マン点流!見える化(マンション管理契約を辞退!?)

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昨今は人手不足による人件費高騰などを背景として、マンション管理契約を辞退するケースがあるという。

人手不足による人件費高騰を背景とした契約辞退

普通に考えれば、親会社が分譲したマンションは子会社が管理受託することになるのだが、最近は必ずしもそうではないようだ。

従来から言われてきた日本ハウズイングなど、低価格な提案を仕掛ける独立系の管理会社への変更だけでなく、昨今は人手不足による人件費高騰などを背景として、マンション管理契約を辞退するケースがあるという。

(前略)上位15社は総じて前回から受託戸数の伸びを鈍化させている。その要因の一つが分譲マンションの供給の減少だ。(中略)受託戸数の伸びが鈍化したもう一つの大きな理由が「管理委託費見直し」の動きだ。あくまでも管理継続を前提としながら、昨今の人手不足や人件費高騰、協力会社などからの値上げ要求を受け、業務の効率化や経費の見直しなどの経営努力だけでは原価増加分を吸収できないとして、管理組合に「管理委託費値上げ」「管理仕様の変更」等の要求を実施した結果の現れだ。

また、費用面以上に『管理組合の要求・注文が不合理」だとして「現状ではサービス品質が保てない」と、管理会社の方から契約辞退を申し出る動きも見られた。

昨年の調査では住友不動産建物サービスが受託管理組合の「1割近く」に契約解除の申し入れを実施したことで、大幅に受託戸数を減らした。今年の調査でもこの動きが続いている状況が見れる。

(マンション管理新聞 21年5月25日号)

管理受託戸数が減少した会社

人件費高騰などを背景としたマンション管理契約を辞退するケース。どの程度あるのか?

マンション総合管理受託戸数ランキング上位10社の過去12年間のマンション管理戸数の推移を可視化したのが次のグラフ。

大京アステージ、東急コミュニティー、三菱地所コミュニティ、三井不動産レジデンシャルサービルなどは、グループ会社が販売したマンションを自動的に管理受託しているから自ずと戸数が多くなる。独立系の管理会社である日本ハウズイングが管理受託戸数を伸ばしているのは、低コストを武器に他社の受託戸数を侵食しているからなのであろう。

マンション総合管理戸数の推移(上位10社)
詳しくは、「マンション管理会社、総合管理受託戸数ランキング2021」参照。

 

マンション総合管理受託戸数ランキング上位10社のうち、親会社がマンション分譲会社なのは7社。親会社はいずれも大手。
  • 大京アステージ(大京)
  • 東急コミュニティー(東急不動産)
  • 三菱地所コミュニティ(三菱地所R)
  • 大和ライフネクスト(大和ハウス)
  • 三井不動産レジデンシャルサ一ビス(三井不動産レジデンシャル)
  • 住友不動産建物サ一ビス(住友不動産)
  • 野村不動産パートナーズ(野村不動産)
7社のうち3社(野村、三井、住友)は、親会社が過去4年間(17~20年)に分譲した戸数よりも子会社が翌4年間(18~21年)に管理受託した戸数が少なくなっている。どういう状況なのか、見える化してみた。

野村不動産パートナーズ(野村不動産)

野村不動産パートナーズの管理受託戸数は4年間(18年~21年)で15,397戸増加。野村不動産が4年間(17~20年)に分譲した戸数は18,114戸なので、その差▲2,717戸。
つまり、これまでに野村不動産が分譲したマンションのうち約2,700戸の管理受託が子会社以外の管理会社に変更になったと考えられる。

野村不動産パートナーズ
※マンション管理受託戸数データは、マンション管理新聞に掲載されているデータに拠った。また、分譲戸数データは、不動産経済研究所が毎年2月に発表する「全国マンション市場動向」に掲載されている「売上・事業主別発売戸数(全国)」に拠った(以下、同様)。

三井不動産Rサ一ビス(三井不動産R)

三井不動産レジデンシャルサ一ビスの管理受託戸数は4年間(18年~21年)で▲125戸減少。三井不動産レジデンシャルが4年間(17~20年)に分譲した戸数は11,684戸なので、その差▲11,809戸。

つまり、これまでに三井不動産レジデンシャルが分譲したマンションのうち約1万2千戸の管理受託が子会社以外の管理会社に変更になったと考えられる。

三井不動産Rサ一ビス

住友不動産建物サ一ビス(住友不動産)

住友不動産建物サ一ビスの管理受託戸数は4年間(18年~21年)で▲10,120戸減少。住友不動産が4年間(17~20年)に分譲した戸数は23,756戸なので、その差▲33,876戸。
つまり、これまでに住友不動産が分譲したマンションのうち約3万4千戸の管理受託が子会社以外の管理会社に変更になったと考えられる。

住友不動産建物サ一ビス
以上は、管理受託戸数が減少した3社。逆に、積極的な営業や、グループ間の融通などにより、管理受託戸数が増加した4社(大京、東急、三菱、大和)もある。詳しくは、「マンション管理受託戸数、減少/増加した会社」参照。

低価格な提案を仕掛ける独立系の管理会社への変更(リプレイス)だけなく、昨今の人手不足による人件費高騰を背景としたマンション管理契約の辞退。マンション管理組合が管理会社を選ぶのではなく、管理会社がマンション管理組合を選ぶ時代……。

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一級建築士/マンションアナリスト/長寿ブロガー(19年超)

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