このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。
このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論」を展開しております。
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「人の行く裏に道あり花の山」・・・これは、株式相場の世界で、先人が経験を基に残した格言です。株式市場で利益を得るためには、他人とは逆の行動をとらなくてはならないという格言。逆張りの発想とされます。基本は王道を行きたいものですが、不透明な世界では裏道に良いものが落ちていそうな感じもします。
株売買に無知な筆者ですが、何故か覚えている格言のひとつです。今日は、視点を裏道に置いて語ろうと思います。と言っても、リスクを取れという意味ではありません。
新築マンションが激減し、今後も増えない
6月5日の第275回「もう少し待った方が良いのでしょうか?」で述べたとおり、新築マンションの供給は激減し、この先も元の水準を回復する見通しはないのです。理由・根拠は、用地がないことにあります。マンションを建設するにふさわしい土地がないのです。ふさわしい土地の条件は、「一定の大きさがあること」、「生活に不便でないこと」、「環境が良いこと」などです。
かつて、用地は工場跡地や企業社宅などが売地として放出されたとき、マンション業者は次々にそれらを取得して分譲マンションを建設しましたが、この10年を見る限り、これら法人所有地が放出される件数が激減してしまったのです。
マンション用地は、一定の大きさが必要であり、かつ交通利便性も重要な条件となります。条件の良い土地は元々少ないのですが、それでも首都圏合計で年間に5万戸余の供給が可能でした。
首都圏合計とお断りしたように、5万戸は1都3県の合計ですが、最近10年の需要構造を分析すると東京都以外の需要が後退してしまい、郊外マンションは売れない傾向が強まり、マンション業者は東京都内で用地を求める傾向にあります。
しかしながら、23区に限る用地の取得は困難なため、発売件数が大幅減になってしまったのです。それでも、マンション開発を主力事業とするデベロッパーは、売上確保のために渋々ながら郊外でも新規事業地を確保しようと動きます。
郊外で開発してみたものの、予想通りと言うべきか販売はままならず、苦戦を強いられ長期戦に苦しんでいます。 その状況を横目で見ていた同業他社は「やはり」と得心し、郊外での用地取得にますます消極的になっています。
郊外マンション不人気の背景については別の機会に書きますが、郊外マンション需要は大幅に減ってしまったためです。
話を戻して、東京都区内が需要の中心であることを知っても、用地がなければマンション業者は商品化も売上確保も困難です。広い東京なので、都内ならどこでも良いわけではなく、人気エリア、人気沿線がある一方、消極的にならざるを得ないエリア・沿線・駅もあるため、用地取得競争は熾烈です。。
できるだけ人気のあるエリア、言い換えれば売れそうなエリアで用地を求めますが、残念ながら用地争奪戦は近年ますます激化しており、条件の良い土地は高値にならざるを得ないのです。
マンション業者が生きて行く(事業を継続していく)のは非常に難しい時代になってしまったようです。事実、自然淘汰され、事業を継続している業者数も大幅に減りました。
新築は郊外ほど割高;その理由はこうだ
郊外マンションはの開発は消極的になっていると書きましたが、その理由は売れないからです。郊外のマンション需要はなくなってしまったのでしょうか? そんなはずはない。読者の皆さんは疑念を抱いたことでしょう。そうです。需要が消滅したわけでも大幅に減ってしまったわけでもないのです。ここでは簡単な説明に留めますが、購買力と価格のミスマッチに最大の要因があるのです。
郊外は、東京都心通勤者だけでなく、周辺エリアに通勤する需要もあるので、一定の数があるのは間違いありません。
しかしながら、都心通勤の購買層にスポットを当てると、郊外居住者の大半が子育て世帯で、かつ専業主婦世帯のため、世帯所得は都心居住者の共稼ぎ世帯に比べると大幅に劣っているのです。
このため、マンション価格が上がると需要は後退、すなわち売れ行きはたちまち悪化するという傾向を見せるのです。
