて壁紙張り替えで費用が嵩むときは、おもいきって予算を増やし、リビングにダウンライト・コンセント増設、エコカラットやアクセントクロスにするのも満足度は上がるかなと思います。
はるさめ様
皆さんの参考になるコメント、ありがとうございます。
私も勉強になりました。今後の参考にさせていただきます!