ペットを共用部(テラス)に出すことができるように規約を改正することの難易度は?というご質問です。 規約や細則の改正は管理組合の扱いで、理事会が審議して、総会で承認をとるものですので、私はるぶーから。
質問は
差出人: トイ・プードル さんから
いつも楽しく拝見させてもらっています。
今回、管理規約の改正について質問させていただきます。
■背景
家族構成は、30代夫婦共働き、子なし(いずれ欲しい)、小型犬1匹です。
来年竣工予定の郊外新築マンションを購入しました。
小型犬がよく走り回るのと、子供を授かったときのことを考えて、足音を気にしなくてよさそうな専用出口付きテラスがある1階を選びました。
散々悩みましたが、
「ペットとテラスで遊べますよ。管理規約次第ですが。」
「専用出口もあるので、テラスに自転車を置けると便利でしょうね。管理規約次第ですが。」
なんて営業さんからの言葉で夢も膨らみ、1階に申し込みました。
ただ、いざ契約前に管理規約を確認してみると、
・共有部(テラス含む)にペットを出すのはNG
・専用場所以外への自転車はNG
とのこと。
ペットがテラスに出せないのは予想外でしたが、間取りや周りの住環境も気に入っていたので、了承した上で契約しました。
しかし、今になって、
「テラスを全く活用できないなら2階以上でもよかったのでは?」
「専用使用料を支払う意味は…?」
なんて後悔をし始めています。
♯マイホームブルーというやつでしょうか。
■ご相談
入居後に管理規約を変更するのは、どれくらいハードルが高いでしょうか?
管理規約を変更しやすいタイミングやコツなどあれば、ご教示いただきたいです。
ペット不可マンションは今はほぼ皆無ですが
あんまり希望されているような線での回答にはなっていないと思います。どちらかといえば、書かれている条件(マンション名などが特定をうけないように少し削っている情報から)は、専有部の火災保険に加入されるときに少し保険料は高くなりますが、普通はマンションの上の方では外してしまう”水災”をカバーしておくのをお忘れなくというほうがずっと大事な気がしました。参考まで。日本には、ペットは犬と猫が各々1千万匹くらいいるので、人間6人に1匹くらいです。
下の図のように、20年くらい前まで殆どのマンションはペット不可でしたが、足洗い場を整備するとか、EVにペットボタンを整備するとかで、急激に”きちんとルールを作った上で”ペットと暮らせるマンションが今は殆どで、逆にペット不可というマンションを探すのはほぼ不可能になっています。
私のマンションも500戸ほどですが、ペットを飼っている人はせいぜい100戸程度でしょうか? マンションでペットを飼う人は増えたとはいえまだまだ少数派なので、例えばEVにペットボタンをつけるなどして、ペットとは同乗したくない人にケアするのが普通です。(私は娘がペットの毛のアレルギーで、同乗するとど派手にくしゃみを始めます)
特に犬は”吠える”のを完全には止められないとかで、玄関前を歩いたら中で吠えられたりするのはあまり愉快に思わない住民も多い。私もびっくりするから苦手です。
このようなペットを飼わない人が、”ペット不可マンション”が新築では選べないことに配慮したルール作りは必須に思えます。
規約なのか?細則なのか??
