第261回 「勉強目的なら中古物件の内覧は3件までにすべき」

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

マンション購入を検討しようというとき、何から始めるのでしょうか?

SUUMOなどの中古物件情報サイトから、先ずは候補物件を探すのでしょうが、手始めに良さそうな物件を適当に選んで見学してみようと動くのでしょうか?

 

そして、不動産仲介業者に電話またはメールで見学の申し込みをし、待ち合わせ場所などを決めて動くという流れになるのでしょうか?見学してみたが期待外れだったと落胆したときは、業者に条件を伝えるなどして別のマンションを紹介して欲しい旨を伝えて帰途につくのでしょうか?

 

ともあれ、期待外れの理由は様々です。「徒歩10分とあったが、実際は13分かかった」や「バルコニー方向に隣のマンションが迫っていて日当たりが悪いと思った」、「1階のエントランスが狭くて侘しい感じだった」、「荷物が一杯で、広さの実感が湧かなかった」、「天井が低い部分が目立っていた」、「バルコニーが狭いと感じた」etc.

 

情報サイトを見るだけで、どんなマンションかを詳しく知るのは困難です。サイトが購入者の知りたいことをすべて教えてはくれないからです。WEBサイトは広告に過ぎません。広告とは買い手候補者を集める目的で作られているのです。

 

経験者なら、現地に出向かなくても8割方を把握できますが、映像では分からないこともあるのです。場所の確認作業も、「グーグルマップで高台にある、駅からのアプローチ道路は急傾斜のようだ、前面道路は狭いようだ、マンション外観は堂々として立派なうえ、対象住戸の位置は最上階の東南の角住戸だから、見晴らし・日照は良さそうだ」・・・このようなことは把握できても、開放廊下型の建物だからエレベーターを降りてから住戸玄関前までの廊下の手すりのデザインは縦格子か、コンクリート壁かなどは把握できないことも多いのです。

 

これからマンションを探そうかという人は、物件選択の自分基準を持つということが大切です。予算を大きく超えてしまうような物件を見ても意味はないと言えないまでも、単なる冷やかしに終わることでしょう。

また、新築マンションのモデルルーム見学ならいざ知らず、個人宅を買う気もないのに内見するというのは、気が咎めるはずです。そんなこと気にしなくていいと仲介業者の営業マンなどは言うでしょうし、所有者も見学者を待っているのだからと割り切れないこともありません。

 

とはいえ、「買うつもりはないが、見学させて」と思う気持ちを隠しつつ訪問するのは気が引けるのは事実です。そこで、見学回数を少なめにしつつ、買いたい物件に速やかに到達する方法・手順を提案したいと思います。

 

購入検討の手順

賃貸専用マンション(分譲マンションの賃貸でないタイプ)に住んでいる人の中には、親兄弟の住まいが分譲マンションでなかったりすれば「分譲マンションとはどんなもの?」を知らない人があるのは理解できますが、多くの関東圏住民は分譲マンションとはこんなものという漠然としたイメージを持っているはずです。

 

そうであれば、「勉強のため」という理由で見学に歩くというのは不必要な行動と言えなくもありません。言い換えれば、希望条件に合致しそうな物件をサイト上で見つけて見学に行くのは、購入を前提にする物件のみとすべきです。

 

候補地を定めにくい段階であれば、内覧はしないで、交通便・環境を確認に行くだけでいいはずです。折角、遠くまで行くのだから内覧もしておこうという物件に遭遇することはあるでしょうから、内覧は思い留まるべきだとは言いませんが、交通便や環境を気に入った、マンションの外観も立派で惚れたなどということなら、内覧は出直せばいいのです。

 

仲介業者に連絡をして「今から見学できますか?」と問い合わせする手もありますが、電話で打診はしても、別の日の見学予約に留め、周辺環境を確認する時間に回す方がよいでしょう。

 

住宅ローンの借り入れ限度額や無理のない借入方法などは、業者に頼らなくても、また銀行に出向かなくてもインターネットで概ね把握することができるのですから。

 

勉強はどんな方法がいい?

どんなマンションがいいのか、基礎知識の学習もしておくべきですが、どんな方法がいいのでしょうか?

書籍を購入して読みますか?

インターネット上の学習コーナー(講座)を覗いてみますか?

