私のスムログでの100本目の記事になります。ご指名の質問がスムログに届いていましたので、今年最後でキリ番のブログとしてお答えしておきます。
スムログメンバーへの質問やお便りは、スムログのトップページから。全員に届いていますが、質問は回答者を”指名”したほうがいいです。私は”買って住んだ後”の話題中心で、管理組合ネタは殆ど私(か湾岸ライフさん)が対応しています。
質問は
差出人: yama さんこんにちは。念願のマイホームを購入し、入居を今か今かと待ちわびているところです。
さて、購入したマンションの総会議事録が住民向けサイトで公開されていたので確認してみたところ、議案のタイトルは載っているのですが、議案の内容そのものは載っていませんでした。
素人考えでは、後から参照しようとしたときに議事の進行・結果だけではなく何を審議したのかという議案の詳細がわからなければ記録の意味がないように思うのですが、このような運用は一般的なのでしょうか。
(もちろん別途議案説明書が公開されていれば問題ないと思うのですが、ありませんでした。聞けば出てくるのかもしれませんが……)
ちょっと気になりましたので質問いたします。
”MUST”と “SHOULD” は区別しましょう
この手の理事会への注文案件に、どう返事をするかは難しいところです。殆どの理事会運営関連のネット上にある記事は
”〇〇しなければならない(法的・規約的にMUST)”と
”〇〇したほうがよい”(理事会運営上強く望まれるSHOULD)を
区別できていません。
※なにか理事会に注文をつけたら、ちゃんとその人にお返事が戻ってくるのは理事会にとって”SHOULD”ですが ”MUST”ではありません。もうその人へのお返事が大変で業務困難となったらお返事は1年近く先の総会報告でも”法的には”構わないわけです。
総会の議事録は、区分法の規定に従ってきちんと作成して、オリジナルに議長含む参加者3人の署名押印は必須など、細かい規定はありますが、それを保管して閲覧可能な状態としておけばOKで、全戸に配ることも、そのPDFファイルを住民向けのポータルサイトに載せることも共に、法令や”標準的”な既約の義務規定ではないので、ネットで議事録がダウンロードできるほうが、”理事会の追加サービス”にあたるわけです。
なので、議案書のほうもペアでみたいから、同じところに過去のものも含めてアップしてくれたら、特に後からオーナーになった住民にとって便利なのではないか?とかやんわりお願いを出してみるのが正解かなと思います。
なので以下の記載は、”SHOULD”・・・ハイレベルな運営を目指す理事会は実施が望ましい・・・と思うものです。 最後にうちの議事録例。これは完全に”私の好み”です。
全ての理事会に求めるのも酷かなと。最低限法令に準拠していれば問題はなく、議案書と、議事録がペアでないとわからないなら、議案書のWEB公開は止めてしまうという方向でも構わないわけです(ただサービス低下方向はおススメはしない)。
議事録に議案の内容そのものを繰り返す場合
通常議案書の側に、議決内容はかなり詳しく明確に書かれています。議決部分は短い場合もあるでしょうが、私のマンションでは時に議決部分そのものが100ページの長さになったことがあります。法人化と一緒に規約・細則全体を無数に同時に改定したなど。その議案書は全員に届いているわけですから、議案番号と、議案の名称がきちんとわかる形で、併せて見れば対応はわかりますから、議案を繰り返したり、議案の概要を要約したものを載せたりはしない場合が他のマンションの議事録をみても多い気がします。
完全に元の情報を保ったまま”要約”はできません。変に議決内容を書いてしまうと元の議案書通りに一言一句可決したのか、その”要約”の内容を可決したのか、食い違いがでた場合に不明確になるのが嫌だからで、私は自分のマンションの議事録には、議案名しか書いておらず、議場ではあった概要説明なども”割愛”で済ませています。これまた議案書の説明と、議場の説明が違うのは許されないからです。
(私のマンションの議案書でいうと決算と予算案は時に数十ページにおよびますが、その全体が議決内容で要約不能です)
一方で、署名押印のある議事録を”使う”という場合がいくつかあります。この場合には、それに必要な最小限の決定事項のみを議決内容として書きます。
