第298回 「価値ある中古は買い値が高い。それでも将来に期待が持てるのだ」

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

日々の業務をこなしながら思うことのひとつは、「価格が高過ぎる昨今」です。今日は、このことについて改めて述べようと思います。

 

年頭はマンション購入者が活発に動く時期だけに、時宜を得た話題として取り上げることにしました。

 

中古の売り物は1戸か2戸しかないという現実

市場全体で見れば、中古の売り物件は信じられないほど多く出回っているのですが、買いたい物件はというと、意外なほど少ないのが現実です。

 

マンション1棟の中から売り出される数は、期間を限定したとき、1戸、2戸だからです。大型マンションでは数戸が同時期に売り出されていることもあって、少ないわけではありませんが、中小型マンションでは半年待っても売り物が出てこないのが現実です。

 

人気マンションになると、2年待っても1戸も売り物が出てこないのです。条件の幅を広げて探せば、たくさん市場には並んでいるものの、半年近く出ている物件も多く、食指が動かない、つまり買い手が現れない状態が続いているのです。

 

言い換えると、どれを見ても問題マンションばかり。どうして、こんなマンションを買ったのかと売り手以外の者から見ると、不思議に感じるケースが少なくありません。

 

築浅を狙いたがる不都合

新築志向が強いと言われる日本人。その新築が激減している、この10年。新築にこだわれば買いたいものに出会うことができない。そう感じた買い手は、「仕方ないから中古でも・・・」と条件を変えるものの、「でも、できるだけ新しいもの。まあ、築5年とか・・・」と。

 

つまり、やむを得ず「中古でも」となったのであって、「中古が良い」と積極的に中古を狙っているわけではないのです。

 

実際に中古を検討した人の声を拾うと、リフォーム代はかかるし、仲介手数料も高い。トータルすると新築と変わらないじゃないか。こんな声をよく聞きます。

 

こう感じた人は、結局のこところ新築探しの旅に戻るのです。

 

長持ちする中古マンション

2000年以降に建設されたマンションの多くが、長寿命設計です。躯体は90年の寿命があるとされます。メンテナンスを適宜していけば、100年は大丈夫と聞きます。

 

躯体以外、エレベーターや機械式駐車場、水道・電気・ガスなどの設備の寿命は短いため、適宜、交換や修理をしなければなりませんが、それでも30年程度の耐久性はあるので、築30年以上を経過していなければ、買ってから当分の間は交換の必要なく暮らして行けるのです。

 

築古マンションを選択した場合でも、「5年前に・・・を交換した」などの確認が取れれば、当分は安心して住んで行けるはずです。

 

安い中古・高い新築

新築と大差ない高値の中古。この現実に驚き、法外な値段だなどと憤ってしまうのは、条件の良い中古を見ての感想です。補足すると、たまたま駅から徒歩10分の新築と、駅から徒歩5分の中古を比較して、後者が高いと言っているのです。

 

同じような条件の新築と中古を並べて比較できる例は少なく、高いと感じた中古は価値ある中古なのです。同じような条件の中古は新築より安いのが当然ですし、通例でもあるのです。

 

とはいえ、明らかに高値で売り出されている中古物件が存在する(強気な売り主がいる)ことも事実です。ゆえに、中古マンションの売出し価格には十分な注意を払わなければなりません

 

築浅中古は人気が高いが・・・

新築志向の強い買い手が多い現実。これが築浅中古の人気を高めています。新築並みの高値で市場に出回り、かつ高値で売買が成立してしまうのも事実です。

 

指値をしたら別の買い手が売主の言い値で買ってしまうという事態に驚き、泣かされた人の声を何度となく耳にして来た筆者は、優良物件が少ない現況では仕方ないと割り切る必要があるのかもしれないと見ています。とはいえ、法外な価格の物件に手を出すべきではないとも思います。

 

築古マンションの限界

できたら新築。ダメなら築浅の中古・・・こう考えている人は、良い物件に巡り会って適正な価格で購入することは困難な時期にあるのかもしれません。

 

そこで提案するのが「築10年を越える中古。まあ、ズバリと言えば15年中古。古くても20年以下の中古」を探すことです。選択肢を広げれば、出会いの確率は高まります。狙いは「古過ぎず・新し過ぎず」・・・です。

 

筆者が20年を越える中古を勧めないのは、品質に疑問を感じる例が少なからず存在するためで、20年超の中古マンションがダメということではないのですが、築古マンションには品質の面で怪しい例が少なくないと感じることが度々あるのも事実なので、一応の線を引いています。

 

付け加えると、古いマンションほど資料・記録が整備されていない、見当たらないといった例もあって、確認しようがないことも理由のひとつなのです。

 

買いやすい築古マンション

しかし、建物品質に概ね問題がないと分かれば築古マンションは競争率が低いだけに時間をかけて慎重に検討できますし、価格の交渉もしやすいのです。

 

選ぶとき大事な点は、第1に立地条件です。その次は建物全体のスケール(高さ・戸数)です。威風堂々の外観を重視しましょう。その他のチェックポイントは、ここでは割愛します。

 

立地条件の良し悪しで重要なことは、最寄り駅に徒歩5分以内とするなど、差別感の明確なものが良いのです。2分以内ならインパクトがありましょう。これは、郊外ほど重要な点です。

 

建物スケールとは、周囲のマンションに比べて圧倒的なものが良いので、大型マンションが密集しているような地域では、特に注目したい点です。差別感(差別化)というキーワードで比較してみることが大事です。

 

築古マンションの将来価値は?

古いマンションは10年後に売却するとすれば、。築20年マンションも築30年になってしまいます。30年マンションを選んでしまえば、10年後は40年マンションになるのが必然です。

 

既述のように、古いマンションを好きな日本人は少ないのです。その意味で、古いマンションを安く買えても、売るときは高く売れないと覚悟しなければなりません。

 

しかしながら、古さを感じさせないマンションであったら「築30年とは思えない」と感動する人が現われ、悪くない値で買ってくれる可能性が高まります。

 

安く買った築古マンションが、10年住んで購入価格から大きく値を下げずに売れたら、選んだ物件が正解だったとなります。そのような物件選びをしたいものですが、そのような物件の条件は述べた通りです。

 

補足しておくと、立地条件以外で経年減価しないのは、敷地内の樹木が大きく育って価値を上げることです。言い換えると、マンションを包み込むように植えられた高木が大きく育っていることです。

 

緑化面積、樹木の種類などにも注目しておきたいものです。

(下の参考写真をご覧ください)


数字がどうかというより、見学者が感動するほどの緑が多いかどうかが大事です。

 

三井不動産は、かつて「経年優化」と名付けて植栽に力を入れていると何度か聞きました。現地に着いたとき、先ず目にするべきは植栽です。建物外観とともに是非とも注目したい点です。

 

価値ある中古は値下がりしにくいものだ

今日のまとめです。新築志向の強い日本人は、中古マンションに対してネガティブですが、価値ある特別な中古は購入時に高いなと思ったとしても、10年先に売るとき、値下がり率は低いものです。

 

物件によっては、市場全体の底上げの恩恵を受けて、値上がりするかもしれないのです。筆者が知る中には、築20年、30年を経て近隣の新築に負けない価格の物件もあることを最後にお伝えしておきましょう。

 

 

・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました・・・・・次は10日後の予定です。

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