このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。
このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論」を展開しております。
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これまでに筆者に寄せられたご質問にお答えしたものを集大成した1問1答。前回に続く3回目(最終回)です。Q21.結婚と同時のマンション購入はおかしいですか?
A)賃貸はもったいないと考え、新婚当初からマンションを購入する人が増えています。昔は、ごく一部の富裕層だけの特殊な例でしたが、最近は、住宅資金の贈与に特例ができ、贈与税が大幅に軽減されたこともあって、親や祖父母などから贈与を受けて購入する若い世代も増えていますが、最も大きな要因は、やはり低金利です。史上稀に見る低金利が長く続いて、返済負担が軽減されたことが若い世代の購買意欲を刺激したのです。
一方、家賃は景気低迷の割には下落することはありませんでした。このため、ローン返済の額に家賃負担が接近することとなりました。分譲と同じレベルの賃貸マンションなら、むしろ分譲の方が毎月の負担は軽いというケースも増えたのです。
このような事情から、新婚世帯でもいきなり持ち家ということが可能になり、普通の行動になってきたのです。結婚と同時に分譲マンションを買うことは、良い心がけと筆者も考えます。
Q22.親の反対に悩む20代カップル
28歳と26歳の夫婦です。二人の収入を合わせるとマンションが買えると分かり、俄然乗り気になりましたが、親が早過ぎると反対します。やはり、まだマンションを買う年齢ではないということでしょうか?A)親の経験からすると、20代で家を持つなどということは信じがたいことなのかもしれません。結婚年齢が高くなっている昨今ですが、若いうちから所帯を持ち、計画的な人生設計を考えるカップルは模範的と言えるでしょうし、無理がないなら、マンション購入は良いことです。
20代の新婚夫婦や独身女性がマンションを持つのは、特別なことではなくなりました。それは、超低金利が続き、住宅ローンが組みやすくなったことが大きな要因になっています。
高い家賃を払い続けても何も残らないことと比べると、マンションを購入すれば長い間には資産が残るというメリットがあるのですから、こちらの方が堅実な生き方であることは確かでしょう。
現代は、冒険する若者が減った半面、堅実な人生設計をする若者が増加していると言われます。
こうした変化を知らない親もあって、「頭金も十分でないのに・・・」と反対する例が少なくないと聞きますが、20代で家を持つことは特別なことでも何でもないのです。親の理解を得るよう努めましょう。
若いうちからマイホームを考えるのは、堅実な人生設計をしようとしている何よりの証拠です。しかも、無茶な住宅ローンを組まない限りは、賃貸住宅の家賃を払っていくのと大きな差はないはずです。その点も強調して理解を求める必要があるでしょう。
Q23.子供ができる前にマンションを買い、夫婦で働いて貯蓄をしながら、繰り上げ返済で一気にローンを返すという計画はおかしいですか?
A)全く間違っていません。子供をつくるのを何年か先送りすることが許されるのでしたら、賢明な考えです。貯蓄目標を決めて実行されたらいいでしょう。ある程度まとまった金額を繰り上げ返済し、返済期間の短縮に努めれば、想像以上にローンは早く完済できるでしょう。繰り上げ返済を実行してみると、ちょっとしたサプライズです。すると、また頑張って繰り上げ返済しようという意欲が湧きます。何年か先に再び繰り上げ返済する。さらに短縮される。ますます、やる気が湧く。こうして、35年返済のローンを15年で完済してしまった人を知っています。
借金がない住まいであれば、収入の減る老後も安心ということになります。「繰り上げ返済計画」は購入時から組み入れることをお勧めしたいと思います。
ある程度まとまった金額が貯まったら早めに返済し、そこから再び貯蓄に励み、また返済するというように、なるべく早く返済した方が有利です。但し、銀行によってはそのたびに返済の都度、手数料を取るところもありますから、事前に調べておくといいでしょう。
Q24.頭金が少ない場合の買い方で重要な点は?
