このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。
このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論」を展開しております。
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こんなお便りをいただきました。「買った自宅マンションの値段が上がっても、買い替え先のマンションも値がりしているのだから資金のプラスが必要になって、得なことはないのでは?」
これに、筆者は以下のようにお答えしました。
価格上昇「みんなが儲かる」
購入してから何年かして売りに出した自宅マンション。購入時から値上がりして喜んでいる人は少なくありません。エリア別に見れば、最も多いのは首都圏、なかんずく23区内に所有している人たちです。ただし、値上がり幅には大きな差異があります。ある人は購入時から30%も上昇し、ある人は5%程度の値上がりという差が現実にあるのです。しかし、差はあれども、値が上がった人は「自分の目が正しかった」と胸を張りたくなる気分でしょう。
建物が僅かでも劣化している中古マンションが値上がりするのはどうしてでしょうか? 詳細は後述しますが、同じような場所の同じくらいの規模の新築マンションが以前より高い分譲価格になっていると、中古マンションの価格も新築との対比によって上がるのです。
例えば10年前に5千万円だったマンションが10年経過で4千万円くらいに評価されるのが普通のところ、近隣の新築が1.5倍の7千5百万円になっていたら、中古の4千万円はいかにも安いので、市場原理が働いて6千万円とか5千万円とかに押し上げられるのです。
つまり、新築が7千5百万円で、同じ程度の中古が築後まだ10年なら6千万円でも価値があると市場では判断されるということになるのです。
つまり、中古マンションの価格は新築に連動するということです。このような値上がりは、市況のおかげです。新築マンションの値上がりが結果的に中古市場に影響を与えているわけです。
新築の価格上昇が激しければ、中古マンションはどれもみな値上がりするという恩恵に浴することになります。その典型的な時期がバブル経済時代の1980年代後半から1990年代前半でした。
そのころは、僅か数年間に新築マンションの価格が2倍になりました。そのおかげで、1985年以前に購入していた人は誰もが儲かったのです。
もっとも、売却をしなかった人もあります。また、売却した人は、高く売ることができても買い替え先も高いため、仕方なくまだ安いエリアを探して住み替える必要があったのですが・・・
価格上昇「我が家だけが儲かる」
では、話を分かりやすくするため、同じような場所の同じくらいのマンションと比較としましたが、実際は同じようなマンションが近隣に売出し中でないことも多いものです。販売中の物件があっても、環境も建物規模も差があり、グレード感やブランドなどの条件も異なるからです。従って、新築相場が仮に6千万円であっても、ある中古は新築を上回る7千万円であり、別の中古は4千万円と安くなったのです。
これを個別要因と呼ぶことにすると、市場全体の変動が全体を押し上げたとしても、個別物件によっては差が生まれることに注意しなければなりません。
最近の5年間に10%のプラスという数字が公表されたとしても、あくまで広域の平均値であって、物件単位にはマイナスということがあるわけです。
市場の価格変動の恩恵を受けて我が家の値段が上がるのは結構なことです。そのうえ、個別要因によって更なるプラスがあれば、それは大きな喜びとなるしょう。
値上がりして困ること
我が家が値上がりして喜んだのも束の間、売却後に住む先も値上がりしていたら、買い替えは必ずしもうまく行きません。多くの場合、狭い家から広い家に、不便な家から便利な家にと、ランクアップを図るのが買い替えの狙いですが、市場全体で価格が高騰すると買い替えに当たっては追加資金も大きくなるものです。
35年以上も前(1988年以前)にマンションを買った親世代の多くは、一時期、大きな値上がりを体験しました。購入した物件・場所によって差はあるものの、短期間に我が家が2倍、3倍になったことで驚いたものです。
そのころに売却した人は、高値に驚くとともに、手にした金額に喜び一杯だったことでしょう。ところが、その資金でもっと良い住まいを手に入れようとすると、郊外のまだ値上がりの波が及んでいない街へ行くほかありませんでした。
売却した場所の近くは同じように値上がりしていたため、売却して得た金銭に(新たなローンなどで)予算を追加しなければランクアップした家は買えなかったからです。
それでも多くの買い替え実行者が出現しました。どうやったのでしょうか?
買い替え計画は資金の増額を伴うものだが・・・
そうです。お分かりの通り。予算の積み上げを断行せざるを得なかったのです。しかしながら、そのことに対する抵抗は小さかったようです。買ってから10年以上という時間の経過は、個人所得の増加を伴ったからです。個人差があるので説明は難しいのですが、今後も役職が上になって年収が増えるでしょうし、昨今は共稼ぎ世帯が増えているので、世帯年収は大幅に増えているはずです。
現時点でも買い替え層の多くが高額の予算を持ちます。 頭金も増えており、かつ年収も多い購入者からのご相談が多い。これは、筆者の実感です。
買い替え計画を実行に移す人たちの平均像は、購買力に余裕がある――そう言って過言ではないのです。
ひとつ付け加えておかなければなりませんが、買い替え層は持ち家を売却することによって多額の資金を手にするので、それが頭金の加増となる点です。
例えば10年前に頭金ゼロ・5000万円で買った我が家が5500万円で買い手が決まれば、手元に残る資金は500万円ではなく、1500万円にもなるのです。差額1000万円は住宅ローンの返済が進んで残債が1000万円も減っているためです。
このことを「思わぬボーナスが転がり込んできた」―――このように表現した人がありました。
マンションの買い替えには予算の増額が伴うものですが、その問題は決して大きなネックにはならないのです。
このような計算をしてみると、自宅マンションが大きく値下がりしない限り、買い替え計画はうまく行くことが多いと考えられます。
自宅が格安になってしまったら・・・
反対のケースはどうかについても説明が必要です。仮に、安値に釣られて郊外の最寄り駅から遠いマンションなどを買った場合です。その種の物件は、多くが格安でないと売れないことが多いものです。購入価格の4割ダウン、中には6割ダウンでも買い手がつかないなどという例は少なくないのです。
このように、安値になってしまったら売却の際にローンの残債を清算するために手元資金を取り崩す必要が出て来るかもしれません。ます。それは、次の買い物の予算を減らす必要が出てくるかもしれません。もしくは、新たな購入物件の条件を切り下げる必要が出てくるかもしれないのです。
買い替えは、発展的な行為のはずですから、購入条件を切り下げる、すなわち広さを狭くするとか、駅から遠い物件にするなどの後退的な策を選びたい人はいないはずです。としたら、買い替え計画を断念し、現状維持という選択に戻さざるを得ないかもしれません。
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このように考えて来ると、自宅マンションは「値上がりするような物件」を、少なくとも「値下がり率の低い物件」を選ばなければならないという結論に達します。
・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました・・・・・次は10日後の予定です。
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