ところで、価格高騰は都心も郊外も同じだったのでしょうか? 実は、郊外の上昇率は都心のそれより低いのです。建築費は郊外も都心もほぼ変わりませんが、用地費は郊外の方が値上がり率は低いのです。 従って、マンション価格の上昇率は郊外の方が低い結果となっています。
その意味で、郊外マンションの方が割安と言えるのです。とはいえ、買い手の所得がシングルとダブルの差があるため、割安とはいえども、郊外マンションも建築費の高騰によって高値となり、購買力とのミスマッチを生じさせてしまったのです。
言い換えます。郊外マンションは安値といえども、郊外の買い手から見れば割高というほかないのです。
中古マンションも高値傾向が続く
エリア別、または物件別に見れば、中古マンションは玉石混淆ですし、それらを十把一絡げにして語ることに抵抗があるのですが、あえて言えば、新築の高値傾に連動して中古も高くなっているのは間違いないのです。下図は中古マンション価格の上昇が2013年ころから続いていることを示すものです。この上昇カーブは、新築マンションの上昇カーブと連動しています。
(グラフ;東日本不動産流通機構=REINS)
先述のとおり、全域で値上がりが続く新築マンションですが、連動して中古マンションも値上がり傾向が続いています。この傾向はいつまで続くのでしょうか? それを次で述べようと思います。
マンション価格の価格上昇はいつ止まるの?
新築マンションの価格上昇は、「用地費」と「建築費」の2大原価の値上がりが止まれば止まるはずです。ここでは結論だけに留めますが、「用地費」は下がる見通しがなく、「建築費」も同様です。用地難のため立地条件の良い用地は値下がりすることは考えにくく、建築費も景況が悪化しても公共工事予算が政府から直接・間接に支出されるため下がる期待は持ちにくいのです。
ゼネコンは、仕事がなくなれば安値でも受注に動きますが、その可能性はなく、従って新築マンションの価格が下がる可能性は低いと見るほかないのです。
2019年の統計では頭打ち傾向を見せたので、ようやく値上がり傾向の転換期が来たように思いましたが、2020年は再び上昇傾向が強まってしまったのです。
新築マンションの価格上昇が止まれば、中古マンションも連動して止まるはずですが、実は中古マンションは新築マンションの売主と異なり個人の所有です。それだけに、売れなければ価格を下げる動きを見せます。しかも、値下げを決断したら、即日ネット上のラベルを付け替えることができます。今後はどう動くでしょうか?
その答えは、もう少し先にならないと分からないのですが、ここでは物件次第と言っておきたいと思います。
新築も値引き・値下げがないわけではありませんが、経営の安定・利益追求を止めるわけには行きません。つまり、値引き販売はあるとしても例外的です。もし、安値の土地が取得できたとしても、その土地上にマンション建設を始めるまでには最低1年、長ければ3年もかかります。設計、許認可の時間がかかるからです。
以上から、値下がりが始まるとしても新築は早くても2年先、値下がりはないと見なければならないはずです。 他方、中古は高止まりとなるものの、個々に見れば売れない物件が増え、全体としては値下がりする可能性が高まっていると見ています。
中古マンションは探しにくいと聞くが・・・
値上がりか、値下がりかの予測はともかくとして、中古マンションは新築に比べると早い者勝ちのため検討時間が短く買いにくいという声が多いようです。中古物件は、業者から提供される情報も十分でないので判断がしにくいというという声もあります。気にいる物件と遭遇しても、真剣に検討しているうちに「売り切れごめん」になってしまうことが多いとも聞きます。
何より「1マンション・1住戸」の中古は、選択の余地がなく、購入に前向きになれないことが多いのです。
従って、複数のマンションを選択し、その中から「立地・環境・眺望・日当たり・間取り・価格など」の条件を睨みつつ、候補をひとつに絞らなければなりません。 場所を移動しつつ1日に何か所も見て回るというのも、先方の都合もあって効率的には進められないようです。
今はグーグルマップによって見学に歩かなくても高い精度で机上見学ができるので、候補物件を絞りに絞ってから出かけるのが良いのかもしれません。
狙いは古い物件だが、品質に不安があるという人は?
