いかにして個人情報をゲットして、営業をかけるか。
マンションチラシで観測された、個人情報をゲットするためのプレゼントキャンペーンのいくつかを紹介しよう。
【もくじ】
◇オーソドックスな「クオカード」
◇「スイーツ券」のプレゼントキャンペーン
◇「豪華商品」プレゼントキャンペーン
◇3Dフィギアのプレゼント
◇総額5億円キャンペーン
◇あわせて読みたい
まずは最もオーソドックスなクオカード・プレゼントキャンペーンから。
オーソドックスな「クオカード」
駐車場の跡地に建つ、竣工済みの小規模マンション(総戸数24戸、9階建)で観測された販促事案。
ご体感後、アンケートにお答えいただいた方に、QUOカード最大3,000円分プレゼント!!
「最大」とは、どういう意味か?
300円分のQUOカード(クオカード)しかもらえない場合があるのか?
ゴマ粒よりも小さい(ゴマ粒の半分くらいの)文字で記された、次の注釈にヒントがある。
- プレゼントの進呈は、はじめてマンションギャラリーにお越し頂き、アンケートに全てお答えいただいた方で、成人の方1名様(1世帯)1回に限らせていただきます。
- ご家族皆様でお越し頂いた場合、最大3,000円分のQUOカードをプレゼントいたします。
- 学生の方は、対象外とさせていただきます。また、以前当物件のアンケートにお答えいただいた方は対象外とさせていただきます。
- 他の商品やキャンペーンとの併用はできません。予めご了承ください。
- プレゼントは後日発送となる場合がございます。
- 当社の判断によりお断りさせていただくことがございます。
高々3,000円分のQUOカードのプレゼント・ルールにしては、いやに細かい。 これらのルールをひも解いてみよう。
「成人の方1名様(1世帯)1回」限り、「学生の方は、対象外」だから、中高生はもちろん大学生が小遣い稼ぎにマンションギャラリーに行っても、アンケートを受け付けてもらえない。
では、勤労学生は対象外なのか?
そもそも、学生か非学生か、どのようにして見分けるのか?
フリーターは対象外なのか・・・・・・といったように、QUOカード受給資格(そんな、たいそうなものか)の判定ルールが明確ではない、と思いきや――
「当社の判断によりお断り」という、有無を言わせない一方的なルールが規定されている!
「ご家族皆様でお越し頂いた場合、最大3,000円分」と記されているので、子供連れの夫婦3人で行けば、3,000円分のQUOカードがもらえそうだ。
とすれば、DINKSは2,000円分、独身者は1,000円分のQUOカードということか
婚約中のカップルは、独身者(1世帯)×2名なので、それぞれ1,000円分のQUOカードがもらえるということなのか。
アンケートを書くだけで、一人当たり1,000円分のQUOカードをもらえるなら、アンケートに答えてもいいと考える人は多いかもしれない。
でも、「1,000円分のクオカードと引き換えに、自分の個人情報を売りますか?」という質問を投げかけると、多くの人は「自分の個人情報はそんなに安くない!」と憤慨されるのではないだろうか。
オーソックスな「クオカード」や「JCBギフトカード」といった金券ではなく、「スイーツ券」という変則ワザもある。
「スイーツ券」のプレゼントキャンペーン
駐車場の跡地に建つ小規模マンション(総戸数22戸、8階建)で観測された販促事案。
スイーツ券プレゼントキャンペーン!
ご来場の際、“このチラシを見た”とお伝えください!
〇〇(=地域名)の「有名スイーツ店」3店舗いずれかのチケット1,000円分をプレゼント!
