時には間取りの話を その2 ~あまりにも広すぎる部屋の謎~

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ハローみなさんこんにちは。ご無沙汰しております。みんながコンスタントに記事を書く中、ずっと筆が止まってて申し訳ない。昔「富樫また休載かよ!早く書けよ!」とか「ドラクエまた延期かよ」といった言葉をもう一度飲み込めるなら飲み込みたい、何かを生み出すってことは大変ですね。寛大な皆様におかれましては、DJあかいという人は遅筆だけれども他にはないようなちょっとおもしろい見方や視点の記事を書いてくれるから、また休載入ってるけどのんびり待とう、そう思っていただければ幸甚の至りです。

「俺はこういう人間だ!俺はこういう人間!」(大川ぶくぶ『ポプテピピック』より)

「俺はこういう人間だ!俺はこういう人間!」(大川ぶくぶ『ポプテピピック』より)


今回は時には間取りの話を~みんなが欲しがるものが自分の欲しいものか?~に続く間取りシリーズ第2弾と称しまして、今回はちょっと興味深い間取りを取り上げたいと思います。

パークアクシス滝野川ラブリーズFR1タイプ(132.54㎡・4LDK 公式サイトより)

パークアクシス滝野川ラブリーズFR1タイプ(132.54㎡・4LDK 賃料480,000円-532,000円 公式サイトより)


間取りの大きい画像はこちらです。
これはパークアクシス滝野川ラブリーズ(公式サイト)というパークタワー滝野川と複合開発された賃貸専用マンションで、パークアクシスという名前からわかる方もいるかもしれませんが、三井不動産が開発して日本アコモデーションファンド投資法人(略称NAF、公式サイト)のポートフォリオに組み込まれている物件です。(余談ですが、他社開発で売買によってNAFに入った物件は「パークキューブ」という名称になります。パークアクシスが三井生え抜きの譜代、パークキューブは他所から来た外様といった感じでしょうか)


一般的にファンドやREITに組み込むことを前提にした物件の場合、大型住戸は1部屋空室になっただけでも稼働率に与える影響が半端ないために、あまり作られません。ほどほどの間取りを多く作ったほうがやりようがあるからです。
アーバンパーク代々木公園(スターアジア不動産投資法人 公式サイト)やウインザーハウス広尾(アドバンス・レジデンス投資法人 公式サイト)といった1部屋が200㎡とか300㎡で、1部屋の退去で稼働率が15%とか20%左右されるようなファンド物件の担当は空室が出るたびに胃が痛いと思います。(まあ投資家もお腹が痛いでしょうが)担当者や投資家がお腹が痛かったからかどうかは知りませんが、かつてアドバンス・レジデンス投資法人が保有していた元麻布プレイスは売却され、このたび東急不動産他が売主となりMAJES 元麻布ガーデンズ(公式サイト)として一部屋ずつ分譲されることになりました。

アーバンパーク代々木公園

アーバンパーク代々木公園401間取り 331.04㎡


話が少しそれましたが、REITにとって大型住戸はそれほど鬼門で御法度なのです。ならなぜ、パークアクシス滝野川ラブリーズには130㎡もの部屋がいくつも(100㎡超えの部屋も多くあります)企画されたのか?
ちょっと皆様その理由を考えてみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

REITでは御法度の大型住戸、都心ならまだしも郊外の北区、そんなにでかい部屋を作って誰が住むのか?50万も払って。
その答えは・・・?
カギはパークアクシス滝野川ラブリーズの公式サイトにあります。
公式サイトの右上をご覧ください。

公式サイトの右上にフランス語版サイトへのリンクが・・・!

公式サイトの右上にフランス語版サイトへのリンクが・・・!


なんとパークアクシス滝野川ラブリーズ公式サイト【フランス語版】へのリンクがあるのです。英語版なら割と多く見ますが、ここは英語版がなくフランス語版だけ。なぜ?と思いませんか。
とすると、この物件のターゲットはピンポイントでフランス人(あるいはフランス語を母語とする人)だと考えられます。そういえば物件名のラブリーズ(la brise=そよ風)もフランス語ですね。点と点がつながってきた気がします。
もしかしたらこの近くにフランス関係の何かがあるのではないか・・・?そう思って「滝野川 フランス」で検索すると・・・。

「滝野川 フランス」のGoogle検索結果

「滝野川 フランス」のGoogle検索結果


そう、滝野川には東京国際フランス学園(旧称リセ・フランコ・ジャポネ・ド・東京 公式サイト)があるのです。マンションクラスタにはおなじみのプラウドタワー千代田富士見レジデンスの場所から滝野川へ移転したのです。欧米系の外国人の場合、子供の学校を強く意識して住む場所を選ぶ傾向が強いです。端的に言えば学校まで歩いて行けるような場所かあるいはスクールバスの通り道になる場所。異国の地で子どもを育てるのですから神経質になるのも当然です。子供に我慢させるよりは親が我慢する。なので滝野川でフランス人向けの大型住戸を作れば学校近くに住みたい需要を拾えるのではないか、こう三井の担当者は考えたのだと思います。


ただフランス人向けにしては間取りが少しこなれていないと思うところもありますが、一応日本人の需要も取り込みたいと中途半端な両にらみの作りにしたのでしょう。その担当者の試みがうまくいったかどうかはわからないのですが、9月の段階で再募集が何部屋か出ているということは任期が終わって本国へ帰った家族が何組かいたと推測できます。(向こうの暦は日本の4月始まり3月終わりではなく9月始まりの8月終わりなので)

パークアクシス滝野川ラブリーズFR1タイプ 3LDK 公式サイトより 元のプランだとLDが狭いのでフランス人ファミリーだとこちらへのプラン変更をリクエストしそうですね

パークアクシス滝野川ラブリーズFR1タイプ 3LDK 公式サイトより 元のプランだとLDが狭いのでフランス人ファミリーだとこちらへのプラン変更をリクエストしそうですね


というわけであまりにも広すぎるパークアクシス滝野川ラブリーズの部屋はフランス学園に子供を通わせるフランス人ファミリーの需要を狙ったもの、と言えそうです。先ほど挙げたアーバンパーク代々木公園やウインザーハウス広尾など都心の大型住戸も基本は外国人がターゲットです。(あとは経営者や芸能人くらいですが割合は多くありません)高級賃貸物件でも日本人向けと外国人向けでは間取りやコンセプトが大きく異なっています。次回(があれば)そのあたりも突っ込んでいければと思っています。ではでは。

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