◆◆マンションセミナー「延期」のお知らせ◆
3月1日に予定しておりました「マンションセミナー」は新型コロナウイルス予防のため、急遽延期させていただくこととなりました。ご参加のお申込み下さった方には改めてご連絡をさせていただきます。三井健太
このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。
このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論」を展開しております。
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バブル期(1990年頃)のことですが、異常高騰を見せたマンション価格。23区内のマンションは「2019年の価格より高かった」と言ったら、「信じられない」とおっしゃる方が多いことでしょう。 しかし、それは事実なのです。当時、「買えば儲かる」と思った人があった一方、「早く買ってしまわないと永久にマイホームは持てない」と焦る気持ちに囚われた人が大勢いました。
多額の住宅ローンを背負いながらマイホーム購入に走り、しかも通勤時間2時間などと、信じがたい遠距離通勤の犠牲まで払ったお父さんたちが大量に誕生した時代でした。
筆者の周りにも、同じような買い物をして苦しんだ人達が大勢いましたが、苦しんだのは通勤時間だけではありません。そのころ、住宅ローンを限度いっぱいまで借りた購入者がたくさん見られましたが、その後の所得減で返済に窮したからです。
令和の高値マンション
令和の今日、マンション価格は異常高騰しています。この状況を「ミニバブル」と表現する人もあるようですが、バブルは泡の意味で、実力や実態とはかけ離れた価格で売買が行われてしまう市場を意味します。ゆえに、膨らみ過ぎた風船は「やがて割れてしまう」のだという懸念が同時進行で大きくなってしまうのです。現在の状況は、バブル期とは明らかに違います。 2011年の東日本大震災以降、マンション価格は確かに上がって来ました。次のグラフは中古マンションのデータですが、バブル期と比べると明らかに異なります。
★中古マンションの価格推移(東日本不動産流通機構)★
東日本大震災の2年後、2013年ころから値上りが始まり。毎年ほぼ一定の率で上昇してきたことが分かります。グラフには出ていませんが、2019年も上昇カーブは続いたようです。
バブル期は「上がるから買う。買うから上がる」という値上がりのスパイラルが巻き起こって、異常な値上がりカーブになったのですが、そのころ市場で暗躍したのは中小・零細な不動産業者でした。資金面を支えたのは、銀行と住宅ローン専門会社でした。
今の状況は、当時とは明らかに違います―――マンション転がし・土地転がしに加担する金融機関は、ほぼ存在しないと言って良いのでしょうし、低利の現在、有力な貸出先は「不動産関連」という共通認識はあっても、投機目的には当局の目が光っていることもあって停滞しているからです。
金利競争はあっても誰かれなく貸し出すという時代ではないのです。そのおかげで、不動産価格の高騰には一定のブレーキがかかっています。また、買い手側も、高過ぎるマンションには手を出さないだけでなく、立地条件を妥協してでも買いに走るという市場心理には陥っていないのです―――この点がバブル期とは明らかに違います。
共働き世帯の増加によって、購入エリアが限定されている点も、当時とは違います。 夫だけが長距離通勤に堪えればいいという時代ではなく、妻の事情を同等に考えなければならないからです。妻がパートタイマ―やアルバイト社員などではなく、夫の稼ぎに負けず劣らずの妻も少なくない今日、子育て環境からも妻の意見は絶対と言って過言ではないのです。
妻が専業主婦だった時代とは明らかにマンションニーズが異なります。多少狭くても、通勤の便が優先される時代になったのでしょう。そのせいもあって、都心・準都心のマンション価格ですが、高くなったこの数年の市場を見ると、買い手はサラリーマン家庭が中心です。
とはいえ、高くなり過ぎて都心・準都心マンションに手が出ない家庭も徐々に増えています。
高くて手が出ない。しからば中古も探そうと動いてみたが、中古もびっくりするほど高く、新築と変わらない。その中古すらも買えるものがない。どうしたらいいのか。まあ、仕方ない、様子を見よう。そして、情報集めだけは続けよう―――こんな状態を長く続けている人も多いようです。
長くとは、いつ頃からでしょうか? それぞれの家庭によって異なるのは当然なのですが、筆者のご相談者の話を総合すると、平均2年、長い人では3年を超えた人もあります。
築10年を超えた物件も選択肢に入れましょう
新築志向の強い日本人の精神からか、新築がなければ中古でもいいと言うものの、できたら築浅(ちくあさ)物件が望ましいと語る人が多いようです。そういうニーズが多いせいか、築浅の中古は人気があって売り手も強気です。それ以上に、買い手が多いので「言い値で決まる」傾向も強いのが現状の市場です。短い時間の中で、買うか買わないか結論をくれと言われてしまうことも多いのです。
ゆえに、築浅の中古はすぐに売れてなくなります。人気エリアの人気物件になると中々買えないという実態もあるようです。
そこで、筆者の提案は「築10年以上20年未満を狙え」です。
古くなればなるほど人気薄なので、逆に築浅物件を捨てる人もあります。その方が検討時間にゆとりができるし、価格交渉も実効を得る確率が高いからです。
「築20年のマンション、それって大丈夫ですか」などと尋ねられますが、「かつて筆者が住んでいたマンションはもう築30年を超えていますが、何も問題はないように聞いています。また、一時保有していた渋谷のタワーマンションも築17年ですが、近隣の新築マンションを超える高値で今年も取引が成立しています。
考えてみると、マンションの寿命は長いものなら100年と言われます。短くとも80年もあります。築20年の段階では、少なくとも余命60年です。維持管理体制を信頼できるマンションなら、長く住んでいけるのです。
ここまでの話をまとめると、「新築を望むな。優良中古を探せ」です。
どんな態度で臨めばいいの?