- 有効期限8月上旬
- ご来場の上、アンケートにご記入いただいた方に差し上げます。
- 1家族1回のみとさせていただきます。
なぜ「プレゼントキャンペーン」でスイーツ券が用いられているのか? 考えられる理由は、二つ。
ひとつは、甘いもの好きな女性をモデルルームに誘い込もうという作戦。たしかに、実質的にマンション購入の決定権を握っているのは女性、といったアンケート結果もある。
でも、金券であれば、スイーツも買うことができるので、こちらが主たる理由とはならないだろう。
二つ目に考えられる理由は、売主のケチケチ作戦(販促経費の節約作戦)。
売主は1,000円のスイーツ券代を100%負担しているのではなく、一部しか負担していない(ひょっとすると全く負担していない)ということだ。顧客拡大のための宣伝費として、スイーツ店がスイーツ券代を負担している可能性が考えられる。
スイーツ券であれば、売主が経費を掛けずに女性客を呼び込めるという目論見だ。
「豪華商品」プレゼントキャンペーン
「豪華商品」プレゼントキャンペーンというのもよく見かける。
たとえば人工河川が交差する角地に建つ中規模マンション(総戸数86戸、11階建)の販促事案。
残すところ10戸(=最終期3戸+先着順70戸)、「新生活応援キャンペーン」として、モデルルームに来場してアンケートを記入した人を対象に、「豪華賞品」が抽選で「全員」に当たる。
「豪華賞品」の価格をアマゾンで調べてみると、1等から5等までの総額が435,746円。6等のJCBギフトカード1,000円は何人に配布されるか分からないが、総額としては50万円といったところだろうか。
- - 1等:シャープ 液晶テレビAQUOS LC-40J9B【74,798円】×1名=74,798円
- - 2等:ダイソン ホットアンドクール ファンヒーター AM05【58,500円】×3名=175,500円
- - 3等:シャープ ヘルシオジュースプレッソ EJ-CP10B-R【19,316円】×3名=57,948円
- - 4等:ドール ヨナナスメーカー901RJ【5,500円】×5名=27,500円
- - 5等:JCBギフトカード10,000円分10名【100,000円】
- - 6等:JCBギフトカード1,000円分<全員>
売れ残り住戸10戸に掛けた販促費の合計は約50万円。
でも、抽選が公正に行われるかどうかは不明だし(少なくとも公開で抽選が行われるとは書かれていない)、そもそも1等から5等まで、全ての商品が発送されるのかも確認のしようがない。
3Dプリンター技術を取り込んだ販促ワザも観測されている。
3Dフィギアのプレゼント
生命保険会社の研修施設の跡地に建つ大規模マンション(総戸数459戸、15階建)の販促事案。
ご来場キャンペーン
- 3Dプリンターで 自分そっくりの フィギギュアをつくろう!
- 抽選で40名様
チラシには、営業マンと思しき「完成フィギュア」の写真が2枚掲載されている。
- 友の会会員の方、及びマンションギャラリーにご来場の上アンケートにご記入いただき友の会に入会された方が対象となります。
- 1世帯2名様(1名につき1体)の申込みが可能です。
抽選でフィギギュアをもらうためには、友の会に入会しなければならないのだ(個人情報を差し出さなければならない)。
「抽選だけど、フィギュア欲しいから、マンションギャラリーに出かけてみるか」と思った方、続きはまだある。
- 申込期間:7/12(土)〜8/17(日)
- 申込場所:マンションギャラリー
- 抽選日:8/18(月)
- 当選者撮影日:8/30(土)31(日)
- お渡し日:9/12(土)〜9/15(祝日)
仮に当選したとしても、フィギュアを手に入れるためには、マンションギャラリーに最低3回(申込・撮影・お渡し)足を運ばなければならないのだ。
このマンションを買おうと決めている人は問題ないが、このマンションを買うかどうか迷っている人にとっては、営業マンのセールストークに3回もさらされる機会を相手に与えてしまうことになる。販売サイドにとっては、何ともうまい方法だ。
フィギュアを手に入れるために、住所・氏名・年齢といった一般的な個人情報だけでなく、容姿や身体のデジタルデータまで差し出してしまっていることに要留意。
ベネッセの個人情報流失問題の例をあげるまでもなく、あなたの子供やあなた自身の容姿・身体画像が流失する可能性はゼロではない。
総額5億円キャンペーン
駅前の大規模再開発の地に建つ10階建て(総戸数300戸)と14階建て(総戸数150戸)の大規模マンションのチラシで観測された事案。
マンション購入資金(割引券)プレゼントキャンペーン!
総額5億円!
- 1等×3本(各期間1本) 1,000万円券
- 2等×15本(各期間5本) 500万円券
- 3等×132本(各期間44本) 300万円券
12月12日から1月28日まで、3回に分けて受け付けるという「総額5億円キャンペーン」
1等に当選すれば、1,000万円券がもらえる(マンションが1,000万円安く買える)のだから、マンションを検討されている方にとっては、なんとも気になるキャンペーンだろう。
ただ、当選するためには、次の条件を満たす必要がある。
ご当選者本人(共有も可。ただしご当選者は1住戸につき1名様のみ有効)が〇〇不動産(=本物件の売主)の指定する対象物件の売買契約を契約期間までにご締結いただき、各物件の引渡し期日にお引き渡しを受けて頂く事が条件となります。
つまり、当選して割引券をもらうには、売主が指定する物件を購入する必要があるのだ。
たとえば、5,000万円の指定物件の購入契約を締結し、運よく1等の1,000万円券が当選すれば、実質的には2割引で物件を購入できることになる。
2等500万円券(5名)だと、1割の値引き。
3等300万円券(44名)で、6%の値引き。
「総額5億円」とはいうものの、運よく当選できたとしても6%(3等、44名)から20%(1等、3名)の値引きでしかない。
値引きという直接的な表現を用いずに、「総額5億円」というインパクトのある数字で契約を呼び込もうとしているところが、このチラシのミソ。
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