入居後にルールを変更するのはどのくらい敷居が高いか?ですが、お書きになっている”1階のテラスでペットOKにする”は、タイミングによらずかなり困難だと思います。
それを必要とする理由を、他の全戸に納得してもらわないといけないですが、「テラスのある1階の住民で、かつペットを飼っていて、規約を変えてまでテラスに出せるようにしたい」という方は、”トイ・プードル”さん一人かもしれないわけで、残り全戸を説得する過程はこの場合自分でやるしかありません。そこにはかなりの困難が予想されるので、そこまでしてこの細則変更をやりたいかどうか?です。
規約や細則は、不都合があるなら変えればいいわけですが、少数派であるペットの飼い主のために、多数派のペットを飼っていない人も含めた過半数なり、3/4以上なりに総会で賛成してもらわないとルールの変更はできません。
これは規約で確認してもらうことになるわけですが、多くのケースで、”規約”にはペットを飼ってよいかどうかを定めて、そのペットをどこに連れていっていいかなどの詳細は”使用細則”や”ペット飼育細則”で定めれているのが普通です。そこに、多くのケースで、ペットはケージに入れるか抱きかかえろとか、リードをつけておけとか書かれていて、適用範囲は「すべての共用部分」としているのが普通です。うちもそう。
これを、理事会が過半数の理事の賛成で提案して、総会で過半数(規約本体ではない場合には過半数でOKです)”ただし、1階のテラスは除く”といった文言を追加することになりますが、理事会でも、総会でも100%訊かれる質問は、”この例外を設ける理由”です。「走り回っている犬が吠えたらいやだ! とお隣さんが言うのでは?」とか理事会で意見がでたら、消極的な方向に議論が流れるのは容易に想像できます。
これを仕切るには、トイ・プードルさんが理事長になるくらいしか方法がないですが、今度は「自分だけの利益のためにルールを変える提案を理事長がしていいの?」という質問への答えがだせないと通せなくなります。
1-2期の理事会には、初期設定を固めていく過程での問題が山積していて、1戸だけの問題を扱っている時間はないと思います。私も1-2期の理事長でしたが、この要望がきたら体よく断っただろうなとは。(多分理事会にも付議しません)
多くの居住者は極めて保守的で、少数派には冷淡です
うちでは、2期目くらいにペットクラブの立ち上げと一緒に、ペット関連の規約・細則の不整合をペットオーナーに有利な方に変更する提案をしたら、相当な反対をだして驚きました。変更点はマンションの周りの公開空地(マンションの目の前の川沿いの堤防の上の遊歩道など)が、”マンションの人以外”は普通に犬を散歩させているのに、規約では共用部+敷地全体で”抱きかかえ”を義務としていて、マンションのオーナーだけ散歩させられないのはおかしいから、公開空地について抱きかかえ措置を撤廃するというだけの提案でした。
これで相当数の反対がでて驚いたわけですが、マンションの住民は、”自分にはメリットが全くないことで今までのルールを変更すること”にはとても消極的です。
実は、理事会でも逆に看板でもだして、堤防の上の遊歩道(公開空地で、マンションの土地です)でもペットは抱きかかえて歩かせろという意見も結構でました。
いやそれ無理でしょとかで、理事長として理事会はまとめましたが、これはまだ”全ペットオーナー”の利益にはなります。1戸だけのためにルールを緩和するというのは、実際には非常に困難ですし、苦労してやってもメリットがあるのは1戸だけですから、理事会としては優先度は最低で、他になにも解決すべき問題がない場合にしか扱えません。
ペットクラブ規定は?
ペットのオーナーは、少数派なので、どうしても少数派として団結して、理事会にもの申していかないと、その権利は保護されにくいです。今風のマンションだと、ペットを飼う住人は、全戸ペットクラブに加入するという義務をもうけている例が多いのですが、このペットクラブというのが形骸化しやすくて、実際に機能している例はまれです。
うちのマンションでは、ゴミ置場にネズミがでたので殺鼠剤などを撒くと、そこに間違えてペットを連れて入ってしまうと食べると死んでしまうとか、犬が公開空地の貫通通路の同じ場所におしっこをしてしまうので、犬が嫌うにおいの薬を撒いて対処するといった案件で、ペットクラブと理事会の間での協議がありました。
率直に申し上げて、テラスの件は難しいと思いますが、少数派として不利な思いをしないようにするためには、例えばペットクラブの会長さんを目ざされるなど、ペットを飼うオーナーの代表者として声を届けられる立場につくことが近道な気はしますね。
これはうちのマンションのペットクラブの会員募集のちらしです。明日清掃活動を実施するとかでてますね。ペットを飼う人同士で仲間になるのが第一歩だと思います。
!! 重要 !!
本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。
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