このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
一世一代の買物をするという感覚の庶民にとって、決断に至るまでに、いくつハードルや葛藤があることでしょう。いずれにせよ、マンション購入の決断をするとき、適切な助言と決断のサポートをしてくれる営業マンに出会えたら、買い手にとって僥倖と言えるかもしれません。反対に、不幸なのは本当の意味で買い手の立場に立った助言のできない営業マンにしか巡り会えない人です。
営業マンとは、「買い手に必要な知識と情報を提供し、迷いを解き、時には強い態度で決心を促すこと」、平たく言えば「買い手の背中を押すこと」 が仕事であり、義務です。
モデルルームを見て回るだけでいつまでも決めない状態になってしまった人でも、良い営業マンとの出会いがあれば早い機会にマイホームを手にすることができるものです。
住宅という商品は、表から見ただけでは分からないことが多い。そこで、買い手から営業マンに尋ねたいことが次々と生まれます。そのとき、営業マンの知識が怪しかったり、対応が悪かったりすれば、買い手は誤解し、不信感を抱くでしょう。明快な答をもらえなければ、「よく分からない」という感想を持つに至ります。
不信感を抱いた場合には、例え良い物件でも、その感情の方が勝ってしまい、「要らない」と返事をしてしまうことになるかもしれません。これは不幸なことです。
では、買い手にとっての良い営業マンとは、どんな姿勢、どんな態度、どんな対応の仕方をする人物を指すのでしょうか?
また、そのような営業マンを見つけるにはどうすればいいのでしょう。単に出会いがなかったという、運、不運の問題で片付けるしかないのでしょうか?
<良い営業マンとは?>
買い手からみて、良い営業マンとは、どのような人物でしょうか?清潔感があって爽やかであるとか、明るいとかの見た目や、紳士的とか親切などといった態度も大切かもしれませんが、もっと大事なことがあるはずです。専門知識を備えていること?それもあります。
聞いたことに正確に答えられる。専門用語を使わず、分かりやすい説明をすることができる。そうしたことです。しかし、それも当たり前のこととも言えます。
短所も隠さないで説明すること?強引さを見せないこと?それも、良い営業マンの条件のひとつです。
前置きが長くなりましたが、筆者の考える「良い営業マン」 とは次の4つの条件を備えていることです。
① 判断に必要な知識と情報を供与してくれる営業マン
② 情報の内、特に重要な“物件選択に関する指針”を供与してくれる営業マン
③ 買い手の立場と心を理解してくれる営業マン(親身になってくれる営業マン)
④ 買い手の立場と心を理解しているからこそ、強く決心を促してくれる(背中を押してくれる)営業マン
➀「判断に必要な知識と情報を供与してくれる営業マン」とは
例えば、見始め・検討し始めの買い手に対して予備知識(不動産・マンションのいろは)を説明するようなことを指します。ほとんど何も知らない買い手というのは、正しい判断力を有していません。自社商品の説明だけされても、良いのか悪いのか、また高いのか安いのか分かりません。こんな良い物件は他にないなどと言われても、本当かどうか分からないのです。
疑うわけではないが、事実確認を望むことでしょう。こんな場合、良い営業マンはその場で他社物件も紹介し、その比較をして見せるはずです。
もし、その行為を省けば、見始め客は自力で他の物件を見て回らなければなりません。その際、自分の予算を度外視して見て回ってしまうなど、決断までには、ひどく遠回りするかもしれません。
毎週毎週は動けないので、ようやく自分が買うべき物件に辿り着くのに半年くらいかかってしまうかもしれないのです。
勿論、インターネットで調べ、学習し、資料を取り寄せて比較検討をしてしまうことができない訳ではありません。しかし、パンフレットを送ってもらっても、じっくり見る暇がないため、部屋の片隅に積み上げたままという人もいるのが現実です。
こうして、時間をかけている間に、金利や税制の面からのタイミングを、あるいは買い手にとって最適の物件を入手するタイミングを逃してしまうことになりかねません。
②「物件選択に関する指針を供与してくれる営業マン」とは
主として回遊客に対してのものです。回遊客とは業界用語で、既に多数のモデルルームを見て来た人であり、なかなか決断しないマニア的な買い手を指しています。ある程度の予備知識を持ち合わせている。物件の良し悪しについても、見分ける目を備えている。しかし、逆に言うと、理想が高くなってしまい、どれを見ても満足度が低い状態に陥っていたりする人たちでもあるのです。
譲ってはいけない条件と譲るべき条件とを峻別しなければならないことも理屈では知っている人です。ところが、いざとなると欲が出て決断が鈍る。そうして、態度を保留したまま新しい物件が発売されるたびに見て回るのが回遊客です。
こんなタイプの買い手に対して、本当に良い営業マンは整理・整頓を買い手に代わってやろうとするものです。すなわち、希望エリア内の全物件を並べ、その中から条件に合う物をいくつか選び出し、徐々に候補を絞りながら最後は二者択一の形に誘導することでしょう。
こうした営業マンは、実はあまり多くないのです。他社マンションと比較するのは、一歩間違えれば他社マンションの悪口に繋がりかねないからと自ら逃げてしまうのです。
しかし、客観的事実のみを語るのは悪口ではありません。例えば、「環境が悪い」と言ったら主観になりますが、「隣に工場がある」というのは、客観的事実です。
本物の営業マンは、こうした心がけで買い手の判断がしやすい形を作るものです。
③「買い手の立場と心を理解してくれる(親身になってくれる)営業マン」とは
一方的な物言いをしないばかりか、買い手の立場や心(不安や疑問)を読んで言葉を選ぶような気遣いを見せるものです。判断に必要なことを全て供与するのはもちろんのこと、完全な納得感と安心感をもってもらうまでは、決して先を急がない。こういった態度の営業マンを指します。
④「背中を押してくれる営業マン」とは
買い手が岐路に立った時に強く方向を示してくれる人のことです。返事を先延ばししようとしている時などに、それを許さない強い態度を見せる営業マンとも言えます。時間を置いて解決するような類の問題でなく、踏ん切りだけといったものなら、良い営業マンの場合、決して買い手の要望を聞き入れないものです。特に、優柔不断な性格である買い手などからは、後日の返事待ちなどは決して受け付けない。そうすることで、救われる買い手も少なくないのです。
筆者が言う良い営業マンとは、理想像かもしれませんが、以上のような姿勢をもって仕事に臨んでいる営業マンのことです。
※理想的な営業マンには会えないものだ
このような4拍子そろった営業マンと巡り合うことはないかもしれません。むしろ、前回の記事で述べた営業マンの二大習性(性癖)によって、買い手は誤認したり気づきが遅かったりして間違った判断に至ることさえあります。そうであれば、買い手自身が賢くマンション選びに立ち向かっていくほかありません。
適切に情報を取捨選択し、整理をし、冷徹に判断する力を磨くことが必要になるのです。
しかし、「言うは易く行うは難し」です。情報洪水の中から正しく必要なものだけを取り出すことは簡単ではありません。美しき飾られたモデルルームを見ると、冷静でいられないときもあるものです。
整理された的確な情報の提供者となり、決断のサポート役になることができたら。そんな思いが、ブログを書き始めた動機です。併せて、「三井健太の相談室」をお気軽にご利用頂ければと願っています。
・・・・・・・・今日はここまでです。関連記事は、別のブログ「マンション購入を考える」の500本余の中から多数見つけることができるはずです。是非ご訪問ください。
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