この数年の間、金利が低下したことによって、「こんなに借りられるのか?」と驚いている買い手さんに何人もお会いしました。言い換えましょう。金利の低下によって信じられないほど多額のローンを引き出すことができるので、希望に近い条件の物件を買えたと喜んでいる家庭も増えています。金利の低下が高額な都心マンションでも手が届く買い手を増やしてます。とはいえ、当然限度はあるわけで、どの家庭も同じではありません。世帯年収、つまり合算所得が2000万円もの高額所得のサラリーマン家庭もあれば、1000万円未満の家庭もたくさんあるのです。
しかしながら、新築マンションの統計を見ると、売れ行きは、この3年をみる限り低迷しています。金利の低下が価格高騰を相殺してくれるレベルではなくなったようです。
正確なデータは公表されていませんが、新築マンションに限れば、建物竣工時点で30%も40%も売れ残っている物件が、そこかしこに見られます。在庫を多数抱えているために、新規の発売も止めている物件が多いという実態も見られます。
業者の説明によれば、「予算内で施工を請け負ってくれるゼネコンが見つからない」のですが、筆者の見方は、在庫処分を優先しているためです。商品はあるのだから、焦って新規の着工に踏み切る必要もないのかもしれません。
「売れないマンションは、必ず値を下げてくれる。それまで待てばいい」――筆者はそう思っています。 ただし、値を下げると言っても新築マンションの利幅は元々大きくないので、5%程度、最高でも10%です。それでも、定価で買うよりはマシです。
つまり、新発売(第1期募集)の際に慌てて購入するのはやめた方がいいのです。新築マンションは入居時期が決まっているのですから、今買っても、竣工の直前で買っても入居時期は同じです。慌てることはないのです。
候補マンションの候補住戸が最上階の角部屋とかルーフテラス付きの1戸しかないといった、特別な住戸なら別ですが、複数住戸を候補に挙げられる物件なら、初期に慌てて申し込むことはありません。
様子を見ていれば、きっと別の選択肢も浮かんで来るはずです。「自分にはこれしかない」などという選択肢などはないものです。仮に惚れ込む物件が目の前に現れたときは「痘痕も笑窪」だと思いましょう。「これを逃したら、次はない」などということはないのです。
中古は選択肢が多い
新築マンションはますます選択肢が狭くなって行くでしょう。その根拠はこうです。①用地不足が今後も続く・・・・・マンション用地はある程度の広さ・交通の便・環境の良さといった条件が整っていないと事業の対象になりません。売地があっても条件が合わない土地には手を出さないのが普通です。しかしながら、都心へのアクセスが良く、最寄り駅から遠くても徒歩10分以内といった条件を満足する用地は極めて少ないのが実情です。マンション業者は慢性的な用地不足に困窮しているのです。用地を買えない業者は、不本意ながら都心から離れた土地や駅から遠い土地、小規模な土地、環境的に問題のある土地等々、不本意ながら事業継続のために不本意な用地仕入れを決断します。
②建築費はまだ下がりそうにない・・・・・マンションの2大原価の他方が建築費です。その建築費は東京五輪後も下がりそうにないようです。受注したものの、着工に至っていない積み残し工事が大量にあるからです。無論、工事継続の大型案件(リニア新幹線や都心の大型差再開発ビルなど)もまだ多数あるようです。
―――用地費も建築費も下がる気配が全くないと言って過言でない状況を見ると、新築マンションの価格は大きく下がることはないと思わざるを得ません。
新築が高過ぎて手が出ないとなると、いきおい選択肢は中古ということになります。その中古も新築価格の高騰に連れて上がっています。マイホームを買いたい人はどこへ向かえばいいのでしょうか?
