コロナショック前夜、都内江東5区の築浅中古マンション相場 今後は!?

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 ※この記事は5,500文字、5分~10分前後で読めます。

すまいよみです。

先日、中古マンションへ買い替え損ねた話をしましたが( 5回目の契約!?後悔しない中古マンション選び)、あのまま3月初旬に自宅を売り出して高値で売り抜けたのか、それとも大変なことになっていたのか、売買だけでなく引っ越し後の生活まで考えると、この混乱時期に動かなくて良かったと思っています。

 

と言うわけで、コロナショック前夜における江東5区の中古マンション市況をまとめておくことにしました。江東区湾岸部は除きます。



指標については、以下を前提としています。

・検索サイト「SUUMO」にて検索し集計
・駅徒歩10分、築10年以内、60㎡以上の住戸を対象
・物件の所在地は、江東5区(墨田、江東、葛飾、足立、江戸川)
※江東区の湾岸エリア(りんかい線、有楽町線、ゆりかもめ)は除外



・「売出数」は、2019年10月1日時点での売り出し住戸と、2019年10月1日~2020年3月31日に売り出された住戸の合計数です。
・「成約数」は、すまいよみの集計データからレインズMarket Informationで確認できた住戸に限ります。



・複数の駅が徒歩10分以内のマンションについては、それぞれの駅でWカウントしているため、実際の売り出し数とは異なります。



・「売却月数」は、売約されるまでに要した平均の月数を意味します。
={期間中の平均売出価格÷期間中10-3月に売れた総金額}×月数(6)。
※期間中の平均売出価格とは、10/1時点の売出総金額+3/31時点の売出総金額÷2



例えば、「3.0」は、売出しから平均3ヶ月で成約されていると理解できます。サンプル数が少ないほど精度を欠くのと、個別物件を見ると平均から大きく逸している場合があります。
・1坪=3.305㎡、70㎡=21.18坪として価格を算定

 



 

江東5区各沿線のまとめ

まず、沿線ごとに、売出し数、成約率、回転期間、価格をまとめてみました。東京イーストエリアは、豊洲―有明の湾岸エリア、押上―曳舟のスカイツリータウンエリア、門前仲町―清澄白河の深川エリアに人気が集まっています。東武線沿線は、10年近くに渡るスカイツリー周辺のエリア整備が、ようやく実り始めました。

 

以上のエリアは、3月まで、相場よりも高値での成約が多く見られ、今年も価格上昇は天井知らずかと思わせた所で、4月のコロナショックを迎えましたが、一方の「京成線沿線」、「舎人ライナー」沿線など、葛飾、足立エリアの相場は、引き続き低位安定でした。以下、各沿線を見ていきます。

 

京葉線沿線のマンション相場

越中島は、新築時より上乗せして売り出されている「プラウドシティ越中島」の数戸が成約に至りませんでした。330万円前後の売出しは、期間中に新築分譲していた「プラウドシティ東雲キャナルマークス」とほぼ同単価であり、また、豊洲の中古物件も視野に入ってくるため、越中島の利便性と湾岸エリアの相場を比較したときに、この価格帯での売出しでは中々難しかったのではないでしょうか。周辺エリア、門前仲町、月島、豊洲の築浅と比較しながらの値付けが重要だと考えますので、買い手としては高めの価格で飛びつく必然性は見当たらず、良い部屋を納得できる価格で探しましょう。

 

潮見は、手に届きやすい相場で売り出されても安定して成約されていましたが、成約までの日数を要している事から、直近でも価格上昇への圧力は無さそうでした。一方、駅前にはホテルの開業が進む中、準湾岸エリアとしては相対的に人気も相場も底に近く、今後に期待がかかるエリアだっただけに、コロナショック後もグロスで大きく下がる可能性は低そうです。

 

東西線沿線のマンション相場

東西線の相場は、東陽町と南砂町を境に大きく二分されます。

 

門前仲町は、イーストエリア屈指の人気エリアでありながら対象物件が希少で、売り出されれば早期高値で成約されていました。

 

少し重かった木場、東陽町についても、界隈の新築分譲が無くなってからは活発な動きを示しており、直近では、チャレンジ価格での成約も多く見受けられました。

 

南砂町より東に入ると、相場通りの売出しでも動きが重く、特に西葛西は物件数が非常に多いため、物件の細かな特性、状態まで見られてしまう、売り手にとっては厳しい市場と言えるでしょう。

 

南砂町の動向が低調な理由は、駅徒歩6分までに築15年前後の大規模マンション3棟の存在があるからだと考えています。3棟で1,300戸超の住戸も、202048日現在の売出しは2戸しか無く供給が少ない事が窺えます。ファミリー層に実需として人気の南砂町は、徒歩13分の新築「キラリスナ」の売れ行きが良かったことから、今後も、駅遠なら大規模新築か、駅近の築15年前後の大規模3棟に人気が分かれそうです。

