新築マンション価格は高騰し、もはや庶民には手が出ないほどの水準に高止まりしている。高騰してしまった新築マンションを諦め、中古マンションに活路を見出そうとする人もいるのだが……。
東京23区のマンション市場で一体何が起こっているのか、見える化してみた。
※各グラフは、新築は不動産経済研究所の、中古は東日本不動産流通機構の公開データを元にマン点が作成した。
新築:戸数減少・価格高騰・面積縮小
過去23年間の23区新築マンションの発売戸数・価格の推移を次図に示す。- 新築マンション発売戸数
ワイドレンジで見ると05年(耐震偽装事件発覚の年)以降、大幅に減少。14年4月の消費税増税前の需要先食いで13年に一時的に増加するが、減少傾向に歯止めはかかっていない。 - 新築マンション発売価格
第2次安倍内閣発足後(12年12月26日)、アベノミクスの影響で投資や爆買い、相続税対策、非実需要増などもあり13年以降上昇している。
過去23年間の23区新築マンションの発売価格・専有面積の推移を次図に示す。
- 新築マンション専有面積
15年以降、発売価格の高騰と呼応するように、専有面積は縮小している。 - 新築マンション発売価格
(上述の通り)
中古成約戸数>新築発売戸数 差が拡大
中古マンションの成約戸数は新築マンションの発売戸数を16年に逆転。17・18年に逆転を許すも、19年に再び逆転。その差は拡大している(次図)。価格が高騰した新築マンションを諦め、中古マンションを購入する層が増えていることを示唆している。
マンション市場規模、新築縮小・中古拡大
過去23年間の23区新築・中古マンションの市場規模の推移を次図に示す。- 新築マンション市場の規模
リーマンショック(08年9月)が起きた年に0.9兆円で底を打つ。その後、消費税増税8%実施(14年4月)の前年まで拡大した後、再び縮小に向かう。20年は0.8兆円まで落ち込む。 - 中古マンション市場の規模
11年以降、徐々に拡大し。20年は0.7兆円。 - 新築+中古マンション市場の規模
消費税増税8%実施(14年4月)の前年に2.1兆円まで拡大した後、再び縮小に向かう。20年は1.6兆円を下回る。
以上をザックリまとめると、次のようなことが言えるのではないか。
- 新築マンション市場においては、価格が高騰し、投資家や富裕層など一部の需要を満たすものの、市場規模は縮小し続けている。
- 中古マンション市場は、新築マンションからこぼれてきた需要をすくい上げながらその市場規模を拡大してきたが、そろそろ頭打ち。
- マンション市場|新築から中古へ(首都圏編)
- 過去20年間の「全国マンション市場動向」を可視化
- 過去19年間の「首都圏新築マンション市場動向」を可視化(2020年版)
- 2020全国新築マンション「売主・事業主別供給専有面積ランキング」を可視化
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