先ず、中古マンションの場合でお答えしましょう。
高くなり過ぎれば、売れなくなるのは明らかです。困った持ち主は値を下げるはずです。なぜなら、売れないと次の買い物の資金が足りなくなるからです。無論、中には「売れないなら、売るのはやめてしまおう」という売り手さんもないことはないのですが、多くは売りたい事情があるものです。時間の猶予は多少あっても売れないと困るはずです。
そこで、売ればければ値を下げようとします。
中古マンションは、購入時からの時間経過によって住宅ローンの残債が減っているので、売れないよりはマシと考え、多少なら値を下げてでも売買成立を望むのです。今、中古マンションの場合は下げ余地が大きいはずです。
まして、購入価格より高値で売れそうな物件となると、下げ余地も大きいので、いざとなれば下げの決断もしやすいはずです。
新築マンションの場合はどうでしょう?
新築は、下げたくても先行契約者の監視の目があって下げにくい上に、企業存続のための利幅を一定以上は獲得しなければならず、下げ余地は小さいのです。仮に大幅な値引きを決断するにしても企業判断には時間がかかるのが普通です。
それに対して個人所有の中古マンションは、夫婦だけの決断なので時間は長くかかりません。つまり、価格の硬直性が低いのです。これが中古マンションの特性です。
物件によって差はあるのですが、極端に高い人気の「有名マンション」でない限り、買い手が決まりにくくなれば値下がりするものです。エリアによっても、物件によっても異なるものの、必ず頭打ちになるときが来ます。筆者の観測では、そこまで来ている印象です。
ただし、あくまで「物件、地域によって異なる」ということをお断りしておきたいと思います。
狙うべき中古は築15年マンション
「アタラシもの好き」という日本人の性癖のためか、中古マンションへの信頼感が持ちにくい一面があるためかは別として、中古マンションを選ぶ場合、「築浅(ちくあさ)」を望む傾向が強いようです。このため、築浅中古ほど高値になり、仲介手数料を入れたら新築より高いなどという例も登場して来ます。築浅の中古にこだわる人ほど、高くても仕方ないと考えて買ってしまうようでもあります。
一度は「高過ぎる。こんなに高いならやっぱり新築がいい」と思ったが、肝心の新築が見つからず再び中古へ戻って来る人もあるのですが、移行期間が半年もあった人は、半年ぶりに中古市場に戻ってみたら1割、いや2割も上ってしまったようだと驚いています。
「これは大変、今度は素早く決断しなければ」と、ようやく腹を決めて取り掛かるのです。
・・・・・・そこで、筆者の助言は「狙うのは築15年」となりました。新しいものほど競争率が高く、価格は「強含み」ですが、古い物件になると競争力は低く、価格は下方修正される傾向が強いからです。
ただし、古過ぎる物件は問題を抱えている例もあるので、一応の線を引くなら築20年までとしておきたいと思います。 競争率の高い「築浅」物件と違い、古い物件には検討時間も余裕があると見て良いでしょう。「狙うのは築15年」と覚えておきましょう。
中古選びで注意すべき点は管理状態ですが、マンション選びで先ず重要なのは「立地条件」です。これは新築も中古も変わりありません。 管理に関しては、今日のところはは割愛させていただきます。
瑕疵に対する不安が解消しにくい中古マンションだが・・・
新築なら瑕疵担保責任が法律で義務付けられたので、万一の場合も安心できる制度があります。(但し、住宅の基礎構造、雨漏りなどの重要部分に限られます。2000年以降のマンションのみ)他方、中古マンションは、現状有姿で引き渡すのが取引の基本。つまり、免責特約付きの契約なのです。 中古は自分が頼りというわけです。
これらに対して有効な解決策は、「信頼できる不動産仲介会社の営業担当」を早く見つけることです。物件情報の収集からその値引き交渉、契約に必要な書類の有無と段取りの立て方などは経験豊富な担当者なら、こちらが都度確認しなくても、先まわりして動いていてくれます。これは中古住宅の売買にあって情報のスピードが重要なことを、その担当者がよく知っているからです。
建物の検査を専門家に依頼する手もあります。建物検査(インスペクション)は、1件3~5万円かかるのが難点ですが、心配性な人は利用するといいでしょう。