 

都営新宿線沿線のマンション相場

都営新宿線沿線においても、都心部に近いエリアに積極的な成約が見られました。

 

昨年の中頃まで鈍かった森下が、同じく中央区隣接の清澄白河や門前仲町と比較して相場が明らかに下がってきたせいか、長い間売り出されていた住戸がほとんど成約されました。

 

一方、江戸川区に入ると、相場が上昇する動きは見られず、一部の人気物件を除いて、何度も価格を下げる場面が見られました。

 

一之江から篠崎にかけては、駅から少し歩くと無電柱化が進む低層の明るい街並みが多く、戸建需要が高いエリアになります。一方、瑞江については、築浅の中古は希少で比較的足が速く、現在分譲されている新築の評判からも、マンションの潜在的な需要が高そうです。「バウス瑞江」の分譲と、駅前の野村不動産が手がける再開発によって、今後も市場の活性化が期待できるエリアです。



 

JR総武線沿線のマンション相場

錦糸町は引き続き人気があり、売り出されれば早期、高値で成約されていましたが、回転が若干弱いのは、小規模などの数戸が、長期間残っているためです。売る側としては、特定人気マンションの高値成約事例に頼り過ぎず、個別の特性を踏まえて売り出す必要があります。

 

駅前再開発を控える平井は、都心近接で高い交通利便性を誇りながらも、今までは相対的に人気が低かったことに加え、お隣、亀戸の新築が住人の層をも変えてしまいそうな高値で売り出されていることから、この数ヶ月では相場を少し上げる成約が数件見られました。これからは、野村不動産主導による北口の再開発が街の盛り上がりに寄与していくことになります。

 

小岩は、売出し相場を引き上げていた駅前のタワーマンションの成約が確認できず、これから盛り上がる駅前の大規模再開発、『面白い街』として高まってきた評価をよそに相場は軟調でした。仕込むなら今でしょうね。

 

半蔵門線沿線のマンション相場

イーストエリア屈指の人気路線です。清澄白河~押上にかけては、売り出されれば、まんべんなく早期で成約されています。物件数が多い清澄白河ですが、SUUMOで掲載終了になった物件は、すべて成約が確認できました。築浅ばかりでなく、まもなく築15年になるタワーマンションも高値を維持しており、門前仲町と並んで人気の高さを誇ります。

 

都心近接で交通の便も良く沿線の中では相場が低い住吉は、400戸を越える大規模新築分譲が完売したことから、今後、中古市場は強気でいけそうな情勢でした。実際に、築10年に近い小規模物件が、坪単価280万前後で立て続けに成約され、新築当時からのリセールが120%を越えていました。

 

築浅物件が希少の押上は、錦糸町、浅草界隈のエリア整備と伴ってエリアの人気が上昇し、この数年で他エリアよりも更に相場を上げてきました。

 

沿線は、築浅の状態が良い中古の供給が少ないので、売り出されれば即買い、逆に売出しは若干のチャレンジ価格でも良いのではと考えます。すなわち、コロナショック以降も、影響が少ないエリアであると予想しています。

 

都営浅草線沿線のマンション相場

墨田区の外れは、台東区の浅草駅や蔵前まで徒歩10分圏内のマンションも存在します。浅草押上にかけては、一帯の再開発や街の整備により、錦糸町を含めた大きな面での居住者集客力として、湾岸エリア、深川エリアとともに、不動の人気エリアに成長しました。今後も、順調な相場動向が期待できます。

 

都営大江戸線沿線のマンション相場

清澄白河は「東京メトロ半蔵門線」と「都営大江戸線」、両国は「JR総武線」と「都営大江戸線」の駅がそれぞれあり、厳密には立地が異なるのですが、それそれ半蔵門線、JR総武線の売出し事例、相場を使用していますので、ご参考までに。

 

東武線沿線のマンション相場

東京スカイツリー駅の成約は、定期借地権のマンションだったため事例が偏っていますが、相場は押上と同等と見て良いでしょう。浅草から押上、曳舟にかけて大きく単価が上昇、東武沿線の人気の街として確立しました。

 

曳舟は、個別マンションにおいても、分譲時からのリセールバリューが大きな上昇率を記録しています。

 

北千住は、新築と中古の差がはっきりしていましたが、この半年間は回転が早いことから(売却月数3.9ヶ月)、中古がまだ安いと評価でき、今後の相場が高まる兆しと言えます。コロナ騒動の中でも、影響は他エリアと比較しても軽微に留まるのではないでしょうか。

 

西新井は、南砂町と同じく、築10年以上経つ、駅前再開発で建設された数棟の大規模マンションが市場を支えており、築浅の動きは低調でした。

 