典型的なものが理事会役員の選任です。 誰が、理事になり、監事になったかは総会の議決事項ですので、管理組合法人の代表理事の登記や、訴訟提起での訴状には、確かにある人が理事になった”証拠”を求められる場合があります。
うちの場合だと、それに、100-150ページにもなる総会議案書を添付するのは現実的ではありませんから、本当に最小限の決定事項(理事の部屋+名前の列挙程度)は議事録のほうに毎回記載しています。・・・なんらかの意味で、議事録正本を使ったことは、登記と訴訟提起しかこの12年でありません。過去12年議事録正本への閲覧請求は、理事会のものも含めて一回も受けたことがありません。
その他の件については、議事録は常に、総会議案書とペアで見てねとして、内容の繰り返しは避けるほうがよいと私は思っています。議事録の規定が細かいのは揉め事を避けるためなのに、議事録が原因でもめ事が起こるのは避けたいからです。
議事録に記載すること
一方で、多くのマンションでは、委任状や議決権行使書を併用していて、”議場にこない”区分所有者が多くなっています。議場に来ないとわからないことは、議事録側に書いてあることが強く望まれます。また議場や事前の質問で、回答したほうがよいものへの回答は、うちは議事録につけています。例えば、議案が規約・法令に違反していないか?といった質問には議事録内で答えておくことが望ましい一方で、”単なる反対意見の陳述”などは、議事録内に記載しません。
他に”総会に来ない人にはわからないこと”のリストはこんな感じでしょうか:
- 総会への参加議決権数と、その実出席・委任状・議決権行使の人数
- 議案ごとの採決結果・・賛成・反対の票数を正確に
- 事前募集された(うちは9日前で事前質問は締め切り)質問と議場質問への答え
- 議事録の署名人の議場での指定など
私は議論などは説明会などを積極開催して意見交換すればよいと考えているので、総会は議決の場所だと割り切っています。なので議決結果はかなり正確に数字を全て示す流儀です。挙手で賛成多数だからは絶対やらないで、全議案最後の1人まで反対の人の数も数えます。
総会の議事録に、”賛否”の票数は必須(MUST)ではないので、特に面積比例で議決権を数えるマンション(大手デベでも 75.28平米なら7528票とかやる例は多い)では、”賛成率”に関する結果の公開を省略している例が散見されます・・・昨日話題にしたマンションの議事録もそうでした・・・が、私はそれは「好ましくはない」と思っています。
全員賛成ー1%反対ー5%反対は「全部違う」と私は思うから。反対の多い議案にはきちんと理由があるわけで、自分の反対した票が無視されず正しく数えられていることを確認できることが理事会への信用につながります。
私のマンションの総会議事録(例)
あくまで例ですが、うちの今年4月の総会の議事録の冒頭部分です。うちの総会議事録なのであたり前ですが私好みに作成されています。
コロナでほぼ無人総会(議場の役員でない出席者は2名のみ)でしたので、質疑応答などは住民専用サイトから届いていたものを中心にやや詳しめに書いています。いつもはもっとはるかにあっさり。
細かいやりとりまで全部知りたい人は議場にくればいいだけですし、議事録とは別に、事前質問全てを書いて、それにすべて理事会が回答をつけているリストを議場での参加者全員に配って”そこでこれを全部読み上げたこと”にしているせいもあります。本当に読み上げたら不在の人への対応の読み上げに30分とかかかっちゃうので、それも生産的とはいえない。
住民向けのポータルサイトでは、”議案書””事前質問への回答””議事録”の3点セットで公開をしています。普段は、「質問と回答」は議事録には記載されていないわけです。(総会が無効では? 規約法令違反では? みたいなもののみ転記し理事会がコメントします)
4月の総会は議案書は152ページとかなりの長さがありますが、議事録は普段は、3-4ページ、今回コロナ特別対応で9ページです。普通は区分所有者(オーナー)の方は全て可決されたのねと知った上で、過去の議案書は12年間遡って並んでいるPDFをダウンロードして読むことができます。
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本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。
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