良い物件にはすぐに買い手が集まる。これが中古住宅市場の特徴です。 物件に対する情報収集力と購入を決める際の決断力・行動力・交渉力などが非常に重要になります。良い物件に出会うため、また出会ったときに一気にスピードアップできるような事前の環境づくりが大切なのです。
物件を見つけてから信頼できるアドバイザーを探していたのでは、ライバルに負けてしまいます。住宅購入は“信頼できる担当者選びで8割決まる”などと言われるのもこうした理由からです。
できる限りの準備をして、最良の物件との出会いに備えることが、自身の「買い時」を逃さないために一番大切なことかもしかもしれません。
(信頼できる仲介業者も大事ですが、もっと大事なのは担当者です)
話を戻しましょう。三井不動産や三菱地所のような超大手で長い歴史と経験を持っているマンションメーカーでも出来上がったマンションに欠陥が発見され、取りこわして建て替えた例があります。 スーパーゼネコンの施工マンションでも欠陥や施工ミスなどに気付き、工事を1年も止め、部分的な施工のやり直しをした例もあります。
工事中の露見ならまだしも、築後何年も経てから欠陥が露見するなどという前代未聞の事例も稀に起こります。そうしたマンションに遭遇したときでも、分譲主が大手企業なら購入者の利益は守られるものです。
中には、のらりくらりと逃げ回った大手もないことはないですが、たとえ10億円かかろうとも大手企業は信用保持のために購入者の利益を守ってくれます。
その意味では、大手企業のマンションが良いということになってしまいますが、ここで一言、添えておきましょう。
「建物の欠陥は10年もしないうちに露見するものだ」という点です。従って、10年以上を経過した中古マンションには、重大な欠陥はないと見て良いのです。
築10年を超えた方が選択肢は多くなる
新築志向の強い日本人の精神からか、新築がなければ中古でもいいと言うものの、できたら築浅(ちくあさ)物件が望ましいと語る人が多いようです。そういうニーズが多いせいか、築浅の中古は人気があって売り手も強気です。それ以上に、買い手が多いので「言い値で決まる」傾向も強いのが現状の市場です。短い時間の中で買うか買わないか結論をくれと言われてしまうことも多いのです。
ゆえに、築浅の中古はすぐに売れてなくなります。人気エリアの人気物件になると中々買えないという実態もあるようです。そこで、筆者の提案は繰り返しになりますが「築10年以上20年未満を狙え」です。
古くなればなるほど人気薄なので、逆に築浅は捨てる人もあります。その方が時間にゆとりができるし、価格交渉も実効を得る確率が高いぼで、筆者は賛同できます。
「築20年のマンション、それって大丈夫ですか」などと尋ねられますが、「かつて筆者が住んでいたマンションは、築20年を超えていますが、何も問題はないようです。また、一時住んだ前述のタワーマンションも築17年になりましたが、近隣の新築マンションを超える高値で今年も取引が成立しています・・・こんなふうな答えをしています。
考えて」みると、マンションの寿命は良いものなら100年です。短くとも80年もあります。築20年の段階では、少なくとも余命60年です。維持管理体制を孫頼できるなら、中古も長く住んでいけるのです。
新築が足りないのだから中古を選ぶほかない
最後に、筆者は「今の時期は新築を捨てて中古を狙え」と言いたいのです。新築価格が上昇したので、中古も連動して高値になっています。しかし、それでも中古の方が安いのです。「中古なのにこんな高いのは何故?」という質問をいただきますが、それは単なる錯覚です。比べる新築より立地条件も建物価値も高いと世間(市場)は評価している何よりの証拠なのです。
最後に;値下がりを待つ戦略の是非
待っていたら下がりますか?そう尋ねられることが時々あります。筆者は即座に「ノー」と答えます。新築マンションは、当分安い値で出て来ることはありません。なぜなら、既に土地は高値で取得済みですし、建築費も当分下がる気配がないからです。
「2年ほど待ったら安いマンションが出て来ますか?」というお尋ねにも、答えはノーです。今、マンション用地が安く仕入れられているという情報はありませんし、建築費も当分の間は下がる可能性はないからです。
「買いたい時が買い時なのです」と語った人がありました。これは至言です。「高い買い物をしてしまうかもしれませんが、それでも家族ともども快適なマンションライフが送れたら、金銭には代えられない値打ちです。筆者の体験からも同様に断言できるのです。