A)購入物件を欲張らないこと、すなわち、購入後に貯蓄を毎月欠かさずに継続できる余裕のある買い物をすることです。どうせ買うのだから広めを選ぼうと考える人も少なくないですが、そこを少し我慢する、特に都心に近い立地条件、もしくは最寄り駅に近い立地条件のマンションは高くなりがちなので、広さに不満ということになります。しかし、そこを堪える。ここが肝心なのです。
たとえ完済していなくても、残りの期間が短い、あるいは残債が少ない状態になれば、売却もしやすくなります。反対に、借金が多く残っていると、売るに売れないことになるのです。
普通、住宅ローンは35年返済で組みます。しかし、35年を払いきるまで一つの住まいにじっとしている人は少ないのです。大半の人が10年くらいで売却してしまう。つまり、買い替える人が多いのです。買い替えるということは、住宅ローンは繰り上げ返済することでもあります。
返済する資金は言うまでもなく、売却した先から入って来る代金を充てるわけですが、この時に問題になるのが、それで足りるかという点にあります。
売却するときは、ローンの残債がいくらかを真っ先にチェックしなければなりません。普通は、銀行から「償還表」が手元に来ていますから、それを見れば現在、あるいは1年後にいくら残っているかが直ぐ分かります。1年後と言ったのは、35年分の償還表が渡されないケースがあるからです。
35年の「全期間固定金利」のローンなら35年分あるはずですが、「変動金利タイプ」はもちろんのこと、3年間は固定だが4年目からは変動金利といった「固定期間選択型の変動金利タイプ」で組んだ場合も、10年先、20年先の残高を償還表で知ることはできません。
いつ売るか分からない、当分先のことだ。そんなことには関心持って意味があるかですって?それは、こうです。
買い替える時期は、人さまざまですが、平均すると10年です。今後も低金利が続くとして、10年後にはローンの残債が25%も減っています。
仮に頭金0で購入したとしたら、10年後の売却額が購入時の70%に下がってしまった場合は、売却時に約5%分の別途資金が必要になってしまうのです。
30%も下がらないだろうなどと安易に考えるのは危険です。物件によって40%ダウン、50%ダウンなどという例は、いくらでもあるのです。そのような事態になれば、そのまま住み続けるか、賃貸に出して、自分も賃貸マンションに住むしかないのです。
将来のことは分かりませんが、家賃の高い地域に住まなければならないとしたら、賃料は恐ろしく高い。結局、広い持ち家から狭い賃貸マンションに移るということになりかねません。マイホームを持つときは、こうしたことも考慮しておく方がよいのです。
以上のような観点から言えることは、できるだけ値下がりしないマンションを選ぶということが大事になります。有利に売却できるマンションを持っていれば、ランクアップした次の住まい、もしくは、生活の都合から必要な地域で新しい住まいが容易に手に入る可能性が高くなります。
頭金を貯めてから買うか、買ってから貯めるかという二つの選択肢の答えは、購入する物件を欲張らない限り、後者が正解という話でもあります。
貴方の周りで、将来どのような事情変化が起こるか分からないとするなら、住まいはフレキシブルに構えることが大事です。家に縛られることにならないようにしなければなりません。その意味から、売りやすい物件を選択することも重要なテーマになるのです。
Q25.マンションは、一般的にどんな時が買い時なのでしょうか?
A)「マイホームは、過去から見れば今の方が高いが、未来から見れば今は安い。だから今がチャンスである」という誰かの言葉があります。過去に買いそびれた人は、「もっと早く購入しておけばよかった」と思うでしょう。既にマイホームを手にした人は「もう少し早く買っておけば、今頃はローンも残り少なく余裕ある暮らしができたのに」と思うでしょう。上記の言葉は、その教訓を表しています。
バブル経済の真っただ中に買った人を除けば、早く買って失敗したという話は殆ど聞きません。むしろ、購入のタイミングが遅かったという後悔の声の方が多いのです。
私たちの周囲を見ると、快適なマンションライフを手にしている人たちの共通点は、いち早く購入している点にあります。既にローンを完済し、日々ゆとりある暮らしを送っていたり、買い替えも実行して、優雅な老後を過ごしていたり、なのです。
よく、金利が安いから買いだとか、価格がまだ下がるから様子見が賢明だとかと、得意顔の専門家を見かけますが、その意見は的確ではありません。
金利の動きは誰にも読めませんから、毎月の返済額を減らそうと、これから時間をかけて頭金を増やしても、いざ借りるときに金利が上がっていたら、返済額が減るどころか増えてしまう可能性もあります。
結局、金利の動きは誰にも読めないのですから、欲しいと思える物件と出会って、余裕をもって返していける資金計画が立てられるなら、そのときが買い時とと考える方が正しいと言えます。
価格の変動でも同じことです。金利よりは読みやすいですが、それでも、予想は絶対ではありません。
金利にせよ、価格にせよ、その動向に一喜一憂しながらマイホームの買い時を探すという考え方は、本末転倒と言っても過言ではないのです。
Q26.モデルルームを見学に行く人の理由・事情を聞きたい
A)結婚や転勤などの事情による人もありますが、ほとんどの人が今スグに買わなければならないという事情を抱えているわけではないのです。「家賃が勿体ないから」とか、「現在の住まいが手狭なので」、「いつかはマイホームを持ちたいと思っているから」などと、やや漠然とした動機や背景があって見学に行くのです。
きっかけは、「近くにマンションができたから」、「友人から勧められて」、「転居したお隣さんに刺激を受けて」といったものが多いようです。
近ごろ目立つのは、「在宅勤務が増えて今の家では狭すぎる」という事情が挙げられますが、住宅購入経験者の事例を日頃お聞きする機会が多い筆者は、切迫した状況はなく、急がない人たちばかりであることを知っています。
急がないのに何故マンションを買うのでしょうか。これは、夫婦の出会いに似ています。たまたま縁があって購入したというケースが多いのです。
つまり、買い時はいつかと考えるのではなく、買いたいと思ったときが買い時と考える方が良いのだと思います。
Q27.景気が悪いときの購入の是非を判断する方法を教えて!
