お便り返しです。
差出人: ここが正念場
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いつも皆さんの投稿参考にさせてもらっています!
とある野村の新築物件を検討中なのですが、セレクトプラン(間取り変更オプション)が申込ギリギリのタイミングで出てきまして、迷っています。アドバイスを頂けますと幸いです。
妻と2人暮らしで、引き渡し時には子供がいる可能性ありという状況です。
もとの間取りは70㎡の3LDK、田の字形、リビングと隣接した洋室がスライドウォールで繋げることもできるというベーシックな間取りです。
変更可能なプランが、このスライドウォール部分が取っ払われリビングが広くなり2LDKとなるプランです。
気にしているのは下記の点です。
① スライドウォールの柱部分も無くなるので、リビング窓面がかなり広くなり解放感が高まるのですが(南向き眺望抜け)、再販のことも考えると可変3LDKの方がウケがいいのでしょうか
②スライドウォールで区切られた部屋の有効活用方法
③再販時にリフォームでスライドウォールを付ける際のコスト
以上ご回答頂けると幸いです!
目次
スライドウォール?スライディングウォール?
最初にお便りを拝見し、「はて、一般にはスライディングウォールなのでは?」と思いつい調べてしまいました。なんと、商標が絡んでいました!特許情報プラットフォームで商標を調査した結果:
1.スライドウォール
積水化学工業が2019年に出願し、今年拒絶査定(権利化できない)を受けています。
「経過情報」から「拒絶理由」を確認すると、「スライド」「ウォール」ともに一般用語でそれを組み合わせただけであり、組み合わせた結果の「スライドウォール」「スライディングウォール」もすでに使われているという指摘で、マンションの事例まで引用されています。
(3)イニシア大森町N'sスクエア【公式】のウェブサイト 「LIVING DINING & BED ROOM」の見出しの下、「スライドウォール」「リビング ・ダイニングと隣接する居室の間には、出し入れができるスライドウォールを設 置。開ければ一体に。閉じれば個々の空間として使うことができます。」との記 載があります。 https://www.cigr.co.jp/pj/shinchiku/A10087/quality/index.html(2020年7月 22日最終閲覧)
(物件リンクはすでに切れていました)
似たようなパターンで一般には「はちみつレモン」の例が有名ですね。
2.スライディングウォール
ところが「スライディングウォール」は商標として登録されており、LIXILが権利者になっていました(出願者は現LIXILグループのサンウェーブが2000年に出願)。
拒絶理由がついているので(つくこと自体は特許でも普通)、うまいところ(笑)説明したようです。商標は、なんにでも使えるわけでなく区分・領域を決める必要があるので、サンウェーブの事業領域である次の限定範囲でOKとなっています。
(511)【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第11類 ガス湯沸かし器,加熱器,調理台,流し台,アイスボックス,氷冷蔵庫,家庭用浄水器,業務用揚物器,業務用食器乾燥機,業務用炊飯器,業務用煮炊釜,業務用焼物器,業務用レンジ,暖冷房装置,浴室ユニット,浴槽類
第20類 家具,洗面化粧台
積水化学工業の「スライドウォール」は、この範囲が間仕切壁など一般的な領域だったのでNGでしたが、独占的に使えないだけで逆に他社も権利化はできないので、積水グループでは積極的に使っているようです。
Sekisui Interior スライドウォール
個人的に興味深かったので前置きが長くなりましたがご質問にいきましょう。以下、文中ではご質問を尊重し「スライドウォール」とします。
開放感か、再販のことも考え可変3LDKか
もとのご質問:スライドウォールの柱部分も無くなるので、リビング窓面がかなり広くなり解放感が高まるのですが(南向き眺望抜け)、再販のことも考えると可変3LDKの方がウケがいいのでしょうか