新品好みという日本人の性癖なのか、古いマンションは良くないと感じているためなのか、古いマンションは故障が心配とでも思っているのか、はたまたリフォーム代を考えたら中古は安くないと思っているためなのか、理由はともあれ、中古アレルギーを持っている人が多いのは確かです。物には寿命がありますから、入居してから何年も経たないうちに故障が生じ、住めなくなる、もしくは使えなくなるのではないかという心配をぼんやりとしてしまう人もあるようですし、現実にも設備に故障が生じて交換しなければならないこともありますし、そのための出費も生じるのは確かです。
新築なら、一定期間はメンテナンスフリーであるし、故障も起こらないはずだと新品の売主企業を信頼する日本人のクセがありますが、中古は個人が売主であり、信用しないわけではないものの、品質保証をしてはくれないのも確かです。
そうした点を勘案すると、中古は不安で買いにくいが、新築は安心できるので買いやすいという図式ができていることが分かります。
そこで筆者は、こう言いたいと思います。
「コンクリート躯体の余命は新築も大差ないのです。新築の余命が80年としたら、築20年の中古の余命は60年だからです」
「設備類の余命は新築と比べれば確かに短いと言えます。とはいえ、日本製品の寿命は長いので、汚れがひどくなければ交換なしで5年、10年と使えるものです」
「他人が使ったものは気持ち悪いと思ってしまう人でも、一部を新品と入れ替えることを考えればいいのではないでしょうか? それすらもいやだという人は、全面リフォームする道を選択するほかありません」と。
中古マンションの取引が新築を上回る時代に
新しい物を好む傾向が強い人が多いのは確かですが、マンションに限れば中古でもいいとする需要も確実に増えているようです、先述のように、新築マンションの供給戸数は激減し、好むと好まざるとに関わらず、中古も検討せざるを得ない時代になりました。数だけなら中古マンションは市場にあふれています。 より取り見取り状態にあるのです。その中から、自分の好みに合う物件を選び、リフォーム費用を投じて好みの家を作るという道も悪くないとは言えないでしょうか?
しかし、新築志向の人が多く、中古を買うとしても築浅と決めている人も多いのですが、筆者は競争率の高い中古は新築並みか新築と差がない高値であるうえ、若干のリフォーム費用や仲介手数料などを加算すると、安くない買い物をすることになるののも事実です。
しかも、築浅マンションは競争率が高いので値引き交渉もできないという状況の中で買うことになるのです。
それよりは、競争率が少し低い物件を選択し、価格交渉をして安く買うという道を選択した方がよいとも言えます。
不人気マンションを敢えて狙う
「競争率が低い中古マンションは良くないマンション」とは限りません。日本人の性癖から古いものは好まれないということもありますし、品質に不安を感じる人も多いので、中古の中でも築10年を超える物件の人気度は低くなりがちなのです。しかし、古い物件の中に「磨けば光る玉」が隠れているのです。それを見抜く力、言い換えれば知識と情報があれば、それを発見することが可能になります。
誤解して欲しくないので、言い換えますが、不人気マンションと言うより「隠れた人気マンション」を探せということです。今日の最後は、その条件を挙げることします。
①立地条件は何より大事・・・人気沿線、人気の街、人気の駅、そこから徒歩10分以内、できれば5分以内に建つ物件
②建物は大きくて立派なもの。威風堂々のマンション
③建物本体以外の部分では、植栽が豊かなもの(大木・中木・低木がふんだんに植えられている)に着眼する
④できれば、ブランドマンションが良い
・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。次は10
日後の予定です。
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