東京オリンピックに向けて、羽田空港の国際線発着回数を増やすため、都心上空を飛行する「新飛行ルート問題」。
新飛行ルート周辺の多くの住民が騒音の影響を受けることになるのだが、このあたりの問題はあまり共有化されていない。
新飛行ルートは過密都市の上空を通過するので、落下物・墜落事故発生の可能性と騒音の問題が懸念されている。
目次
国交省の見解
飛行ルートによる不動産価値への影響はありそうなものだが、「航空機の⾶⾏と不動産価値の変動との間に直接的な因果関係を⾒出すことは難しい」というのが国交省の見解(次図)。国交省が運営しているサイト「羽田空港のこれから」の「よくあるご質問」のP49より
国交省としては、そのように回答せざるを得ないのだろう。
ただ、新飛行ルートの直下になる大田区や品川区、港区のマンションを避けたいと考える人は出てくるだろうから、不動産への価格への影響は避けられないのではないのか。
ひょっとすると、活断層ではないが、新飛行ルート直下の不動産は避ける動きが出てくるかも。
広尾駅周辺の騒音レベル約72dB
飛行高度の高い埼玉県内はともかく、羽田に近づくにつれて飛行高度が下がってくるから、そのぶん騒音レベルも大きくなってくる。筆者の試算によれば、たとえば、目黒駅の上空450mを大型機が通過(A滑走路到着ルート)する際に、地上での騒音レベルは約76dB。広尾駅の上空600mを大型機が通過(C滑走路到着ルート)する際に、地上での騒音レベルは約72dB(次図)。
「「新飛行ルート問題」飛行ルート周辺の騒音マップを描いてみた」より
国交省の地図では縮尺が大きすぎて、具体的な地点が分からない
騒音が問題になりそうなのは、次図の「A滑走路到着ルート」と「C滑走路到着ルート」「資料1 羽田空港機能強化に係る第3回協議会以降の取組」P5にルートと旅客機イラストを追記
上図だと縮尺が大きすぎて、自分のうちの近くを通過するのかどうか正確に判断することができない。
そこで、「羽田空港のこれから」(PDF:27MB←データが重いことに要注意)に掲載されている南風時の飛行ルート図(P39~40)(次図)をもとに、グーグルマップに「羽田新到着新ルート」を作成してみた。
具体的な地点が分かる地図
グーグルマップに落とし込んだのは、南風時に都心上空を飛ぶ、「A滑走路到着ルート」と「C滑走路到着ルート」のそれぞれ好天時・悪天時の計4つのルート(次図)。青色:A滑走路到着ルート(到着14回/時)
オレンジ色:C滑走路到着ルート(到着30回/時)
(赤色:横田空域の東側境界線)
(南風時飛行ルート案 – Googleマップ)
新飛行ルートは、南風時(運用全体の約4割)の午後3時から7時のうち3時間、新宿⇒渋谷⇒港⇒目黒と降下。品川上空では、東京タワーよりも低い高度300mで飛ぶ。
「A滑走路到着ルート」は1時間当たり14回(4分17秒ごと)、「C滑走路到着ルート」は1時間当たり30回(2分ごと)の頻度で、上空から騒音が降り注ぐ。
これならあなたの住まいが「新飛行ルート」の直下にあるかどうかが分かる!
※本ルート図の作成には慎重を期しているが、データの精度について保証するものではない。これらの情報をあなたが利用することによって生ずるいかなる損害に対しても一切責任を負うものではない。念のため。
C滑走路到着ルートの情報が、古いです。これは運用頻度が低い雨天時のみのルートです。運用頻度が高い好天時のルートは、北側がもっと東寄りになっています。
「通りすがり」さん、コメントありがとうございます。
その旨追記しておきました。