最近、マンション価格高騰もあり、出口戦略を気にしすぎる方も多いように感じています。ここが正念場さんはそういう意図ではないかと思いますが、ここはご自分が(お子さんが生まれた場合も想定しつつ)どちらのパターンの生活がイメージしやすいかではないでしょうか。ここが正念場さんが悩まれているとおり、どちらにもメリット/デメリットはあり、仮に再販する場合でも一人の購入者の方にその価値が伝わればよいのかなと。
個人的には、先日の記事で書いたとおり壁を壊してしまったので、開放感をとるほうを重視していますので以下その想定でご覧ください。
スライドウォールで区切られた部屋の有効活用方法
先日の記事でも防音性や、開閉の手間などの一般的な問題は書きましたが、追加で個人的経験を。賃貸時代、一人目が生まれる直前から二人目が生まれる直前の間取りが、 ここが正念場さんより狭いですがまさにスライドウォールで仕切られているパターンでした。56平米台と狭く、もろもろ謎間取りなのはご容赦ください。スライドウォールが、図面でわかるとおり中途半端で、そもそもサッシまで到達していません。固定も、天井から3枚吊っているだけで床には固定具がなにもなくプラプラしていました。この場合、開閉は容易ないっぽう遮音性は極端に低くなるので、パーティションに近いレベルでしょうか。入居前は目新しく仕切りも活用するつもりでしたが、片側は床暖もなく基本開放なものの扉1枚分残ってしまうので中途半端なままになりました。このときの経験から、きっちり仕切れないと活用が難しくなると感じたこともあり、現居はスッパリぶち抜いてしまいました。が、さすがに子供が大きくなってきたので仕切りもありかと考えているところです。いらすとやの図は引き戸ですが、固定壁に近くなるほどに今度は開閉が面倒で、いずれにせよそのままになりがちではないでしょうか。
再販時にリフォームでスライドウォールを付ける際のコスト
これも先日の記事で書きましたので引用します。間取り図すら拝見していないのでわからないのが正直なところですが、通例スライディング(ですよね?)ウォールにするのであれば、一般的には躯体もしくはそれに準ずる場所に吊りボルトを入れているのではないでしょうか。以前、自由設計が可能な物件のMRで可変の可能性として聞いたところ、「ウォールドアは重いので」と上記のような見解で、単純に天井を補強するレベルでは難しいとのことでした。躯体をいじるとなるとそもそも規則上可能かという話になります。
見た目はスライドウォールの有無だけですが、プランの選択により吊りボルトの有無が変わったりするとそもそもスライドウォールは付かない可能性もあるので営業経由でデベに確認が必要ではないでしょうか。床も、通常のレールがあるスタイルだと影響が大きそうです。私の経験からの一般論ですが、ぶち抜くのは比較的容易ですがあとからつけるのは構造に影響があることが多く、コストアップにはつながると思います。
繰り返しになりますが、ご自分で住むイメージを大事にして、再販があればそのまま出すのがよいのではないでしょうか。
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タビー様ご回答ありがとうございます!また過去記事見れておらず失礼いたしました…
関連記事含め大変参考になりました。
再販のことはあまり重視しておらず実需で見てどうなんだろうというところがスタートだったのでありがたいご意見でした。
ちなみに野村の資料上はウォールドアとなっておりました。私はどこからスライドウォールという言葉を見つけてきたのか…
まだどちらにするか結論は出し切れていないのですが、暮らし方を想像してメリデメ比較したいと思います。
コメントによる反応ありがとうございます!
お便り返しで反応がないと「ズレてたかな?」と心配になってしまうので、参考にはなったようで安心しました。実需メインと想定しつつ書いたので、こちらもあっていましたね。
人のお便り返しまで読んでいる方はあまりいないと思うので気になさらなくて大丈夫です(^^)
いったん記事にしておくと自分でもご質問に応じて論点が整理しやすいと実感しました。
で、スライドウォールネタでえんえん引っ張ったら、まさかのウォールドア!
という言葉を見つけてきたのか…
具体的な暮らし方がイメージできればおのずと決まると思いますので、楽しみでもありますね!