こんにちは、やまちゃんです。
コロナウィルス問題で、いわゆるテレワークを一時的に導入する大企業もちらほらあるようで、時代も変わったな~と感じます。オフィスワークなら、出勤が必要な理由って究極的には勤怠管理とコミュニケーションで、その2つがIT活用できちんと担保できるなら、オフィスを離れても仕事を続けられて影響を小さくできますね。それがいいのか悪いのかは置いといて。。
ちなみに、うちの会社は普段からほぼテレワークで、何かあればすぐにでも東京を逃げられる一方(先の震災のときは実際に逃げました)、勤怠管理とコミュニケーションに関して過去たくさん失敗しており日頃からすごくケアしてます。本当に難しいです。
さて、今回のご相談です。
差出人:七番
マンションマニアさんに質問です。
他の方でも構いません。
首都圏郊外の駅徒歩10分圏内のマンションを購入し、事情があって1~2年以内の住み替え・売却を検討しております。
当初は新居でも同様に、ペアローンを組んで住宅ローン控除を受ける予定でしたが、
税控除額が同程度なら売却益の特別控除を受けたほうがいいと考えました。
仲介業者からは分譲時価格108%以上は成約が厳しいと言われています。
都心とは違い、中古マンション価格はほとんど上がっていないのです。
特別控除を受けるなら、築3年の駅徒歩15分圏内の築浅マンションと同等となる、
分譲時価格より最低プラス1000万は欲しいところです。
購入物件の販売時期は2012年2月~3月で、近年では一番安かった時期です。
しかし、当初が安すぎると、20年、30年経たないと平均水準に戻せないでしょうか?
いまはマンション高値といわれますが、
不動産テックによる分譲時価格の可視化が進むと
安い時期に買っても特に得することはないのではないでしょうか。
最近、竣工前の郊外の新築物件のMRも見ましたが、購入物件との差額ほどのクオリティ、立地の差は感じられました。
市況の見方を含めてご返信いただけると幸いです。
ご質問ありがとうございます。
マンマニ先生あてのご質問で恐縮ですが、他が回答しても大丈夫とのことでしたので、僭越ながらご回答させていただきますね。
まずご質問を整理させていただきたいのですが、
- 現住居の買い替えで売却益の特別控除を受けたいが思うような価格(高値)では売れなさそう
- 不動産テックの可視化による影響で新築分譲価格が安すぎると中古価格も安値に引きずられるか
(1)買い替えで売却益の特別控除を受けたい
まず大前提として、こういった話は税理士の方にご相談されてください。以下は話半分でお願いします。目的は、不動産売買にかかる減税制度を上手に利用して最大限に節税することですね。
「税控除額が同程度なら売却益の特別控除を受けたほうがいい」とのことで、現住居が高く売れて手元に売却益がたくさん残るようなら、一度に節税メリットを享受できる売却益の特別控除(3000万円特別控除)を利用した方がベターということだと受け取っています。
それで結論から先に申しますと、住宅ローン控除を使ったほうが得ではないかと思いいました。
仮の条件として、「現住居(首都圏郊外)は4000万円で購入した」とします。
「仲介業者からは分譲時価格108%以上は成約が厳しい」「分譲時価格より最低プラス1000万は欲しい」については、
「出来たら5000万円で売りたいけど、実際は4320万円以上の成約が厳しい」
と読み替えて進めます。
4000万で買ったものが都内の物件みたいに25%上がったとなれば1000万円プラスですから、4000万円の買値は遠からずの価格と考えての設定です。
▼以下すべての数字を簡単のため丸めてます
課税長期譲渡所得(居住5年超)税額
={(a)譲渡価額-{(b)取得費}-(c)譲渡費用-(d)特別控除}×(e)税率
={(a)譲渡価額-{(b1)購入価格+(b2)購入時諸費用-(b3)建物減価償却}-(c)譲渡費用-(d)3000万円}×(e)20%
(参考)国税庁HP
(a)4,320万円
(b1)4,000万円
(b2)240万円(※4,000万円の6%と仮定)
(b3)260万円(※建物部分を購入価格の60%とし減価償却を概算。入居時期が書いてませんでしたが8年居住としました)
(c)173万円(※4,320万円の4%と仮定)
- 本来の税額 = 約33万円
- 3,000万円特別控除を使った税額 = 無税
次に、住宅ローン控除額について考えます。新しい方のマンションを5000万円で買うとすると、ぜんぶ端折って超テキトー計算ですが総額で”3百ウン十万円”になり、桁が1つ違う結果になります。
また「税控除額が同程度なら売却益の特別控除を受けたほうがいい」とのことでしたが、もし超絶運良く1000万円高く売れたとしても、譲渡所得の税額は約160万円強となり、結果、住宅ローン控除を使った方がトータル有利であるという結論に変わりないかなと思いました。
