特にご指名がない質問でしたが、『管理組合』が備蓄しておく水などの量の考え方ということでしたので、はるぶーから3/11の14:46に回答します。
質問は
差出人: 防災減災
メッセージ本文:
いつも楽しく記事を拝見しています。
このたび新築分譲マンションを購入しました。
防災備蓄の件で質問させてください。
災害に備えて水などを管理組合で蓄えることになると思うのですが、
当マンションは、1LDK~3LDK の住戸があります。
貯蔵量を考える際に、
①戸ごとに配布量を一律で決めて貯蔵量を決める(1LDKも3LDKも区別なく1戸3人分とする)
②1戸に居住する人数を申し出てもらい決める(〇〇号室は二人暮らしなので2人分、▲▲号室は1人暮らしなので1人分)
③部屋ごとに人数を仮定する(1LDKは2人分、2LDKは3人分)
いずれの考え方が一般的でしょうか?
①だと、たとえば4人ぐらしのお宅に3人分しか提供できず、1人暮らしのお宅に3人分が提供される、ということになる心配があります
②の場合(①もですが)、居住する人数に関わらず、部屋の広さに応じて管理費を払っているのに、住人の人数により提供される物量が変わるのは不公平感を与えるのではないか?という心配があります。
とすると、③かなと思うのですが、各部屋に何人が住んでいる、と仮定する目安は何を根拠にすればいいのか?(私が知っているだけでも、同じタイプの1LDKのお部屋に単身で住まれている方も、ご夫婦で住まれている方もいます)
他のマンションではどうされているのか、教えていただけると嬉しいです。
よろしくおねがいします。
水や非常食は基本は自助:組合は全戸で使うものを
マンションは地震が来た場合には、例え、停電・断水になっても”籠城して耐えろ”がもっとも新しい防災対応の考え方です。地区の、避難所は戸建ての人で一杯でちょっと入れてもらえそうもないですし、避難所は快適とはいいがたいものです。最小限の籠城用の備えがあれば、お湯をカセットコンロで沸かして耐えることもできますからね。私のマンションは500戸あるので、1500人ほどが暮らしています。『今風』な防災対応では水は一人1日3リットル(ペットボトル2本)必要で、1週間分用意しなさいとなっています。1人20リットル分を、”マンションの管理組合”が用意して備蓄しようと思うと、30000リットルになり、これ実に30トン。置場もないし床が抜けそうですね。
ある程度の備蓄(自治体が放出してくれる期限切れの近い非常食など)を自治会が受け取ってきてもっていることもありますが、とても全戸の1週間の水や非常食を組合側で用意することはできません。ご質問はそもそも考え方が正しくなくて”全戸が自分の家に必要な分を住戸内で備蓄”すればよいわけです。
・・・むしろ組合は水も食料ももってないから、自分の家に備蓄してくれ!!とくどいくらいに広報したほうが効果的です。『自助』と呼ばれて、マンションによらず防災はこれが9割くらいな感じ。
管理組合が水だ非常食だで買ってしまうと、防災に充てられるお金がなくなります。非常用の水もそんなに長持ちしないので、組合で備蓄するのだと定期的に捨てることになって効率が悪いわけです。
その同じお金で、全戸の役に立つけど、1戸1戸では揃えられないものを買ったほうが有利です。エネポ(カセットコンロ用のガスで発電できる非常用の発電機)が10万円で買えますから、それで900Wの発電ができて、それで携帯が充電できますとしたほうが皆で使えて便利ですよね。うちには何台かあって、工事現場にある巨大なLED投光器も2台あるので停電していても、灯りをつけることが可能です。
同じように、うちのマンションには地下に数百トンの水タンクがあります。停電すると揚水ポンプもとまりますが、消毒の効果の残っている2日程度は上水としても利用可能なようです。これを利用できる方法を考えるなど、マンションの管理組合は、”共助”につかう備品揃えに力を注いだほうが便利です。
ローリングストックは自助の基本
非常食や水を、全戸に1週間分もっていてくれと、組合で告知しまくります。ペットボトルの水を何十本か買いだめしておいて、古い順に使っていけばいいですし、
カップ麺など非常食も買いだめしておいて、思わず間食で食べちゃったら、これまた古い順に使って買い足していけばいいわけで、”賞味期限切れ”による廃棄の問題を起こさないので有利です。 これは”ローリングストック”と呼ばれていて、これまた最近の基本。
1週間停電して、水もこないマンションで籠城するために、以下を揃えます:
- 水と食料
別に震災対応のものでなくてもよくて1週間分くらいいつも買いだめしておけばよい - カセットコンロ用のガスボンベ
電気は復旧早いですが、特にガスは止まると復旧まで長くかかることが知られていますが、温かいものは食べたいですからね - 携帯用トイレ
薬剤に、排便・排尿して、つつんでそのまま捨てられる家庭用の携帯用トイレ(防災対応備品)を1週間分同じように備蓄します
10年前の3/11に何をしていた?
