コロナ禍で米国が大規模な金融緩和を実施したことから住宅建設が急増したことや、巣ごもり需要による国際的なコンテナ不足などの影響で、世界的に木材不足が深刻になっており、日本の戸建て住宅の価格上昇・工期遅延が懸念されている。
新築マンションへの影響を心配されている読者からのご質問。
質問:木材不足、マンションへの影響?
誰に答えて欲しいですか?
- 全員
建築業界では木材不足で「ウッドショック」の状態になっているそうです。
一番影響が大きいのは戸建て業界だと思いますが、やはりマンションでも内外装や設備や家具などいろんなところで木材を使っているので、どのくらい影響が出るのかとても気になります(当方、去年契約したマンションがまだ建築中であるので)。
また、今建築中のマンションとこれから計画していくマンションへの影響が異なると思いますので、その点も含めて、皆さまのご意見をお聞かせていただければ幸いです。
マンション価格への木材価格高騰インパクトは小さい
まずはデータを確認してみよう。集合住宅(RC:鉄筋コンクリート造、SRC:鉄骨鉄筋コンクリート造)と木造の戸建て住宅の建築費指数の変化を次図に示す。
工事原価(間接部門の経費・利益を含まない工事費)を見ると、集合住宅は16年10月を底を打ったあと上昇傾向を続けている。戸建て住宅のほうも同じころ底を打ち上昇し始めているのだが、特に木工事費は19年9月(台風15号:令和元年房総半島台風)を境に急上昇しているのである。
木造戸建て住宅における木工事費の割合は全体工事費の3分の1近く(32%)を占めているので(次図)、木材価格の高騰が戸建て住宅価格に与える影響は大きい。
一方、マンションでは、木材に係る工事費が全体工事費に占める割合は、戸建てほど大きくない。全体工事費に占める木工事(3.1%)と木製建具工事(1.6%)の割合は極めて小さい。型枠工事(8.0%)を含めても合計12.7%(次図)。
マンションへの影響(私見)
質問者のように既に契約済みであれば、契約金額が上がることはない。また、戸建てと違って、マンション価格への木材価格高騰インパクトは小さいので、大手不動産会社であればバーゲニングパワーの発揮が期待されるため、工期の遅れをあまり心配する必要はないのではないか。ただ、中小不動産となるとどうか……。国内ワクチン接種が遅れているなか、新型コロナ変異株の拡大の状況は予測が困難なので、これから計画していくマンションについては、価格はもとより、工期の遅れの有無についても予測することは難しい、というのがマン点の答え。
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