A)バブル崩壊から20年以上も経つのに、不景気が長いこと続いていると語る人は少なくありません。前年比でGDPが伸びていても、伸び率は小さく実感が湧いてこない国民が多いからでしょう。そんな中でも、マイホーム購入に踏み切る人が大勢います。その反対に、踏み切れない人、全く考えない人もいます。
マイホーム購入を検討中だけれども先行き不安が消えないという人に、購入するかしないかの判断ポイントをご紹介しましょう。
①「悲観の錯誤」に陥っていませんか?
景気、不景気は繰り返すもので、今は悪くてもいずれ良くなるでしょうし、逆に景気の良い状態も永遠には続かないのです。
あのバブル時代、国民の大半は「永遠に好景気が持続すると錯覚した」のです。経済学の本には、「楽観の錯誤」という言葉が出てきますが、正にそれをそのまま日本人は体現してしまいました。
しかし、現在の状態はどうでしょうか?「景気がいいのは、隣国の中国や東南アジア諸国ばかり。日本は、高度成長が終わり、もはや昔のような好景気に沸くことはない。円高の影響で、日本成長の生命線だった製造業までが、海外に移転して行きました。
景気浮揚の政策を講じたくても、財政赤字が巨額にのぼり、何もできない。このような見方が一般的ではないでしょうか?
少子高齢化は、いびつな人口構造をもたらし、医療費が増え、年金が減る。若者は内向き志向で、グローバル化に遅れ、外国人が日本企業に入りこむ。賃金は下がり、物価も下がる。中小企業は利益が出ないから、ますます人件費抑制の方向に走る。
こうした現象は、すべてネガティブなもの。明るいニュースはありません。日本は今、バブル期の反対、「悲観の錯誤」に陥ってしまいました。
②「暮らしを豊かにしたい」と思うのが人間。豊かさを取りに行こう
人間は、いつも幸福になることを望んでいます。幸福は、物質的な欲求と密接な関係があるとも言えます。
住まいに関して言えば、広くて日当たりがよく、使い勝手のよい設備が付いていて、便利な場所にある。それが、マイホームで、月々のローン返済が少なければ、より幸福を感じるはずです。それを求めるのは自然なことです。
③先が見えないから無理はしないでおこう
不景気な時は、きっと無理な買い物はしないはずです。不景気なときに住宅を購入すれば、何年か先には景気が良くなって収入が増え、月々のローン返済の負担感は軽いものになることでしょう。
不景気な時の慎重な買い物は、先々も安心と言えないでしょうか?
④将来を予測するのは難しいのだから、考え過ぎは意味がない
様々な考え方がありますが、先のことは分かりませんから、心配し出したらキリがないことになります。
そこでは、「まあ、何とかなるさ」と考えている人も多いですし、「家賃を払うのもローンを払うのも同じだから」という理由で決断している人もあります。
⑤それでも、もし万一が起きたら?
安全運転のつもりでも、何が起きるか分からないのが世の中。万一、住宅ローンが払えないような事態になったらどうなるのでしょうか?その疑問は、次のように考えたらいいのです。
最悪の場合はマイホームを賃貸に出し、自分は安い借家を探して住み替えればいいではありませんか?
但し、賃料で住宅ローンと管理費を賄うことができるかどうかがキーポイントです。購入しようとしているマイホームを「賃貸に出したらいくらになるか」を調べてから購入するといいですね。
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・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました・・・・・次は10日後の予定です。
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