なお、ご夫婦とも年収が十分高く、売買代金にかかる借入額が多く、また新居もローン控除期間ぜんぶ住む前提だったりで、条件によっては答がぜんぜん違います。数字の規模感だけ見てもらって、細かい差異は無視してください。
そして、ここからファイナルアンサーで、先に売却してもろもろ確定させてから、「3000万円特別控除」or「住宅ローン控除」どちらを選択した方がお得か、税理士さんに相談されてみてください。税務署に聞いても教えてくれるはずです。
確定申告をするのは売った後の話ですから、事後に選べばいいです。もし新しく購入した方の入居が年またぎになったとしても、住宅ローン控除の方は比較的簡単に数字が出てきますので、事前に概算はわかると思います。
(2)不動産テックの可視化による影響
いまはマンション高値といわれますが、
不動産テックによる分譲時価格の可視化が進むと
安い時期に買っても特に得することはないのではないでしょうか。
安い時期に買えたら、普通に得ですよ。だから、七番さまも得されていることと思います。
単純に比較対象の話で、「2012年2月~3月」のタイミングで販売されていた東京都心物件がめちゃくちゃ上がっているのに、それと比べてご自宅マンションはそれほど上がっていない、ということですよね。
価格面にだけフォーカスして相対劣位にあることから、損をしたと感じらているのかも知れませんね。いやまぁ、元が何千万の話ですから、10%なり20%の違いが大きな差になって、そのお気持ちもよく分かるのですが。。
「不動産テックの浸透」で、買い手が新築分譲時の価格を知ったとして、売主に「いや~、高すぎるよ。あんた何年か住んでんだから、分譲価格より安く売りなよ!!」と言ったところでグーパンチもらうだけで、流通市場に出てくれば、時価の適正な範囲内の値しか付かないわけです(適正と言っても、実際は大きくブレますが)。
七番さまも、買い手の人に「8年住んだ分下げて当然でしょ!」とか言われたら、フライングクロスチョップしたくなりますよね。
もし相場よりめちゃくちゃ安い値段で出してしまう売主がいたら、それはファーストコンタクトを取った業者さんなりに取られてしまって、そもそも流通市場に出てきません。不動産テックもくそもありません。
一方で、売り手が高く売る機会は、(特徴が埋もれた物件ほど)減っていくのかもしれませんね。不動産の情報流通が今よりもっと効率化して(ほんとはREINSの情報が表に出ないといけないんですわ)、買い手側が、価格を発見する機会を多く得られるようになったら、割高が割高であると容易にバレます。
「分譲時価格108%以上は成約が厳しい」というのは、分譲価格が安かったことを引きずっているのではなく、大きくはエリアや物件の特徴の問題ではないでしょうか。都心物件も、2012年に販売されていた価格を見たらめっちゃ安いはずで、それが今高いなら、安い分譲価格を引きずってないことになります。
うちの近所もありますよ。「あ~、あそこのタワマン住人、みんな潤ってるわ~」って。なんかキラキラ見えます(笑)
それでですね、良く考えてみて下さい。頂いた文脈だと恐らく、8%乗せでギリだとしてもまぁ、買値トントンでは売れますよね。
8年住んでトントンで売却できる、上手くいったら8%乗せで売れるって、めっちゃ得してません???
比較対象を何にするかという問題ですが、その昔、ITバブルの後/米住宅バブル前で日本の景気が悪いころ、日本の不動産バブル前後(1990年前後)にマンション買ったお客さんが買い替えしたいって新築のモデルルームに来場してきました、と。
新築7000万円で買った物件が査定3000万円、残債5000万円なんて人、バンバンいましたよ、バンバン。半値以下とかざらです。がっつり、足が出るんです。もうね、今のところに住むしか選択肢がないんです。
すごく言い方が悪いんですけどね、顧客アンケートを見て「買い替え」に丸が付いていた時点で90%アウトなんです。お客さんには、いかにオブラートに包んだ言い方で「あなたはもう買えません」ということを伝えて、いかに短い案内で納得いただき帰っていただけるよう振る舞うか大変でした。バンバンいましたよ、バンバン。
こんな話を持ち出しても仕方がないんですけどね、七番さまは、すごくいい買い物されてますよ。買い替えできますから(笑)
住み替えが1~2年以内ということで、ご自身やご家族に何かしらのイベントがあるのでしょうかね。8%乗ったら十分じゃないですか。気に入った物件があったら、前向きにご検討されてみて、控除額もどちらか得か併せて確認されてみて下さい^^
当方からのご回答は、過去にスムログに頂いた古めの質問をピックアップさせて頂いております。特定のケースについてご質問の際、その内容を一般化して多くの方に関係する内容とさせていただく場合があります。また本記事は、当方の個人的な見解・意見であり、その内容に関していかなる責を負うものではありませんので予めご了承下さい。