方法は様々であり、個人の好みで選択なさればいいと思います。これが一番などというものはないのです。

 

先ずは、基礎の基礎に当たるものから入って行くのがいいのかもしれませんし、中級の参考書を買って読むのもいいでしょう。筆者の著書「マンション大全」をお読みくださるのもひとつです。

 

ひととおり目を通したら、見学に出かけましょう。見学を1件した後で書籍を読み直したりするのもいいでしょう。勉強法にこれが一番などというものはないとので、我流で勉強すればいいのです。

問題は「現地見学」の仕方です。それについては、次で述べましょう。

 

学習目的の見学なら複数のタイプを

学習目的の見学は、闇雲に行うのではなく、次のような方針を決めて進める方が効率的であり、意味のあるものになるはずです。

 

大規模、中規模、小規模と3種類のマンションを見学してみましょう

300戸クラス、100戸クラス、50戸クラスと分けて、違いを実感しておくことが大事です。

超高層、高層、中低層の3タイプを見ておきましょう

規模と重なる部分もありますが、30階以上のタワーマンション、10階~14階建ての高層マンション、5階以下の中低層マンションなどと分けて見学しましょう。。

ブランド物件、ノンブランド物件と区別して選択しましょう

内覧はしなくてもいいですが、可能ならエントランスホールや共用部の見学はしておきたいですね。伝手(つて)がなければ、筆者にご相談ください。

 

中古物件の見学の案内人はいつも特定の人がよい

予算も概ね定め、候補物件を決めたら先ずは見学に行きましょう。不動産会社の連絡先は直ぐに分かります。サイトを覗くと、担当者の自己紹介が顔写真入りで出ています。

PRですから、都合の悪い情報はけっして書かれていませんが、注意すべきは経験の度合いです。WEBサイトには僅かな情報しか書いてありません。その情報だけでは分からないものです。

 

まして、人柄などは分かりようもありません。悪人はいませんが、営業という職種は「都合の悪いことには触れたがらない」、言い換えれば「ダンマリを決め込むもの」です。不都合な部分には触れてほしくないと願っている、それが営業マンなのです。

 

不都合な真実は、利害関係者以外に尋ねる・確認しなければ分からないと思った方がよいのです。筆者などは、便利な相手です。

 

気に入らない営業マンに当たってしまったら、次からは別の担当者に替えてもらうか、別の業者に換えるべきです。仲介物件は、基本的に「どの業者からでも見学は可能」なので、自分だけの仲介店、自分だけに担当者を決めるのがお勧めです。

 

とはいえ、見学者から担当者を指名することは事実上できないので、そんな方のために、筆者はよく知る仲介会社の担当をご紹介しています。筆者の紹介と言えば「手数料の割引」もしてもらえるはずです。

 

学習方法が適切だったら、候補は2物件で足りるはず

話を戻しましょう。見学マンションは事前の準備や系統だった学習をしておけば、数多くの見学(内見)は不要になるはずです。それこそ、机上で候補物件を2つに絞り込み、1日で購入物件を決めてしまうなどということも難しくはありません。

 

もっとも、絞り込んだ2物件、その絞り込み自体が問題かもしれません。第3の選択肢が最良かもしれないのです。

筆者が日常業務としている「マンション評価サービス」では、1件か2件に絞った調査依頼をお引き受けしているのですが、無料サービスではないので、大抵の方は意中の1件に絞って、「物件評価」を依頼してくださいますが、依頼を受けた筆者は、「どうして、この物件にほれ込んだのだろうか?」と、首をかしげることも少なくない日々です。

 

ご依頼メールには、「・・・が問題かもしれない」とか「・・・が心配」などと添えてあり、問題点を認識している依頼者も多いのですが、中には「そこが問題であることに気付いていない」人もあるのです。

 

無論、筆者は失礼を承知で欠点・弱点・問題点を指摘させていただくので、依頼者には失礼と思いつつも、ズバリ明記してレポートをお届けしています。

 

そのレポートの効果は依頼者にとってどれほどのモノなのでしょうか?長年、自問自答しつつ、依頼者から届く「着信メール・感想メール」の行間から筆者なりにサービスのご評価を推し量り、反省をしながら改良を加えて今日に至っています。まだまだと思いつつも、料金とサービスの質とのはざまに悩むことも多いのです。

 

ともあれ、読者の皆様には、1回のレポートですべてが分かり、依頼物件を選択しなかったとしても、次の候補物件の検討時にお役に立てていただければ、レポートをお届けした筆者にとっても幸いなことです。このように考えながら、これまでの通算で600件ものマンションを調査し、レポートをお届けして来ました。

 

今後も長く、この仕事を続けていきたいと願いつつ、レポートの質の向上に努めて行こうと、年明けの今、思いを新たにしています。

 

割高か適正価格か、その判断は?