10年前のあの日、私は理事長2期目の終わりくらいで、実は3期目は役員をしないつもりでした。2年で終わると思ってた財政改革は半ばで、一番やりたかった積立金の均等割り移行は、議論すら始まっていなかったですけどね。震災の日20人の理事がいましたが、多くはマンションの外で帰宅困難に、夕方までに管理事務室に顔を一瞬でも出した理事は私を含めて3人だけでした。まぁみんな自分のことで目いっぱいですよね。
2つの高層棟を結んでいる、渡り廊下(EXP-J)が大きく壊れて、上のほうの階から下まで穴が開いていて60M下まで見えているとかで、せっせとバリケードを作ってくれとか指示だししていた。本当は理事会決議とかいることもあるけど俺が責任とるからで嵐の専決決済。
ここで理事会を抜けてしまったら、はるぶーは”平時にはいろいろやったけど有事には弱いんだな” とかいろいろ匿名掲示板とかで言われるんだろうなぁ・・・とか余計なことをぷらぷらしているEXP-Jを眺めながら思わず考えてしまったのが失敗。次の第3期にわざわざ立候補で残って、”修繕と財務の責任者”にあたる副理事長に。我ながら物好きすぎる。なんだかんだで元に戻るまで2年近くいろいろあっちこっち工事してたかな。不同沈下とか起こっていろいろ配管が建物の中にはいるとこで割れたり、震災前から進んでいた沈下を売り主と協議したり。実は2年アフターの対応日が全く同じ3/11だったような気がする。売主はそら全部地震のせいって言いますわなぁ・・・でその交渉だけで1年。震災の前からからあった不同沈下が悪化したのは売主9:組合1くらいで組合も一部負担したりでヘビーな交渉に。おかげで営繕コンサルなどプロに外注するって技も覚えた。
それがすべての失敗のはじまりで、12期の今にいたるまで10年理事会から足抜けできていません。独裁型の理事長で、後になって思えば、私は実は有事のほうが平時より得意ってのは後で認識した。
この時理事長だったので、おなじことが起こっても今の理事長が困らないような対応はいくつか:
- 災害対策本部規定
震災直後には理事会が不成立などころか、理事長も捕まらないかもしれない。この場合誰か役員が宣言すれば、その人をトップにした対策本部を立ち上げて、その人が平時の理事会全て(理事長ではなく理事会です)に相当する権限をもちます。
・・・実際にうちで理事会を招集して不成立だったのは、震災直後の一回だけです、我慢して本当になにも議決しませんでしたけどね - 災害等準備金
同じく”理事会を開くことなく”本部長(理事長がいれば理事長が勤める)が5000万円までの災害の日のための貯えを、自由に使うことができます。 - 災害時のマニュアルの整備
これは、何年も遅れました。もともと、”自治会”が防災を主管することになっていたからで待っていても作ってくれなかったので、防災の主管団体(自治体の指定する防災組織そのもの)を法人理事会の下に映していて、今は平時には防災・防犯委員会ってのが防災対応を検討しています。地震の日だけでなく、巨大台風の接近などの場合には、”災害が起こる前”から対応できる規約変更を4/25の総会に上程予定です。
マンションの防災対応も10年分進化したといえるのかなぁ。
!! 重要 !!
本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。
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