曳舟~亀戸を走る東武の支線亀戸線沿線は、東京まで7km圏内と実際に都心部までの距離が近い割に相場は安く、「都心に近く、環境も良く、4LDKなどゆったり住みたい、若年の子育て世代に向いているエリア」と言えるでしょう。都心近接で、この相場観から根強い人気があり、今後も大きく相場を崩す可能性は少なそうです。



 

JR常磐線沿線のマンション相場

常磐線は比較的相場も低い中、人気が高いのは亀有で、駅徒歩5分圏内に築浅物件が豊富な事から動きが活発でした。

 

金町は、今までは駅近ナンバー1だった「ヴィナシスタワー金町レジデンス」が築10年を過ぎ、駅徒歩5分圏内の築浅が少なくなりましたが、再開発大規模物件を住友、野村が分譲中、今後は、三井、三菱による再開発も控えており、界隈は劇的に変化を遂げています。ファミリー層の更なる流入が予想できることから、今後、若いファミリーの集客を強化できるエリアとして期待しています。

 

相場が軟調だったのは綾瀬でした。常磐緩行線の始発駅として、交通利便性で亀有、金町に大きなアドバンテージを持っているのですが、街としての人気は千葉寄りの亀有に後塵を拝しています。最大手の駅近物件が売出されても、坪単価230万、グロス5,000万円を越えると成約まで至りませんでした。

 

常磐線ではありませんが、北綾瀬については、千代田線の始発電車が増発されたことで駅構内、駅前の整備が進み、居住者の生活、交通利便性が高まっています。一部で周辺の賃貸が上昇しているとの話も聞きましたが、高値での成約事例は見受けられず、各築浅物件は、新築分譲時よりリセールを落としています。

 

つくばエクスプレス沿線のマンション相場

つくばエクスプレスは、足立区内で「青井」「六反」の2駅をまたがります。沿線は、この都内の2駅よりも、千葉県の「流山おおたかの森」や「柏の葉キャンパス」が人気の街で、マンション市場が新築、中古ともに活発で人気が高く、相場も引けを取りません。

 

京成線沿線のマンション相場

北千住からもほど近い千住大橋が、京成線におけるマンション市場のメインになります。駅前再開発「ポンテグランデTOKYO」一帯に大規模マンションが多く、常に数戸が売りだされていますが、現在分譲中の新築との価格乖離幅は若干大きい印象です。先日、発表されたタワーマンション建築計画により、北千住界隈と面での活性化策が取れれば、中古マンション市場も盛り上がっていく期待感があります。

 

都内23区でも最安値に近い葛飾エリアは、今まで中小デベロッパー主導でマンションの動きが少ないのですが、京成立石など駅前の再開発が控えている街もあり、今後、エリアの活性化や、大手による沿線での新築分譲が待たれます。

 

北総線のマンション相場

新柴又、新高砂の2駅を抱えます。東京都心部まで出る場合、金町と比較して、交通費が倍近い負担になる北総線は、地理的にもJR常磐線の金町と、JR総武線の小岩に挟まれ、マンション市場は目立った動きがなく、売出しは大手の一棟のみに絞られていました。

 

日暮里・舎人ライナー沿線の相場

一部の中小デベロッパー分譲のマンションに売出しが偏っています。都内23区駅近では、最安値でしょうか。

 

総評・コロナショック後に向けて

コロナショック後も、ひとまず落ち込み幅が相対的に少なくて済みそうなエリアは、やはり需要が高い人気エリア、すなわち、門前仲町、清澄白河を中心とした「深川エリア」、錦糸町、押上、曳舟を中心とした「東京スカイツリータウン一帯」、そして新横綱の「北千住」です。

 

コロナショックがなければ相場は間違いなく上がるであろうと思っていたこれからの街、現在は穴場とも言えるエリアとしては、街の整備、再開発が進む「金町」「潮見」「平井」「小岩」を注目しています。



 

最後に

江東5区は、新築マンションの高騰が続く中において、江東区、墨田区の都心隣接エリアの一部は、コロナショック前夜まで売買の動きが活発でした。

 

江東5区の主な駅、主なマンションにおける新築時からのリセールバリューの比較、相場動向を「すまいよみ」メインブログでも書きましたので、こちらも参考にしてください(江東5区のマンション、コロナショック前夜のリセールバリュー 今後は?!

 

とにかく、早くコロナウィルスの感染拡大が収まり、マンションを検討できる情勢に戻ってくれることを祈っています。



 

スムログ出張所(マンションコミュニティ)

ABOUTこの記事をかいた人

ファミリーで永住できる居住性を第一に、資産としての側面も合わせて見るのが、すまいよみマンション選びのモットー。ただしマンション選びに失敗しても深刻になる必要はありません。今や住まいは一生物の買い物ではなく、僕も4度のマンション購入を経て満足の境地に達しました。
東京東5区(墨田、江東、足立、葛飾、江戸川)のマンションを日々探訪しています。
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