すまいよみです。
このたび、お便りをいただきました。少し時間が経ってしまい申し訳ありませんが、ご返答致します。
差出人: ハザード心配
メッセージ本文:
先日、初めてマンションを中古で購入しました。
マンション自体にはとても満足しているのですが、ハザードの心配が結構ある地域であることが今更気になっています。
検討時にも分かっていたので低層階は選ばないようにしたのですが、日経のニュースで軟弱地盤であることが色付きマップではっきりと示されてしまい、今更不安になってしまいました。(江東5区の、1番海抜が低いエリアです)
住むことが決まっている以上は不安を分解して対策を取っていこうと思いますが、実際に問題が起こった場合、どのような状況が想定されますでしょうか。
浸水リスク:高層階のため、専有部分が浸水することはまずなさそう。ただし電気室は1階にあり、特段の対策がされている様子ではないため、浸水した場合は復旧に時間とお金がかかる?(共有部の保険で賄える?)
液状化リスク:どういう不具合が実際に起きるのか、正直良くわからない。地盤は軟弱で、杭は標準よりかなり長い事は承知しているが、中堅デベロッパーの中規模物件であり、倒壊などは流石にしないと思う。具体的な被害としては上記浸水リスクにも通じるが、リセールに影響が出る?
→すまいよみさんのブログをいつも拝見しており、「水害リスクが高いエリアでマンションを検討する際、押さえておくべき3つの視点」は拝見しております。
検討ではなくもう決まってしまっている場合の気持ちの持ちようと、液状化リスクについてアドバイスいただけましたら幸いです。
(原文のまま)
問題提起を以下としました。
ハザードリスク・液状化リスクが高いエリアと知って購入したマンション。今後、どのような心構えを持って暮らすべきか?
目次
水害リスクと液状化リスクをあらためて知る
「ハザード心配」さんは、すでに水害リスクについては認識してマンションを検討されました。住まいを選ぶ上でまずは大事なことですね(関連記事)。水害リスクが高いエリアでマンションを検討する際、押さえておくべき3つの視点(すまいよみ メインブログより)
マンションを購入してから、あらためて不安になったので、暮らしていく上での心構えを整えたい。
まず、水害リスクと液状化リスクについて何となく混同されているようですが、水害リスクと液状化リスクは異なる災害です。不安は、知らないことによるものが多いですから、エリア内に住む住人としては、実態をよく理解しておきたいですね。
水害リスクは以下にわかれます。
「高潮」(台風と満潮時刻の兼ね合いで海面が上昇)、「内水氾濫」(大雨による地下排水が限界を超えて地上に氾濫)、「外水氾濫」(川の氾濫)によるもの。
一方、液状化リスクとは、地震によって、水分が多い軟弱な地盤が液状化してしまうことを指します。
液状化の実態については、以下の東京都HPが一番簡潔でわかりやすかったのでご確認下さい。
「東京都建築物液状化対策検討委員会 報告」
水害リスクは「人の命、家屋などの財産、ライフラインにまで関わる物」、液状化リスクは「建物の倒壊・不具合や、一部ライフラインに関わるもの」と見ることができるでしょう。
東日本大震災以降で、多くの液状化被害が確認された「千葉県浦安市」。現在、浦安市内で分譲中の「ザ・パークハウス新浦安マリンヴィラ」を訪れた際、マンションについての液状化対策とは何なのかをよく知ることができました。
都内においては、江東5区内の液状化が目立ちましたが、マンションの半倒壊や周辺のライフラインへの大きな液状化被害は、ほとんど聞いたことがありません。
それでも、震災以降、立地によっては、何らかの形で液状化対策が行われているマンションが多いと思います。「プラウドタワー亀戸クロス」でも液状化対策を説明していただきました。
(参考)「東京都液状化予測図」
水害と液状化のリスクをあらためて認識した上で、これから暮らして行くにあたり必要なことは「備え」と「覚悟」です。
備えを万全にしておく
自分たちでできることが限られますが、いざという時に備え、できる限りの備えを考えておきたいです。例えば以下のような視点。マンションのリセール(残債)を認識しておく