マンション購入者は、予算を決めて候補物件を探しているはずですが、そのときに壁として立ちはだかるのが「価格の高さ」かもしれません。

とりわけ新築マンションに限定して探す人は、「なんて高いのだろう」と驚いている昨今のようです。中古マンションを検討している人も、新築ほどではないにしても、「古いのに・・・」と感じているようです。

 

検討マンションの価格が適正か割高かを判断することは簡単ではないかもしれません。過去の成約事例は個人情報の秘匿にかかる法令に抵触する危険があるためです。国土交通省の公開データも、「物件名」は特定されないようになっています。

こちらのサイトです➡https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet

 

従って、一般の購入者は「高いのか適正価格なのか」を知ることは難しいのです。周辺の物件との対比をしつつ、およその判断をすることはできるものの、売主さんが「値引き要求があるはずだから、あらかじめ10%程度ONして売り出そう」などの思惑を読み取る必要があります。

 

仲介業者に尋ねても、高いから買わないと言われたら成約できないので、基本的には「知らぬ顔の半兵衛」を決め込むものです。問われても「少し高いと思います。値引き交渉をしてみましょう」が精一杯なのです。

 

不動産業者の活用するREINS(レインズ)は、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムですが、簡単に言うと不動産仲介会社が物件情報を確認するシステムなので、一般の方は残念ながらアクセスできないものです。

 

筆者も一般人なので、本来はアクセスができませんので、友人の助けを借りて利用しています。

 

購入物件を検討中の人は、例えば見学後に「気に入ったが高いような気がする」と思ったら、当該マンションの最近の成約データ(価格)を教えてくださいと頼み込む以外にないのです。それができない人は、利害関係のない筆者などを利用する以外にないのです。

 

安全を望むなら・・・

どれを選ぶのが正しい(的確)なのか、判断に迷ったら、「二者択一」にするのが良いと心理学者などは言います。

複数の物件をみて、どれにしようかというとき、マンション選びのような選択基準の複雑で、優先順位の付け方が難しいものはとりわけ「二者択一」に持ち込むことが必須になるはずです。

 

しかし、10年程度で売却の可能性があるので、あまり安くなっては困るしなあと、リセールバリューに思いを馳せる人は、その見地からも検討を加える必要があります。2物件に絞り込むのも容易ではないかもしれません。

 

将来価値(リセールバリュー)を決定する要素は、①立地条件(利便性と環境。マクロ的な人気度)、②スケール(存在感)、③外観・玄関・空間デザイン、④建物プラン(共用施設、間取り、内装や設備など)、⑤ブランド、⑥管理体制です。

この中で一番比重が高いのは①の立地条件なのです。立地さえ良ければ建物は何でもいいという単純なものではないのですが、大きな要素であることは確かです。逆に、どんなに素晴らしい建物でも立地条件の弱点を補うことはできません。

また、稀少価値の高い土地かどうかの観点で検討することも大事です。そして、最も大事な要素は「価格」です。価値に見合わない高値で購入(高値掴み)すれば、将来価格は期待外れになるからです。

 

将来価格まで含めて検討を重ねると、ますます複雑怪奇で整理がつかなくなってきます。「あちら立てれば、こちらが立たぬ」と迷って決められなくなるのです。物件の良し悪しを決める要素だけでも複数あって、そのうえ、将来の売り値まで考えるとなると、普通の買い手、初めての購入者、予算に余裕のない買い手は「迷って、悩んで、決心がつかず、そのうちに売却済み」となりかねません。

 

性格にもよるでしょうし、夫婦間の問題もあるに違いありません。マンションを買うというのは簡単ではないのかもしれません。

 

しかし、その課題を乗り越えなければなりませんし、数年先に後悔しても「後の祭り」です。転ばぬ先の杖として、学習、情報整理、そして利害関係のない第三者の意見などを参考にしつつ候補物件選びをしたいものです。

 

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。次は10日後の予定です。

ご質問・ご相談は三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

 

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マンション業界の裏側を知りつくした、OBだからこその視点で切り込むマンション情報。買い手の疑問と不安を解決。マンション購入を後押しします。