日本には田の字型マンションが多いとお嘆きの、海外駐在を終えた読者さんからのご質問。
実際のところプランの形状としてはどれが多いのか、調べてみた。
読者からの質問
誰に答えて欲しいですか?
- 三井健太、 マン点、モモレジ
どうしてマンションには寝室が共有廊下に面しておりかつ十分な防音性が確保されていないのが大多数なのでしょうか。
海外駐在から帰国しファミリーマンションで探しているのですが、田の字で一番広い部屋を廊下側に配置している間取りがとにかく多く、住民の皆さん夜はどうしているのかと疑問です。自分は内廊下になっているタワマンに決める予定ですが、不動産屋の方に聞いても寝室のことを気にされる方はほとんどいませんと言われ、謎は深まるばかりです。
ちなみに赴任先は2カ国ともアジアでしたが寝室の窓が廊下に面してる間取りはありませんでした。
たとえば3LDKだと3部屋のうち2部屋は共用廊下に面している物件が多い。理想は南面3室なのだが、なぜそのような物件は少ないのか。
土地が高い日本では(特に都市部では)、そのような住戸配置のマンションを作ろうとすると割高なって、事業採算性が取れない(買ってもらえない)からである。
共用廊下側の部屋は子供部屋としての利用が想定されていて、夫婦の主寝室は共用廊下側ではないので「田の字型」でやむなしとされているようなところもある。
「以上、おしまい」だと少々もの足りないので、実際のところプランの形状としてはどれが多いのか、確認してみた。
まずは、少々古いが国交省所管の建築研究所の調査データをひも解く。
建築研究所の調査結果
独立行政法人建築研究所が2014年2月に公表した『集合住宅の住まい方・設備保有状況に関する基礎調査』の「第2章 集合住宅の建て方および住まい方に関する調査(1)」がある。同調査は07年1月から09年6月に発売された首都圏分譲マンションのうちランダムに抽出された167棟・844プランを分析したもの(次表)。
同調査報告書P28に「プランの形状」として分譲マンションの間取り図の類型とそれに対応したプラン数が掲載されている(次図)。
(↓ 3LDKにつき拡大)
特に3LDK・中間住戸(324プラン)に着目して、プラン形状の分布を可視化したのが次図。
リビング横個室型(44%)はリビング横長型(34%)よりも1割多いものの、いずれにしても田の字型が8割近くを占めているということだ。
マン点の調査結果
建築研究所の調査は13年ほど前に発売された首都圏分譲マンションが対象だった。現在でもこの傾向は変わらないのか?念のため、SUUMO首都圏版(21年10月12日号)に掲載されている間取り図のうち3LDKの中間住戸を対象に調べてみた。
3LDKの中間住戸の間取り図が掲載されていた46物件につき、プラン形状の分布を可視化したのが次図。
リビング横個室型は32件(63%)と最も多く、次いで リビング横長型10件(20%)、タワー型は8件(16%)。その他1件(2%)はワンフロア3戸の小規模マンションの中住戸で、リビングの両脇に洋室が配置されたプラン。
13年前も今も、タワー型マンション以外の分譲マンションの間取り大半は田の字型であることが定量的にも確認できた。
共用廊下側の部屋の配置を避けたいのであれば、タワーマンションを買うしかないというのが本日の結論。
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