水害リスクが高いエリアが、一部リセールに影響することは否定できませんが、リセールに繋がる「エリア人気」や「個別人気マンション」を構成する一部に過ぎません。実際に、水害リスクが高いエリアの中でも、江戸川区の「船堀」については、江戸川区役所が移転されてくることなどから街の人気が高まり、リセールに好影響しているマンションがあります。
駅徒歩3分の好立地に大手ブランド、大規模で人気の「ザ・パークハウス船堀」。直近で、新築時5,900万円前後の部屋が7,100万円で取引されています。5年で20%も上昇しました。
ですから、「水害リスクが高いから」だけの理由で、リセールへの悪影響に気を揉む必要はありません。
それよりも、およその売却額を押さえた上で、残債を少なくしておく、しっかり蓄えを作っておくことが、万が一に備え、災害リスクが高いエリアに住む身としては特に大事だと思います。
保険を見直す
前述の通り、水害と液状化は異なる災害です。保険についても、水害被害については「火災保険の水災補償」、液状化被害については「地震保険」の適用になります。「ハザード心配」さんにおかれては、まずマンション建物全体(共用部)の保険を調べることです。
当然、水害リスクが高いエリアに建つマンションとしては、火災保険の水災補償、地震保険には加入していると思われますので、その前提で「ハザード心配」さん専有部の保険を考えるときには、高層階なので、火災保険(は必須)の『水災補償部分については不要』だと思われます。ただし地震保険は、液状化対策だけでなく、地震大国の日本において専有部分被害への備えから加入した方が良いでしょう(関連記事)。
本当に必要?気にいって購入したからこそ、よく考えたいマンションの火災保険(すまいよみ メインブログより)
防災用品を常備する
住戸内の納戸、トランクルームなどに防災用品を備蓄するスペースを作りましょう。近年の分譲マンションでは、共有部分や専有部分に、それぞれ防災用品スペースを設置しているマンションも多くなりました。特に「水」は生ものなので、こまめに切り替えましょう。家族内で非常時における行動基準、避難場所を明確化しておく
まずは、エリア内の避難場所(公園や小・中学校など)をしっかり押さえておくこと。その上で、非常時は「どのような場合に自宅に留まるか」「どのような事態の時に、どこに集まるか」など、家庭内で行動基準を明確にしておきましょう。助け合える関係を構築
マンション内ならではの良さが、ママ友などのコミュニティ醸成です。非常時の互いの連絡先や避難場所、協力し合うことなどを決めておくと良いでしょう。災害とは関係ありませんが、我が家でも仲が良いママ友と「こんな時は、ママ友双方のどちらか家で子供を預かる」と決めていたおかげで、不測の事態の際、何度か助けられたことがありました。自分が選んだ街に住む覚悟を!
リスクを認識した。備えを持って、ある程度の不安を払拭した。
あとはリスクがあるエリアに住む覚悟を決めて、ほんの少しの確率による災害被害に怯えるより、新居での生活を楽しみましょう。
多分、起きてもいない災害より、自分が住みたい街、住みたいマンションに心が惹かれ、結局購入してしまう人が多いでしょう。それで良いと思います。私もそうです。住まいを選ぶ前に、最低限の注意を払い、住み始めたら心構え、備えを怠らない。あとは住む覚悟を決めましょう。
そして、地域の催しやお店、人との交流に触れ、街を更に好きになっていけば良いのではないでしょうか。
少なくとも「ハザード心配」さんは、検討時に災害リスクをよく認識した上で、高層階を購入したはず。それで、命の危険性についてはほぼリスクを回避しています。命さえしっかり守れば、大災害が起きたら、ある程度どこも同じだと割り切って楽観的になりましょう(私だけ?)。
私はハザードマップ上、外野からあれこれ言われやすい江東5区を、これからも盛り上げていきたいと思っています。海や河川、大型公園、親水公園など自然がたくさんあって、都心に近くて便利で、下町は人が良い、このエリアが大好きですから。
「ハザード心配」さんも、新居での生活を楽しまれますように!
いざというときは助け合いましょう!
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