こんにちは!住井はなです。
第一子が小学校入学する前に転居しようとするご家庭にとって問題になってくるのが、保育園や幼稚園に入れるかどうか。
私は、保活や待機児童問題に関心が強いため、よく「(エリア名)って待機児童多いのかな?」と聞かれることがあります。
首都圏の各エリアの待機児童数の推移は大まかに記憶しているのですが、自治体が発表している待機児童数が必ずしも保育園への入りやすさとイコールではないので、正直、毎回返答に困ります。
自治体の発表している待機児童数よりは、いわゆる「隠れ待機児童数(保留児童数)」の方がまだ参考になるハズと思ったので、23区の隠れ待機児童数を調べてみました。
なお、ここで言う「隠れ待機児童数」とは、(保育園に入れなかったので)「育休期間を延長した」「認可外保育園を利用している」などの事情から待機児童にカウントされていない児童数のことです。
(どうせ入園できないと考えて申し込みをしていないご家庭もあると想定されますが、その数はカウントできないので含みません)
23区の待機児童数について
都内の待機児童数いついては、毎年7月に東京都福祉保健局から東京都の全体状況と共に、区市町村別の状況が発表されます。2020年7月29日 報道発表資料「都内の保育サービスの状況について:東京都福祉保健局
2020年は、認可保育園の無償化によって、子どもを保育所へ預けようとする人は増えると予想されていましたが、各市区町村の待機児童対策(保育施設の定員増など)の結果、待機児童数は減っています。
2,000人台まで減ったのは1990年以来30年ぶりとのこと。
…良いことですね。
23区の隠れ児童数について
ただし、前述の通り、発表されている「待機児童数」は一部しかカウントしておらず、実際には、その何倍もの「隠れ待機児童」がいると言われています。日本経済新聞社「保育園入りやすい街は?」 ※2019度版です
具体的には、「預かり保育の補助を受けている幼稚園を利用している」、「企業主導型保育事業を利用している」、「認証保育所などを利用している」、「育休を取得している」、「特定の保育園を希望している」、「保護者が求職活動を休止している」などの家庭の子どもは待機児童数にはカウントされていないことが多く、毎年発表される「待機児童数」の定義は自治体によっても異なり、いまだに不透明です。
個人的には、認可に入園できないのでやむを得ず「認可外保育園に預けている(利用料補助を受けている)」「幼稚園の預かり保育を利用している」を待機児童に含めないのはまだわかるのですが、「預けるために自宅から20分以上かかる保育園に空きがあるのに辞退した」「兄弟を同じ施設に通わせるために特定の施設を希望している」「入園できなかったのでやむを得ず、育休を延長した」といったケースを「待機児童」としてカウントしないのは理解できません。
※一つ一つの事情を確認することは困難で判断できないという問題はあると思います。
2020年の東京都の隠れ待機児童数の調査は日本共産党都議団によって調査されています(23区は渋谷区と大田区を除く)。※調査方法は各自治体へのヒヤリング
2020年6月11日 「待機児童数の調査結果について」 日本共産党東京都議会議員団
23区の隠れ待機児童数と就学前児童人口の割合
待機児童数と一口に言っても、子どもの数が多ければ、待機児童数が多くなるのは当然なので、待機児童数と隠れ待機児童数を足して、就学前児童人口と割って割合を出してみました(保育園入園を希望する割合がエリアによって異なることは考慮しない)。・待機児童数が0の自治体も、隠れ待機児童は一定数いる
・隠れ待機児童数がわからない大田区と渋谷区も過去のデーターを見る限り、隠れ待機児童は一定数いると予想される。
・子供の数に対して、待機児童が少ないのは新宿区、葛飾区、足立区、豊島区、練馬区など。
・子供の数に対して、待機児童数が圧倒的に多いのが港区ですが、港区の場合、教育・保育給付認定または施設等利用給付認定を受けている児童が、認証保育室に入園した場合、保育料の助成制度があります。金銭面では認可でも認証でも変わらないことになり、認可保育園が不足していても、認証に入れればよいと考える保護者も多いでしょうから、他自治体とは事情が異なります(助成制度は自治体によって異なるが、上限金額が決まっていることが多い)。「地方単独保育施策(認証保育所など)を利用している子ども」が1,543人と23区内でも一番多く、それを除いて計算した場合「3.1%」になります。
結局、待機児童数(隠れ待機児童含む)は目安でしかない
数字を見てみていろいろ気づきはあったのですが、結局、待機児童数は目安でしかないなと改めて思いました。
「転入したら保育園に入園できそうかどうか」はもっと様々な情報を加味して判断すべきです。
例えば、保育園を増やし、待機児童が減ったら「子育てファミリーに快適」との評判が広まり、未就学の子育てファミリーがたくさん転居してきて2年後に状況が劇的に悪化することも。
今の状況だけじゃなく、入居タイミングの状況を予想する必要があります。
また、同じ市区内でもエリアによって全く状況が異なる場合もあります。
例えば、中央区はたくさんマンションの開発が行われる湾岸エリア側の競争率が高くなりがちです。
同じ区だからと言って、自転車で20分以上かかるような保育園に預けるのはなかなか大変。
誰もがなるべく家の近くで通いやすいところに入園させたいでしょうから、チェックすべきは局所的な待機児童の状況です。
マンションに一番近い認可保育園の0歳枠が仮に10人だったとして、大規模マンションが1棟建てば、住人に0歳の子が8人くらいはいるかもしれません。
一気にその周辺の保活事情が悪化する可能性があります。
特に大規模マンションを検討する際には、市区の待機児童数だけでは判断できません。
逆に新設園がいくつかできれば、状況は好転します。
局所的なエリアの状況や新設園の情報は自体に聞けば教えてもらえることが多いので、問い合わせしてみてください。
(また、待機児童数を見ても保育の質などは全く判断できませんので、質も重要視するご家庭の場合、さらなる情報収集が必要になってくると思います。)
以上、目安でしかないけど、一応数字を見てみた!でした(苦笑)
<過去エントリー>
私も共働きで子育て中なのでいつも住井さんの記事を参考にしています。
私は市部在住なので23区とは事情が違う面もありますが、待機児童数だけではあまり意味ないのは全く同意見です。
確実性が高いと思うのは、手間はかかりますが、前年度などの資料から入所基準の点数を自分で計算し、自分の点数でターゲットに入れるかどうかを調べる方法です。そういったデータを公開している自治体もありますし、点数を把握していれば、自治体に問い合わせをする際に話が早いかと思います。
一番重要なのは認証・無認可に入所している場合、育休復帰、兄弟の優先あたりの加算点数で自治体もここらへんでボーダーラインを引いてくるので、この点を把握するかで大きく結果が変わるように思います。
ヤッシーさん
コメントありがとうございます!
市部でも東京以外でも保活は本当に大変ですね…。
自治体ごとに基準が違い、きちんと把握した上で引っ越し先を選ぶってハードル高いなぁといつも思っています…(泣)
認証・無認可に入所している場合、育休復帰、兄弟の優先あたりの加算点数・・・しっかりチェックすべきポイントですね!